zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 助っ人、小悪魔!?
もう一匹のチビ
「……結局の処……、あなたはチビちゃんをどうしたいの……?」
戸惑いつつも気丈な目でアイシャが青年に訪ねる。
「ですから、先程も申しました通り……、この子達は元々
一つの存在……、身体が別れたままではお互い、負担が
掛り過ぎるのですよ……、このままほおっておけばいずれは
2匹とも徐々に力が衰え、消滅するでしょうね……」
「……!!」
「そ、そんなあ……」
「チビちゃんが……消えてしまうかも知れないの……?」
「……」
「生き永らえさせる方法は一つだけありますよ……?」
「……何だと?」
「……闇の力、光の力……、一つの身体で両方を持つなど
不可能に近いのです……、この子たちは禁断の兵器として
誕生してしまった……、恐らくその為に精神も身体も半分づつに
別れたのでしょう……、ですから……」
「何だよ!勿体ぶらず言えよ!」
「……2匹のうち、片方の存在を主体とし、もう片方の存在を
消してしまえばいいだけの事ですよ……、ですから僕としては……、
闇の力の方を主体として生きて貰いたい、……その為には光の存在が
邪魔なのです……」
「……テメエはチビの方を消せって言う事なのか……!?冗談は
顔だけにしとけ……!!」
「そうよ……、そんな事絶対許さないわよ……!!」
ジャミル達は揃って青年を睨見続ける……。
「おやおや、気性が荒いですね……、ですが、あなた達の方こそ
どうなんです?光が生き残れば闇は消えるんですよ、すなわち……、
あなた方こそ、この子を消せとおっしゃっているんでしょう……?」
「……それは……」
逆に青年に問い詰められ、今度は何も言えなくなってしまう……。
「……早い話、両方消滅する前に片方が力尽きて死ねば
いいだけの事ですが……、先に闇のこの子の方が死んで
しまったら困るのでね……、手っ取り早く光の方を消して
しまいたいんですよ……」
「……酷い……、なんて事言うのよっ……!」
アイシャが再びキッと青年を睨んだ。
「あの……、どうにかして両方共……、生かす事は出来ないの……?」
「無理ですね!」
「そんな……、ストレートに言わないでよお……」
青年の余りにも即答な言い方にダウドは肩を落とした。
「……まあ、僕はこの世界を再び闇に落とす為に邪悪な
力の方を持つこの子の力を借りたい……、そう、女王の城で
卵の中から感じていた闇の力……、そうですよ、……この子は
邪悪な闇の力の方が遥かに強かった筈です……」
「……!?待って……、もしかして……、あなたが城から
卵を盗んだの?……ねえ……」
アイシャに問い質され、青年は一瞬、アイシャの方を見たが
すぐに目を伏せた。
「まあ、そうですが……、それについては今は話す必要は
有りませんね、この子もそろそろ今日は限界の様ですし……」
「グ、グウウウ……ウ、ウゥ……」
青年の足元にいたもう一匹のチビドラゴンが苦しそうに呻いた。
「それでは今日はこの辺で失礼致します、下賤な皆様、ごきげんよう……」
「ちょ、ちょっと待てよ……!おいっ!!」
ジャミルが止める間もなく、青年はもう一匹のチビドラゴンを
連れ、姿を消す。
「……このままじゃ……、いずれチビは消えるのか……?」
取り残された4人はどうしていいのか分からない状況になり……、
その場に立ち尽くす……。
「あの男、闇よりの者と言っておりましたね……」
「……大魔王ゾーマの志を継ぐ者なのでしょうか……」
「……きゅぴ?」
アイシャに抱かれていたチビが目を覚ます。
「チビちゃん……、大丈夫、大丈夫よ……、何も心配する事なんか
ないんだからね……」
アイシャが優しくチビを撫で、頬ずりする。
「皆さま……、今日は……」
「神殿でどうぞごゆっくりなさっていって下さい……」
「有難う、気を遣ってもらっちゃって悪いな……」
「いいえ……」
「いいえ……」
4人の心情を理解してか、巫女さん達が優しく微笑んだ。
「ジャミル、……皆、今夜は此処でお世話になろう……」
アルベルトの言葉にジャミル達が頷いた。
そして、夜……、チビはあの後、一旦目を覚ましたものの、
力を使った為、疲れてしまったのか、またすぐに眠って
しまった……。
「ね、ねえ……、ジャミル……、チビちゃん消えたりしないよね……、
ね……?」
震えながらダウドがジャミルに訪ねる……。
「当たり前だろ、……お前らあまりビクビクすんなよ、
普通にしてろよ、チビに気づかれる……」
「最近チビちゃんがよく眠るのは……、もしかして……」
