おねだりハニー!!
そう言って擦り寄ってくる菊をなんとか突っぱねながら、悲しいことに視線は透
ける黒いナイロン生地ごしに見てもわかるピンクの突起から反らせなかった。
■ おねだりハニー!! ■
ずっと片思いしていたのだ。
神秘的な黒い髪とブラックオパールのような不思議な色彩をした瞳、象牙色の滑らかな肌をもつ彼に。
友達として手をとった時にはたぶん惹かれていた。
気付いたのはそれからすぐのことで、でも友達としてでも側にいられなくなるくらいならと何も言えなかった。
その手をアーサーの意志でではなくはなさなければならなくなった時から、夢で菊を見なかった日はなかったけれど…。
これは夢ではない。
菊の柔らかな唇が確かにアーサーに触れた。
あまりのことにいつもの夢だと思い、己の左頬を殴ったところ痛かったから間違いない。
ならば、菊は何故そんな格好をしているというのか。
いつもは慎ましやかに隠れている肌が胸の下まであらわとなりコルセットと肘上の黒革手袋という魅惑的な姿も気にはなる。
気にはなるけれど、なぜその頭に赤い牛のような角と、同じ色の爬虫類を連想する尻尾がついているというのか…。
いや、透ける乳首を気にしている場合ではない。
断じてそんな場合ではないというのに…。
「アーサーさん抱いてください」
誘うような花びら色の唇が濡れた吐息でアーサーに囁いた。
その表情も甘く溶け、いつもは冷たい色の瞳まで熱で蕩けている。
「きっ、菊おちつけ!!」
「アーサーさんの、もう勃って…。ってえ?」
うっとりとアーサーの下半身をズボンの上から撫でていた手が止まった。
「え…?アーサーさん私が…」
途端にむせかえるほどの色香がみるみる薄れてゆく。
見ると菊は見える肌を全て赤く染め上げた。
ああ、まずい…。
それもたまらなくクる。
股間に触れたままだった菊はそれに気付いたらしくさらに赤くなった。
それに我慢などできるはずがない。
最初から、限界なんだよっ。
やけくそ気味に押し倒した菊の肌は溶けてしまいそうなほど熱かった。