円ヒロ
「おはよう、円堂くん」
目の前に赤い髪と血色の悪い白い肌が見えた。円堂は覚醒するためにゆっくりと瞬きした。瞬きをしても、やはり目の前にヒロトがいた。
「おはよう、ヒロト。どうしたんだ?」
「昨日の夜自分の部屋で寝てたら寂しくなって、円堂くんの部屋に入ったんだ」
「そうだったのか…」
きっと怖い夢でも見たのだろう、と円堂は思い、ヒロトの頭を優しく撫でてやった。吉良星二郎やジェネシス計画、あるいはエイリア学園の仲間の夢だろうか。円堂にはわからない。
「ひどいよ、円堂くん…。扉に鍵かけてたでしょ。俺鍵壊さなきゃならなかったんだよ…?」
円堂の心配をよそにヒロトは唇を尖らせてすねたように言った。
「え、俺鍵なんかかけてたか?ごめんな、ヒロト…」
「ううん、もういいんだ。こうして円堂くんと一緒に寝られたから」
ヒロトは円堂が頭を撫でる手を取って、自分の頬に当てた。ヒロトの肌は冷たく白く、円堂は本当に生きているのかと心配になった。円堂の気持ちなどお構いなしに、ヒロトは押し当てた円堂の手に自分の手を重ねうっとりと円堂を見つめているのだった。