「やめろよ……、アイシャまで……、頼むからさあ、
止めてくれ……」
「……あの人、ラダトームで初めてあった時もやたらと光と闇が
どうのこうのって私に聞いてきたのよ……、闇は邪魔なんでしょうか……、
とか……」
「それにしても……、またチビに隠し事が増えてしまったね……、
ごめんよ……」
謝りながらもアルベルトがそっとチビに優しく触れた。
「……俺は絶対にチビを消させねえぞ……、例え何が
あっても……だ」
皆の方を見ながらジャミルが静かに立ち上がる。
「消えるとしたら闇の方だ……、闇のドラゴンは破壊の為、
利用される為、産まれたんだ……、このままじゃ、あのクソ野郎に
利用されるだけだ……、だとしたら……、チビの方を主体にしなきゃ……、
何としてもチビを守る……!!」
「そ、そうだよ、……ジャミル……!このまま悪事に利用される
ぐらいなら……、闇の方が消えるべきだよ、絶対に……」
「アル……」
一瞬言葉を濁したが、アルベルトがジャミルの目を見て喋り終えた……。
「何にしても……、まずはホビットのおじさん達とも
話をするべきだよ、此処まで来たんだから……、早く女王様の
お城に行かなくちゃね……、ハア……、チビちゃん……」
ダウドも心配そうに眠ったままのチビに触れる……。4人はその夜、
神殿内にある古びたベッドを貸して貰い、疲れた心と身体を
休める事にした……。
「……きゅぴー、きゅぴー!」
「クィィィー!!」
「……?チビ……」
祭壇の方から声が聞こえ……、ジャミルも目を覚まし、
祭壇の方へ行ってみる。……其処ではチビとすっかり元に
戻ったラーミアが何か話をしている様な雰囲気であった。
「あ、ジャミルー!今ね、チビ、目が覚めたから、ラーミアと
お話してたのー!」
「ど、どうしたの……?チビちゃん……?」
元気になったチビの声に釣られたのか、ダウドまで起きて来た……。
「お前……、身体何ともないか……?苦しいとか……」
「何でー?チビ、元気だよお!」
「ね、ねえ、ジャミルっ!」
ダウドがジャミルを引っ張る。
「んだよ、ダウド……」
「もしかしたら……、消え掛ってヤバいのは闇の方かも
知れないよ……、チビちゃん、あんなに元気じゃん、……ほら、
闇の方は何か大分弱ってた様な感じだったし……」
「……結局の処……、あなたはチビちゃんをどうしたいの……?」
戸惑いつつも気丈な目でアイシャが青年に訪ねる。
「ですから、先程も申しました通り……、この子達は元々
一つの存在……、身体が別れたままではお互い、負担が
掛り過ぎるのですよ……、このままほおっておけばいずれは
2匹とも徐々に力が衰え、消滅するでしょうね……」
「……!!」
「そ、そんなあ……」
「チビちゃんが……消えてしまうかも知れないの……?」
「……」
「生き永らえさせる方法は一つだけありますよ……?」
「……何だと?」
「……闇の力、光の力……、一つの身体で両方を持つなど
不可能に近いのです……、この子たちは禁断の兵器として
誕生してしまった……、恐らくその為に精神も身体も半分づつに
別れたのでしょう……、ですから……」
「何だよ!勿体ぶらず言えよ!」
「……2匹のうち、片方の存在を主体とし、もう片方の存在を
消してしまえばいいだけの事ですよ……、ですから僕としては……、
闇の力の方を主体として生きて貰いたい、……その為には光の存在が
邪魔なのです……」
「……テメエはチビの方を消せって言う事なのか……!?冗談は
顔だけにしとけ……!!」
「そうよ……、そんな事絶対許さないわよ……!!」
ジャミル達は揃って青年を睨見続ける……。
「おやおや、気性が荒いですね……、ですが、あなた達の方こそ
どうなんです?光が生き残れば闇は消えるんですよ、すなわち……、
あなた方こそ、この子を消せとおっしゃっているんでしょう……?」
「……それは……」
逆に青年に問い詰められ、今度は何も言えなくなってしまう……。
「……早い話、両方消滅する前に片方が力尽きて死ねば
いいだけの事ですが……、先に闇のこの子の方が死んで
しまったら困るのでね……、手っ取り早く光の方を消して
しまいたいんですよ……」
「……酷い……、なんて事言うのよっ……!」
アイシャが再びキッと青年を睨んだ。
「あの……、どうにかして両方共……、生かす事は出来ないの……?」
「無理ですね!」
「そんな……、ストレートに言わないでよお……」
青年の余りにも即答な言い方にダウドは肩を落とした。
「……まあ、僕はこの世界を再び闇に落とす為に邪悪な
力の方を持つこの子の力を借りたい……、そう、女王の城で
