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Killertune

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05 探し出してくれてありがとう/西武。の、ネタがなかった…



「池袋の西武の乗り場っていまいちわかんなくねー?」
「あー、なんかさ、レッドアロー号何時とか電光掲示出てる割にはいまいち乗り場すぐにねーよな?こっちか?っていくと山手じゃん?」
「どっちかってーとサンシャイン目指して丸ノ内のがわかりやすいっつーか…なんか有楽町より丸ノ内のがわかりやすいよな、あれ、そういや」
「ああー、あとあれじゃね、東上のがなんかこう、ストレートに出てこねえ?有楽町は…有楽町ってなんだっけ?地下鉄?」
「地下鉄地下鉄。あのなんかいまいちぱっとしねー色の看板のとこだって。つか、東上そうかー? …ああでもそうかもな…メトロポリタンとこエスカレーター降りてJRの方いくと普通に出てたっけか、看板」
「そうそう、つっか山手ホームから見えるじゃん」
「あー、あのあれな、白地に青?みたいな? …あれ昔見てから全然かわんねえんだけど…ほんとにぜんっぜん変わってねえ気がすんだけど…つかいまだにあの変な臭い改善されてねーらしいんだけど…!」
「電車の色なんて見てねーよいちいち…でもな、異臭はな、ヤバイよな。…って、埼京事故って。またかよオイ!おまっ、それ趣味か!」

 罪のない一般人の会話にわなわなと震えたのは西武池袋で、「サンシャインの方にあるのは有楽町線なんだけど…」がっくりとうなだれたのは有楽町で、ちょっと鼻高々風なのは丸ノ内で(恐らく…)、微妙に引きつっているのが東上で、そして事故のひとはいなくて(まあそうだろう)、とりあえず、山手線内回りが「つまりボクが基準てことだよね☆」とカクカクしながら言っていた。

「くだらん、まったくもってこれだから愚民共は度し難い!」
「まったくだ!」
「我々のどこか見つけづらいというのだ!この上なくわかりやすいではないか!」
 そうだそうだ、と唱和する西武軍団の声に、そうかなあ、と口元引きつらせたのは、一般利用客の認識度がいまいち低いっぽい有楽町だった。いや、ほんとはそんなことない、はずなんだけども。あんなにいっぱい働いているのに報われない彼は、そもそも属性が不憫なのかもしれない。
「だが、会長ならばこうおっしゃるであろう…」
 西武池袋の一言に、西武軍団は水を打ったように静まり返る。
「その愚民共こそが我らを活かしも殺しもする糧であると!」
 おお、と軍団連中がどよめくのを、なんでオレここに混ぜられてんだろ…もういいけど諦めたけど…と遠い目をして有楽町がうつろに眺めていた。
「…とりあえず乗り場の位置をもう少し山手寄りにしてみたら?」
 ぼそりと発言したら、きっと睨まれた。
「やかましい帝都高速度交通営団!」
「…今は東京メトロだよ。何度も言うけど」
 律儀に訂正したところで軍団の誰一人として聞く耳持っちゃいない。
 はあ、と深々と溜息をついて、オレもどうしたもんだかな、と有楽町は頭を悩ませるのだった。そんな真面目な所がトラブルを背負い込みやすい原因なのかもしれない。
作品名:Killertune 作家名:スサ