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ブロンズ・ハーミット
ブロンズ・ハーミット
novelistID. 70979
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火に油を注ぐ

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「そうですか......言っておきますけど、奴等が嘘を吐いたら僕にだって考えがあります」
「考えすぎだ......こういうのはすぐにバレる」

後日、行われた保護者会で岩城の父親は兄の事をH市で起きた殺人事件の被害者としては認めたのだった。岩城の父親は兄とは奴が高校を卒業した辺りから疎遠である事と殺人事件の被害者として連絡を受けた時に初めて奴等が犯人とその婚約者にした事を知ったのを保護者達へと訴えたのだった。校長はこういうのは誰にも起こり得る事としてフォローをしているが、保護者達からの冷たい視線はそのままであった。

「“犯人”ですって...●●さんをそんな風に言わないでっ!」
「そうよ!悪いのは!あんたの兄でしょうが!!」
「幾ら法で裁かれなかったからって!」
「俺達から●●さんの音楽を奪ったんだ!」
「お前ら家族が確りしていたら!」
「他にも被害者がいた可能性だってある!死んで当然の人間だ!!」
「それに!お前の息子も女の子への虐めに加担していたんだってな!?」
「落ち着いて下さい!皆さん!!」
「そうですよ!岩城さん達は法的には犯罪者の家族ではないんですから!!」

保護者会は騒然となり、お開きとなってしまった。矢嶋は両親から他人を偏見で差別してはいけないという説教と結果的にイジメを止める為に行動した事を褒められたのだった。その後......岩城は虐めこそ受けなかったが、教室、否、学校全体で孤立する事となる。特に女子児童は一切近寄らなくなった。それから、矢嶋も教室で浮いてしまう事になったが、岩城と違って話しかければ、普通に対応してくれるので特に問題は無かった。そして、ガキ大将達は自分達を省みる様になったのか、弱い者虐めの類をしなくなった。それが“調子に乗って他人を追い込んだら碌な結末が待っていない”事を直感的に悟ってしまったが故の保身なのかどうかは判らない。ただ......小学校を卒業する時にガキ大将を始めとしたクラスメイトの数人が矢嶋に小さな声でお礼を言った事は確かである。




「この人!痴漢です!」

数年後、満員電車の中で1人の中年男性が隣にいた派手な女子高生に手首を掴まれて叫ばれてしまう。中年男性の名は岩城洋二...岩城の父親であった。岩城の父親は急いで弁解しようと口を開こうした時だった。

「違っ!」
「お姉さん!大丈夫ですか?」

女子高生の近くにいた中学生らしき少年が人込みを掻き分けて現れた。洋二は“何処かで会ったか?”と少年の顔を見ていて思ったが......思い出す事が出来なかった。だが、少年は洋二の顔を見ると怒りと嫌悪に染まっていった。

「お姉さん!すぐ其処の駅で降りましょう!!」
「えっ!?何っ...」
「この男は全国的に有名な性犯罪者の弟です!痴漢をされたのなら逃がしたらいけない!!」
「なぁ!?」

男子中学生の言葉に周囲の人々が騒めき出した。

「そっ...そうなの!?」
「はい!」
「マナ!」
「かっ...カズヤ!このおっさんがあたしのお尻を...この子がおっさんが有名な性犯罪者の弟だって!」
「へっ!?そっ、そうなのか!?」
「そうですよ!YouTu●eとかで動画がある様な奴の弟です!」
「そうか!それなら、ヤッてるよな!」

如何にもDQNという感じの彼氏も想定外という感じで動転している。何時の間にか周囲の乗客達の視線も洋二に集まっている。

「ちっ、違う!私は痴漢なんてしていない!アイツとは違う!違うんだ!!」

「うわ...マジかよ!兄弟で性犯罪者かよ......」
「ねぇ......あの人、この時間帯でよく見ない?」
「あっ!私、あの人、知ってる!●●社の営業の人だ!?」

「岩城君...」
「課長!?」
「この騒ぎは何だね?それと...君の弟さんとは何の話だね?確か...性犯罪者とか聞こえたんだが...」
「そっ...それは...」

そんなやり取りをしている内に電車が駅へと到着してしまう。男子中学生はDQN彼氏と女子高生へと促している。

「ほら!駅員さんへと突き出しましょうよ!」
「おっ、おう!おっさん!この駅で降りるぞ!!」
「ちっ、違う!私は...」
「後の事は駅員さんや警察の人に弁解して下さい!本当に●●●●さんを始めとした世間に恥じない事をしているなら堂々としていられるでしょう?」
「うぅ...!」
「●●●●?誰よそれ!?」
「●●●●......確か、婚約者を集団暴行を受けた上に脅迫を受けた人気歌手だったな?」
「......」
「確か......君の弟は同じ時期に亡くなったな?まさか...」
「●●●●、歌手っと...酷ぇな~...こりゃあ!」
「カズヤ?どれどれ...うわぁ~...最低ね...殺されても文句言えないわ...!」
「おい!この事件の殺された奴等ってのが?」
「はい、そいつらの中の主犯だったんですよ」
「......岩城君...何故黙っていた?」
「アイツとは...血が繋がっているだけで赤の他人も同然でして...」
「君もいい大人だろう?悪いが...それを判断するのは君じゃない...世間だ」
「かっ...課長...!」
「取り敢えず...本当に痴漢をしたかどうかを釈明しなさい......話はそれからだ」
「はっ...はい!」

被害者?である女子高生とDQN彼氏は呆然としながら事態を伺っている。彼らは痴漢冤罪を仕組んでおっさんから金を巻き上げているDQNであった。今日も何時も通りにターゲットを狙ったら想定外な方向へと話が行ってしまっている。彼らはいい意味でも悪い意味でも小物であった。なので、思ってしまった。

「マナ...」
「何よ?カズヤ?」
「もう...小遣い稼ぎにこんな事を止めようぜ」
「えぇ、行く処まで行ったら戻れなくなるものね」

その後、女子高生は本当に触られたのか判らない、勘違いしたのかも知れないと証言をして洋二は一先ずは解放されるのだが、会社の上司にも近隣の警察にも兄の事を知られてしまい、居辛くなり、会社を退職して実家のある田舎へと引っ越してしまう。女子高生とDQN彼氏は何かが醒めてしまったのか......真面目に生きる様になり、高校を卒業後は就職して働く様になったという。そして、

『今日未明......●●町の郊外に住む一家全員が惨殺されているのが発見されました。被害者は岩城洋二さん(48)、岩城陽介さん(18)......』




おまけ




「っていう事があったのよ」
「そうなんですか......風子さんも虐められていたんですね」
「それで......そいつがいじめっ子を一喝した事で収まったっていう事か」
「あぁ...俺が何度止めろって言っても聞かなかった癖にな」
「でもさぁ...結局、矛先が岩城に戻っただけで根本的には何も変わらなかったんだよね」
「そうだな...暴力とかは振るわなかったけど、会った事もねぇ伯父がクズ野郎ってだけで無視されているのを見るのはなぁ」
「けっ!俺は同情なんてしねぇぜ!!っなヘタレ野郎にはな!!」
「同感だな......情けない人間だ」
「でも...どうして?烈火くんの言う事を聞かなかったのに......」