卵の中から感じていた闇の力……、そうですよ、……この子は
邪悪な闇の力の方が遥かに強かった筈です……」
「……!?待って……、もしかして……、あなたが城から
卵を盗んだの?……ねえ……」
アイシャに問い質され、青年は一瞬、アイシャの方を見たが
すぐに目を伏せた。
「まあ、そうですが……、それについては今は話す必要は
有りませんね、この子もそろそろ今日は限界の様ですし……」
「グ、グウウウ……ウ、ウゥ……」
青年の足元にいたもう一匹のチビドラゴンが苦しそうに呻いた。
「それでは今日はこの辺で失礼致します、下賤な皆様、ごきげんよう……」
「ちょ、ちょっと待てよ……!おいっ!!」
ジャミルが止める間もなく、青年はもう一匹のチビドラゴンを
連れ、姿を消す。
「……このままじゃ……、いずれチビは消えるのか……?」
取り残された4人はどうしていいのか分からない状況になり……、
その場に立ち尽くす……。
「あの男、闇よりの者と言っておりましたね……」
「……大魔王ゾーマの志を継ぐ者なのでしょうか……」
「……きゅぴ?」
アイシャに抱かれていたチビが目を覚ます。
「チビちゃん……、大丈夫、大丈夫よ……、何も心配する事なんか
ないんだからね……」
アイシャが優しくチビを撫で、頬ずりする。
「皆さま……、今日は……」
「神殿でどうぞごゆっくりなさっていって下さい……」
「有難う、気を遣ってもらっちゃって悪いな……」
「いいえ……」
「いいえ……」
4人の心情を理解してか、巫女さん達が優しく微笑んだ。
「ジャミル、……皆、今夜は此処でお世話になろう……」
アルベルトの言葉にジャミル達が頷いた。
そして、夜……、チビはあの後、一旦目を覚ましたものの、
力を使った為、疲れてしまったのか、またすぐに眠って
しまった……。
「ね、ねえ……、ジャミル……、チビちゃん消えたりしないよね……、
ね……?」
震えながらダウドがジャミルに訪ねる……。
「当たり前だろ、……お前らあまりビクビクすんなよ、
普通にしてろよ、チビに気づかれる……」
「最近チビちゃんがよく眠るのは……、もしかして……」
「やめろよ……、アイシャまで……、頼むからさあ、
止めてくれ……」
「……あの人、ラダトームで初めてあった時もやたらと光と闇が
どうのこうのって私に聞いてきたのよ……、闇は邪魔なんでしょうか……、
とか……」
「それにしても……、またチビに隠し事が増えてしまったね……、
ごめんよ……」
謝りながらもアルベルトがそっとチビに優しく触れた。
「……俺は絶対にチビを消させねえぞ……、例え何が
あっても……だ」
皆の方を見ながらジャミルが静かに立ち上がる。
「消えるとしたら闇の方だ……、闇のドラゴンは破壊の為、
利用される為、産まれたんだ……、このままじゃ、あのクソ野郎に
利用されるだけだ……、だとしたら……、チビの方を主体にしなきゃ……、
何としてもチビを守る……!!」
「そ、そうだよ、……ジャミル……!このまま悪事に利用される
ぐらいなら……、闇の方が消えるべきだよ、絶対に……」
「アル……」
一瞬言葉を濁したが、アルベルトがジャミルの目を見て喋り終えた……。
「何にしても……、まずはホビットのおじさん達とも
話をするべきだよ、此処まで来たんだから……、早く女王様の
お城に行かなくちゃね……、ハア……、チビちゃん……」
ダウドも心配そうに眠ったままのチビに触れる……。4人はその夜、
神殿内にある古びたベッドを貸して貰い、疲れた心と身体を
休める事にした……。
「……きゅぴー、きゅぴー!」
「クィィィー!!」
「……?チビ……」
祭壇の方から声が聞こえ……、ジャミルも目を覚まし、
祭壇の方へ行ってみる。……其処ではチビとすっかり元に
戻ったラーミアが何か話をしている様な雰囲気であった。
「あ、ジャミルー!今ね、チビ、目が覚めたから、ラーミアと
お話してたのー!」
「ど、どうしたの……?チビちゃん……?」
元気になったチビの声に釣られたのか、ダウドまで起きて来た……。
「お前……、身体何ともないか……?苦しいとか……」
「何でー?チビ、元気だよお!」
「ね、ねえ、ジャミルっ!」
ダウドがジャミルを引っ張る。
「んだよ、ダウド……」
「もしかしたら……、消え掛ってヤバいのは闇の方かも
知れないよ……、チビちゃん、あんなに元気じゃん、……ほら、
闇の方は何か大分弱ってた様な感じだったし……」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅢ編 その後編 助っ人、小悪魔!? 作家名:流れ者