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甲斐性と雨宿りしたら・続

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猗窩座が仰向けに倒れたまま鷹揚に頷くと、煉獄は優しく破顔して隣に座り、布団に無造作に投げ出されていた手を両手で包み込んだ。

…ああ、可愛いなお前は。
しかし何をしているのかは理解できない。俺の手をとってどうする気だ。

煉獄の行動がわからず無言で眺めていると、そっと隻眼を伏せて手を握る力をほんの少し強くしてくる。しばらくそのままなので、さすがに声をかけた。


「…杏寿郎、どうした」

「…君は温かいな」

「まあ、鬼とて血は流れているからな。循環していれば体温もある。…寒いのか?」


こちらの手の甲を両手の親指でなぞるように触れてくる相手を、窺うように見上げる。
しかし煉獄は「寒くはない、ありがとう」とにこりと笑い、続けた。


「先程、君の体温を全身に感じてひどく安堵した。もう少し、触れ合っていたいと思ってしまってな」

「なるほど、人肌は落ち着くと言うしな。…なあ杏寿郎、」

「ん?」

「もう一度抱きたい」

「それは無理だな」

「くくく、さすが判断が早い」


いつもなら一度で終わるところを、今夜は二度付き合ってもらっている。却下されるのは想定内だ。

猗窩座は喉を鳴らして笑うと、空いている手で煉獄の腕を掴んでその身体を引き寄せた。
煉獄も抵抗なくそれに応じ、こちらに覆い被さるようにして横になる。
上に乗ることに遠慮しているのか、肘を立てている煉獄の背に腕をまわしてぎゅっと抱き締めた。身体が重なり、隙間がなくなる。


「む…、重くないか?」

「ははは、俺は鬼だぞ?」

「それはそうだが…」


顔を上げようとする煉獄の頭も抱き寄せ、駄目押しとばかりに柔らかな金の髪を撫でてやると、諦めたのか腕の中の身体が力を抜いたのがわかった。


「どうだ、安心するか?」

「…ああ。体温もそうだが、君という存在にな」

「鬼に対して心が安らぐとは、さすが杏寿郎だ。肝が据わっている」

「鬼である君にというより、君という男に、と言ったほうが正しい」


煉獄の発言に猗窩座は言葉を詰まらせ、奇妙な沈黙を落としてから「…そうか」とだけ短く返した。
同時に、守らなければ、という強い感情が芽生える。
顎の下の頭に鼻先を埋めた。

杏寿郎は強い。俺が守る必要などないほどに。
鬼殺隊の柱にまで上り詰めた男なのだから当然だが、それだけではない心の強さが芯にある。
しかし、その心にだって拠り所がなくてはならないのだ。
杏寿郎が素でいられる場所、弱音を吐ける場所、頼りにできる場所。
そんな居場所に、俺はなりたい。

決意を新たにぎゅっと腕に力を込めると、くぐもった声が剣呑な色を孕んで耳に届いた。


「…まずい」

「?」


つむじに視線を落とすと、のろのろと煉獄が顔を上げ、深刻そうに言う。


「…君のものが流れ出てきた」

「そ、そうだった!今すぐ風呂場に行こうっ」

「時は一刻を争うが、立ち上がれば大惨事は免れないだろう。すまないが、俺を抱えて行って欲しい」

「任せろ杏寿郎、元よりそのつもりだ!」


言いながら煉獄を俵のように担ぎ上げ、足場を蹴って一足飛びに廊下を駆け抜けて風呂場に飛び込む。時間にして数秒にも満たない移動。なんとか種子が床に垂れずに済んだ。


「揺れないように気を遣ってくれたのだな、助かったぞ」


表情を緩める煉獄の大腿に伝う白濁が、形容し難いほどいやらしい。更にシャツやズボンを脱ぎ始める相手を、つい生唾を飲み下して凝視してしまうが、はっと我に返り猗窩座は湯を沸かすためにとって返す。

承諾も得ずに中に出してしまったのは自分である。しかも二回。
責任を感じながら火を起こし、このあと確実に訪れる試練に心を落ち着かせるよう努める。
そう、その試練とは、理性を保ちつつ杏寿郎の尻から精液を掻き出す行為のことを指している。
杏寿郎にとって安心できる男でいられるため、俺は菩薩のような悟りきった心で挑まねばならない。

敵はいつだって自分自身。

かつての己の師の言葉を脳裏に反芻させ、ひたすら火を安定させる作業に没頭した猗窩座だったが、結局掻き出される度に震える煉獄に抑えが効かなくなり、息子を使ったほうが早いと結論づけて三戦目になだれ込んだのだった。

行為の最中にも関わらず、煉獄に身体の数ヶ所を素手で破壊されながら「無理だと言ったはずだ」となかなかの本気で怒られたことは言うまでもない。


翌日、足腰が立たない煉獄だったが、甲斐甲斐しく猗窩座が介抱したところ、夕方からの任務には間に合ったという…。


fin.
作品名:甲斐性と雨宿りしたら・続 作家名:緋鴉