サバンナ・ゲーム
イギリスがそれを仕上げ、一夜過ぎた、次の日の夜。
「酷すぎるんだぜイギリスは人でなしなんだぜ〜!」
「ハイエナって何なんスか兄貴ぃ!あんまりだぜ!」
各国で、話題になった。
イギリスがワールドカップ出場国を動物に例えた、あまりにも的確な記事。
イギリスは吠えかかる野犬とハイエナに、嘲笑たっぷりに答えた。
「悔しかったら、評価をあげてみろよ。
次は判らねぇぜ?」
実に満足だ。
みんな、みんな自分の記事に注目している。
周りの連中をバカにする中で、ちょっと離れたところから、忌々しいバカの声が聞こえた。
「どっ、どいつぅ、そんなに気にしないでよぉ・・・ワニ可愛いよ俺好きだよ?」
「あぁ、そうだ俺はどうせみんなの嫌われ者なんだ・・・イタリア、いいんだ。
お前だけは美しい。」
ちくしょうラブラブバカップルが。
うまいこと例えたと思っていたのに、イタリアも爆笑してやればよかったのだ。
的を得ている、と。
ドイツのフォローに回るイタリアの近くに、日本を見つけた。
日本は、ガゼル。
可愛らしく飛び回り俊敏で、角の一突きは強大な威力を誇る。
弱いことに変わりはないから、それでも気に入ってもらえるように、気を使った。
ガゼルのぬいぐるみまで買った。
可愛い、赤ちゃんガゼルのぬいぐるみ。
「ワニは強そうなイメージがあっていいじゃないか。
僕なんてサイだし、日本にいたってはガゼルだよ?僕はノロマで日本は餌!
酷すぎるよ」
「えぇ。巷の若い女性のように、ガゼル可愛いといってバカにされたのを喜んでいられるほどおバカでもありませんし・・・
イギリスさん、酷いです。」
日本。
気に入ってはいない様子を目の当たりにして、ショックを受ける。
しかも、弟分で恋敵、アメリカのすぐ傍。
「しかも自分は評価に入れないんだよっ!?あいつってほんとに卑怯者だよね!」
そ、そんなに寄ってたかって悪口を言わなくてもいいじゃないか。
「あぁ、そうだな・・・じゃあこれはどうだ、イギリスを俺たちで例えてみるのは」
「Oh!君らしくない発言だね実に面白いよ!
そうだなぁ・・・ハゲタカ?」
「ブタ?」
「ハイエナ?」
「ハイエナはもう出てるぞ日本。」
酷い。
酷すぎないかそれ。
もう少しいい動物にならないのか。
絶対猫科動物にはなれると思っていたのに。
イギリスが4人の会話を聞きながら、泣きそうになっていたとき。
ドイツが何かを思いついたように、手を叩いた。
「ハゲタカがいいと思うぞ。
高みから餌を狙い、弱いウサギやガゼルを食べようと目論むが、」
「私何回食べられるんですか!?」
日本は捕食される動物であることがよほど気になるらしい。
滅多にドイツの会話に口を挟むことなどないのに、噛みついてきた。
イタリアにはそれもおかしかった。
「いいから聞け。
目論むものの、結局食べられるのは屍肉ばかりだ。
息のいい獲物は捕まえられない。どうだ?」
「いいじゃないかドイツ!君にもユーモアって言うものがあったんだね!」
ゲラゲラとアメリカが笑う。
いつも堅くて面白くないことしか言わないドイツからのジョークが、妙にツボにハマったようだ。
「お前は一言余計に喋らずにいられないのか?」
そういうドイツの口元にも笑み。
4人でひとしきり笑いあった頃、泣きそうな顔をしながら、噂の主が出てきた。
「うっ・・・お前ら酷すぎるぞばかぁ!何でそんなに言うんだよ!!」
「イギリスさん・・・」
泣きそう、ではなく、泣いていた。
本当に泣き虫だ。
その顔も、イタリアにはツボにハマったようだ。
「ぷふっ、さっきから話聞いてたんでしょ〜?イギリスっておかしいねぇドイツw」
その顔に、イタリアとアメリカが爆笑する。
イギリスだけがバカにされてないなんて、許せないのだ。
「うるせぇワニ!ネコ!お前らなんて最低だぁ!」
「いっ、イギリスさ・・・行っちゃった・・・」
「早速ネットにあげよう日本!みんな爆笑するよ!」
「さんせーさんせーv独伊米日共同発表〜♪」
走り去っていきながらもこちらの様子をちらちらと気にするイギリスに、
日本は痛々しさを感じながらも、ノリノリのメンツに便乗することにしたのだった。