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君僕恋

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「y=ax二乗のグラフが点を通る…」

さっきの獄寺くんの話を聞いていたらなんだか授業が右耳に入って左耳に抜ける
すっぽーんすっぽーんってね。
ちらっと窓を見れば飛行機が見える。ああ、いつか彼もあの飛行機に乗ってイタリアに戻っちゃうのかな?

「つまりさっきの式にx=3、y=4を代入して…沢田、おいっ沢田!」
「ひい!ななな何ですか?!」
「なんですかもないか、お前がボーっとしているのが悪いんだ」
「は、い…」
「じゃあこれを解いてみろよ」

え、まじ?
俺はその場で硬直した後ろでは数学の教師凪崖(ナゲガケ)がニヤニヤしている、今年入ってきた新米教師。
なんだよ、自分がいいとこの大学から出たからって云ってデキの悪い俺をこんな羞恥プレイさせなくてもいいじゃないか!
でも考えたとこで状況は変わりっこないんだ、取り敢えずチョークを掴んでみよう。手にしたチョークが震えるのが見える。嗚呼な避けない。
その時だった後ろから殴りかかる音と罵声が聞こえた、もしやと思い振り返るとそこには獄寺くんが凪崖の前髪をを根こそぎ掴んでいた。
あれ?殴ったんじゃないの?

「おい、テメぇ…なに十代目に恥をかかさせてくれたんだ」
「ひいいい、ごっ獄寺!お前こんなことしていいと思ってるのかかかか?!」
「ああ?いいってことよ、お前のそのうざったい前髪を全部持っていけたからな…」

ツッコミたい…

「ささ十代目お席にどうぞ!こんな問題は俺がちゃちゃっと済ませちゃいますから」

横暴だ…。取り敢えず俺も成績に関わるから獄寺くんに助けてもらい難なく関数を答えられた
凪崖はなんだか悔しそうだった、獄寺くんに根こそぎ前髪を持っていかれたことか、はたまた俺が獄寺くんの手によってすらすらと答えられたからなのだろうか?
でも無残な前髪を見てちょっと情けをかけた

「獄寺すごかったのなー」

授業が終わり真っ先にさっきの話題に振ったのは山本だった。
山本は朝の爽やかの風に当てられ眠っていたが急に罵声が聞こえたから起きてみたところ案の定獄寺くんでちょっと苛立ったらしいが山本も山本で凪崖が嫌いだったから清清しかったらしい。
その前に1時間目から寝るキミの度胸が羨ましすぎる

「たりめーだ!俺は十代目を咎める者がいれば誰であろうと容赦しねーぞ」
「ありがたいけど…」

口ごもった。本当はさっき凪崖が云った通りに成績に響くと云いたかったけど彼はイタリアに帰還するから云っても意味はないか。

「でもよー、そんなことしたらお前内申とかやばくなるんじゃねーのか?」

そんなところをまるで俺の心を読んだかのように山本が獄寺くんに聞いてくれた。内心嬉しかったけどこの先の答えが聞きたくなかったから反面迷惑でもあった。

「あー。そんなのどうでもいい。」
ドッキン
「俺には、」
ドッキン
「関係ないからな」
ズキン…

っ。
やっぱり聞きたくなんかなかったよ…









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作品名:君僕恋 作家名:なっとう