たかが永遠
しかし出会ってはや十年。彼はまだことことと感情のスープを静かに温めている。その様を端から十年見続けている沢田は、もうそろそろか?、と心の中で呼び掛ける。
感情のスープの完成した姿はマグマだ。食べられるものではない、それを、マフィアは己の身体で受け止めることになる。きっとそうなる。
沢田は六道骸がつくる、マフィアを世界を崩壊させるスープ作りを止める気など毛頭ない。むしろさっさと食らってしまいたいのだ。
ある日、まだなのかと音に出して沢田は六道輪廻のめしゅうどに尋ねた。
まだなのか、骸。
お前はいつまで復讐を延期させるんだ?
目標を達成できずにいる有言不実行男は、それはそれは美しい目と美しい冷笑をかえし答えた。
いつでも。いつでも復讐出来ますよ、愛しのボンゴレ。だって僕の時間は永遠なんですから。
予想通りの答えに、沢田は息を吐く。
そうかい、確かにまあ、お前の時間は永いだろう。
けど、この星は永遠じゃあない。あと50憶年で太陽に溶かされるし。それより遥か前に、あと一憶年で生き物が生きていけない世界がやってくる。タイムリミットは確かにある。
いい子だから、ちゃんとお聞き、いいかい。
復讐は復讐し甲斐がある時にやらなくては、駄目だよ。
「沢田綱吉」
「なんだいオレの魔術師」
「雲雀恭弥とは、まだ切れていないようで、何よりです」
その持論、あの小鳥のものでしょう?と嗤ったヘテロクロミア、何て忌々しい。
そうだよ六道骸、いつまでオレらのノロケに付き合う気だい、物好きめ!