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七月七日 夏々
七月七日 夏々
novelistID. 6875
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人は変わると言うけれど2

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「き、木ノ宮、か・・・・?」

ユーリが半信半疑の恐る恐るといった様子で聞く。
それもそのはずだ。
昔のタカオは男だった(と、少なくとも今までは思っていた)。

それが。

全体的に丸みを帯びた華奢な体、すらりと伸びた細い腕、形の良い胸、肌理細やかで健康的な白さを持つ肌、くびれた腰、慎ましやかでこれまた形の良い尻、見事な脚線美。
長い後ろ髪を結いあげている為に露出した、艶めかしい項。美しくつややかな、蒼みがかった黒髪に縁取られた顔もまた、形が整っていて、それを形成するパーツも、深い海を思わせる大きくて澄んだ蒼い瞳、形の良い鼻、少し薄めの唇と、極上品。

どこをとっても文句なしの美少女(しかし口調は男口調)になっていたのだから。

「え・・・・・あぁ。皆オレが女だってこと、気づいてなかったんだ?」

一瞬キョトンとしたあと、納得したようにポンと手を打つタカオに、参加者たちは一挙に脱力する。
中にはへたり込む者もいるという状況に、タカオは照れたように笑った。

「わりぃわりぃ、別に隠してたとかいうわけじゃないし、オレ自身、わざと男みたいにしゃべってました、とかいうわけじゃなかったからさぁ・・・・」
「じゃぁ一体なんだってそんな風に?」

ブルックリンのもっともな疑問に、タカオは言いにくそうに話しだした。

「いやぁ、さ・・・ほら、オレの兄ちゃん、父ちゃんと一緒に世界中を旅してまわって、滅多にうちに帰ってこないんだよ。でも、うちって戦国時代から続く、由緒正しい剣術の道場だからさ、じいちゃんの代で潰すわけにもいかないってんで、オレに白羽の矢が立った、って訳。で、弱い奴に後を継がせるわけにもいかないからって、木ノ宮龍心流の全てをオレに叩き込むべく男と変わらず育ててたら・・・・こうなっちゃったんだよね・・・・」
((((((((((孫娘に何やってんだよ、じいさん・・・・・・))))))))))

あまりにもあまりな理由に、さらに脱力。

そんな一同を尻目に、タカオ達元BBAのメンバーは、

「すごいよネー!時代劇とかにでてきそう!」
「だよなぁ!自分で言うのもなんだけど、跡継がせる為に女を男として育てるとか、一体いつの時代の話だよ!?って感じだよな!まぁ実際は男として育てられた、ってわけじゃないから、ちょっと違うけど」
「タカオのおじい様も流派を絶やさないように一生懸命だったんだろうから、仕方ないさ」
「むしろそれがなければここまで強くなっていたかどうか分からんからな。タカオの祖父殿には感謝してもしきれんが」
「カイの恋人の地位にも収まってなかったかモ?」
「それを考えるとなー」

それをネタに、談笑していた。

元BBAメンバーは大分感覚がずれていると思った、今日この頃だった。












「ねぇねぇところでさぁ、タカオはカイのどこに惚れたの?」
「は!?」

とりあえず騒ぎがひと段落ついたところで、今まで黙っていたマオが興味津津と言った様子でタカオに詰め寄った。
女の子としては、格好の話題だろう。
詰め寄られたタカオはと言えば、顔を真っ赤にして口をぱくぱくと開閉している。

「あ、それは確かに気になるな」
「そういえば聞いた事なかったよネ。普通、あれだけ裏切られ続けてれば愛想尽かすモノだと思うんだケド」
「・・・・・・・・」

どうやら、二人の関係を知っていたレイとマックスも、そこについては知らなかったらしく面白そうに便乗してくる。
そして、カイはと言えば、マックスがさりげなく吐いた毒に、苦虫を噛み潰したような顔をした。

「え、えぇっと・・・・こ、答えなきゃ、だめ?」
「「「だーめvv」」」

真っ赤な顔のまま、おずおずと容赦を願い出たのを、マオだけでなく、その場にいた女性陣全員で却下する。
タカオはしばらく羞恥による涙目をあちらこちらにさまよわせていたが、興味深いという心を前面に押し出した周囲に、やがて、観念したように溜め息をついた。

「やっぱりまずは、強さ、だったかな。ベイもだし、心も体も。オレさ、自分でももろい所があるの、一応自覚してたんだ。だから、カイの強さには凄く惹かれた。でも、おんなじチームになって、カイの中に弱さを見つけて。そのギャップが愛おしくて、もっと惹かれたんだ。それ以外だと、努力家なところとか、ぶっきらぼうに見えて実は優しい所とか・・・」
「へぇ・・・・外見は出てこないのねぇ・・・・」

内面の事ばかりを上げるタカオにミンミンが感心したような声を上げる。
彼女はアイドルである為、常に外見ばかりを見られて、嫌な思いをした事もあったのだろう。

「うーん・・・確かに、カイの顔立ちはもちろん、赤い瞳とか、髪の毛とか、炎を操る指だとか、そういう外見も綺麗だと思うし好きだけど、やっぱりどこがって言うと、内面かなぁ・・・」

先ほど、恥ずかしがって真っ赤になっていたのが嘘のように、本音がぽろぽろと零れている。
今では逆に、カイの方が真っ赤になってしまっていた。

「カイ、真っ赤だヨ!」
「・・・・うるさい」
「まぁまぁ。良かったじゃないか、カイ。あれだけ思われて、幸せ者だな」
「うるさいと言っている!」

初めて聞いたタカオの本音に、真っ赤になってしまったカイを、レイとマックスがからかう。
思わず、真っ赤な顔のまま大きい声をあげてしまったカイに、タカオはようやく、自分が何を口走ったのか自覚した。

「・・・・・っっ///わ、忘れて、今の!!!///」

真っ赤になってわたわたするタカオは、女性らしくてかわいらしい。
そして、そういう子を見ると、からかいたくなるのが人の性、である。

「うふふふvvいい事聞いちゃったvv」
「忘れろなんて、無理ね」
「他にも聞かせてよ。何を隠してるの?」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ/////」

ニヤニヤと詰め寄られて、タカオは顔どころか全身を真っ赤に染め上げて俯いてしまう。
そんなタカオを抱き寄せる手があった。
それは勿論、

「カ、カイ?」
「帰るぞタカオ。こんな所、長居は不要だ」

そのまま出口へと向かうカイに、タカオは慌てて待ったをかけた。

「え、ちょ、ま、待った待った、カイ!オレ達今来たばっかじゃん!?なかなか会えない奴もいるしさ、もうちょっとだけ、ダメ?」

未だに顔に赤みを差したまま上目づかいに見上げてくる(勿論本人は無意識)タカオは大変可愛らしい。
大事な彼女にこんな風に頼まれて、断れる男がいるなら見てみたいものだ。

「ごめん、もうしないから!」
「ちょっとやりすぎちゃったね」

周りで冷やかしていた者も、慌てて謝る。
それをちらりと一瞥して、カイはため息をついた。

「・・・・好きにしろ」
「!サンキュー、カイ!!」

心底嬉しそうに笑ったタカオに、全てがどうでも良くなった。


懐かしい面々との騒がしい夜は、まだ、始まったばかり。






<あとがき>
夜だったんだ・・・・!
特に時間帯は決めていなかったので、最後の締め(になってない気もしますが)の一文を書いた時に、初めて気が付きました・・・;;←

さてさて、後編で変わりすぎてしまった人は、ユーリ達には男の子だと固く信じられていたタカオでした。