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賑やかな昼食の予感

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The omen of a noisy lunch break



図書室は私の生活の一部だ。
昼休みにはここで読書をして過ごすのは私の日課で、週に一回、昼休みと放課後に図書委員の仕事もある。

今日の昼休み前半の図書委員の当番は私。
4時間目の授業が終わった後、私はすぐに図書室の貸し出しカウンターについた。

図書室を利用する学生の大半は漫画や新聞を読みに来るか、試験勉強をしている事が多く、本を借りに来る学生は意外と少ない。(そんな訳で、この貸し出しの仕事は暇とは言わないまでも割とのんびりとしていて、私はこの間に本を読んでいる事が多い。)
逆の言い方をすれば、本を借りに来る学生は割とお馴染みの顔ぶれなのだ。


私がカウンターについてしばらくもしない内に、この図書室のお馴染みの顔がやって来た。
時代錯誤も甚だしい角帽と下駄。
春夏秋冬一貫した長袖とマフラー。
そしてマフラーで覆いきれていない部分を隠すかの様なメガネ。

この図書室の常連の一人、ナカジ君である。

服装もさることながら、このナカジ君。相当な変わり者なのだ。

成績は間違いなくトップクラスを狙える頭脳を持っていると思われる。
しかし、英語だけは毎回ちょうど赤点ギリギリの点数なのだ。
聞くところによると、「別に英語なんか興味がないし」と言って、欠点ギリギリの点数を『狙って』取っているとか。
しかし、それでも他の全教科は満点に近いので、成績は常に上位である。


昼休みの彼は、決まって早い時間に図書室に来て前の日に借りた山積みの本を返却する。
そして、また新しく山積みの本を手に取り、昼休みの間中読書にふける。
昼休みが終る頃に、残りの本(この時点で、最初に取って来た山積みの本は半分くらいになっている)を借りて教室に戻る。

昼休みの間中、ナカジ君を観察した事はないが、毎日の返却名簿と貸し出し名簿の両方に、いつも彼の名前がある事から、これが彼の昼休みのルーチンワークなのだろう。


・・・・・・ここでふと気になった。
ナカジ君は昼ごはんをどうしているのだろう?
図書室で彼の姿を見ない日は無いし、飲食物持ち込み厳禁の図書室で当然飲み食いなどしない。

生物の授業で、植物は日光エネルギーを使って水と二酸化炭素からエネルギーを作っていると習った事がある。
まさか、ナカジ君も日光の力でエネルギーを・・・・・・!!


・・・・・・・・・そんな訳ないか。
ナカジ君は(多分)人間だろうし、彼はいつも日の当らない暗い場所に座っているのだ。

・・・・・・・・・・・・何を好き好んで薄暗い場所で本を読むのかはさっぱりわからないけど。


それにしても、読書のスピードが凄まじい人である。
彼の脇には既に読み終えた本が3冊置かれているし、傍から見たら本をパラパラパラとページをめくっているだけにしか見えない。
ちゃんと、本の内容は頭に入っているのだろうか。


そんな事を考えていたら、ある男子生徒がナカジ君の側に近付いてきた。
その男子生徒・・・タロー君(本名:ムラジタロウ)はハワイからの帰国子女で、学内では変人扱いされているナカジ君にも普通に接する数少ない人間なのだ。

タロー君は、ナカジ君の脇にある読み終えた本の順番を入れ替えた。

「何をするんだ、タロー!!!」

ナカジ君がタロー君に怒号を浴びせた。
なんで本の順番を入れ替えただけで怒るのかがさっぱりわからない。
しかも既に読み終えた本の、である。

「誰にも構って貰えなくて退屈そうなナカジ君を、新たな世界に連れ出しに来たんだよ。そう怒るなって。」
「俺は今のこの時間に満足している。第一誰も他人のことなんかそこまで気にしちゃいないし。」
「ん?だったら俺が遊んでやろうか?」
「俺の邪魔をするなと言うのがわからないようなら…」


喧嘩になりそうな雰囲気だ!
これは図書委員として止めないと・・・・・・


「あのちょっと、図書室で喧嘩は止めて・・・・・・」
ぐうううぅぅぅ~~~


目の前の二人に聞こえんばかりの音で、私のお腹が鳴りだした。
そういえば、まだ昼ごはん食べてなかったっけ・・・・・・

二人の視線が私に集中する。
は・・・・・・恥ずかしいっ!


「なんだ、サユリちゃん腹減ってるのか。」
「うん、図書委員の仕事が昼休みの前半の方に入ってたから・・・」

タロー君が私に話しかける。
とりあえず、一触即発の喧嘩の空気は飛んで行ったようだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・私のお腹の音で。

「じゃあサユリちゃん。俺たちと一緒に昼メシ食わねえ?」
「うん。もうすぐ当番が交代になると思うから・・・・・・」
「俺『たち』って、俺もお前の昼メシに付き合うのかよ。」
気が付いたら、もう昼休みも後半に差し掛かりかけていた。


「そういえば、ナカジ君はお昼ご飯とかいつもどうしてるの?
毎日ずっと図書室にいるみたいだけど・・・・・・」
「人間は水さえ飲んでれば何も食わなくても2週間位なら生きていけるぞ。」

・・・・・・・・・・・・いやいやいやいや、『生きていける』とかそういう問題じゃないだろう。
ていうか、本当に何も食べてなかったんだ、この人。

そんなやり取りをしているうちに、昼休み後半の当番の子がやって来た。

「じゃあ、ナカジ君。私はタロー君と昼ごはんを食べに行くけど・・・・・・
 ナカジ君はどうするの?まだ本を読む?」
「まあ飯くらい付き合おう。
 人が増えたところで不味くなる事も無いだろうからな。」
・・・・・・・・・・・・この男は。


そんなこんなで、3人でお昼ごはんを食べに行く事になった。

いつもとは一味も二味も違う、色々な意味で充実したランチタイムになりそうである。



後書き
pixivでの企画で、濱口サクヤ様より、
「ナカジ、サユリ、タローの3人。舞台は学校。お昼休みに楽しく3人で昼食をとっている」
というシチュエーションのリクエストでした。

しかし、出来上がりは随分違った物になってしまいました。

それでも快く受け取って下さった濱口サクヤ様の懐の大きさには、ただただ感謝でございます。


ここから先の昼食風景も機会が有れば書いてみたいですね~。
昼食も三者三様の個性豊かなものでしょう。(特にナカジ)


タイトルが30文字以内に収まらないので、和訳して誤魔化しました。
最も、私の英語力などたかが知れているので、正しいかどうかは知りませんが。(を)


では、乱文失礼しました。
作品名:賑やかな昼食の予感 作家名:さとし