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ここまでたどり着くがいい

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イタリアから疎開してきた沢田の娘は、初めて自分の真名を知ったらしい。漢字一文字で表された名前をみて目を丸くした。アルファベット3文字で表された名前の他に名前があった。その事実は彼女にとって嬉しいことのようだった。


「君の名前は、全部父親の名前から作られている。その意味でも君はあの子の娘だ」
「ほんとう?」
「糸に吉で結。かたく結ぶということ」
「結ぶ?」
「そう」

意味を尋ねられて、彼女の後見人兼一時的な父親代理は彼女の名前をくりかえし説明した。同じことを何度も言う行為は、疲れはしたが煩わしくはなかった。
君の名前は結。しっかりと結ぶという意味。


「子は、かすがい」
「かすがいってなあに?」
「つなぎとめるもののこと」
「わたし、かすがいなの?」
「そうだよ、父親に似ず冴えてるね」


あの子はほんとう、こういう直感はダメなんだよ結。だから、本当に君が僕がしっかりしないとね。
ちゃんとみてないと、あの子は遠く遠くへ行ってしまうから、遠回りしてしまうから。
だから君はいてもいい。

「君ならいいんだ、間に入って来ても」

あの子から生まれあの子から作られた名前を持つ君ならば許せる。そう愛せる。

「だからね、僕は許さなかったんだ」

首をかしげた彼女に笑う。

「君3月生まれだろ」
「うん」
「だからね、君の父親はそれに因んで名付けようとしたんだ」
「わたし、結じゃあなかったの?」
「そう。僕は、それを許さなかった」

彼は鮮やかに誰かを見つめて笑った。

「3月に生まれたから弥生、なんてみえすいた名前はね」











”あなたと生きていけますように”と遠まわしで伝える迷子、君の父親。
作品名:ここまでたどり着くがいい 作家名:夕凪