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ヒオウ・ヒナタ~~溺愛魔王と俺様~~

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更迭1



「どういうことさーこれー・・・。」

ヒナタは不満いっぱいにつぶやいた。

「知らない、ていうか僕が知りたい・・・。」

ルックも唖然としたように呟く。


ヒオウとヒナタは久しぶりに魔術師の島に来ていた。

というより、ヒナタだけだが。ヒオウは予定では今日到着するであろうと思われる。

この魔術師の島に来る前にこれまた久しぶりにヒオウの故郷、グレッグミンスターに寄っていた。
屋敷ではグレミオが狂喜せんばかりの喜びようで(まあ予想はついていたが)、さすがのヒオウもすぐに家を発つという訳にはいかなくなったからである。

グレミオももうなかなかいい歳になっているというのに、ヒオウが出発すると分かるとあられもなく泣きだす始末。
ヒオウとヒナタもこの時ばかりは顔を合わせ、苦笑いをしつつ分かっていたことではあるが、とため息をついたものである。

そしてとりあえずあと1日はヒオウ一人でゆっくりグレミオと過ごすということになった次第であった。


グレッグミンスターには通りかかるからと、たまたま寄っただけではあるが、ここ、魔術師の島には用事があっての訪問だった。
といってもたいした用事ではないとは思う。

時間だけはいくらだってある2人である。たいした用事でなくとも、無駄だとは思わなかった。


ヒナタの訪問を受けてルックは相変わらずの仏頂面で迎えた。

「何。何か用?」
「わーなつかしいねーそれ。」
「・・・。」
「ほらほらルッ君ー、そんな仏頂面しないー。」
「うるさい、ルッ君いうな・・・。で、ほんとに何の用な訳?」

ムスッとしながらもヒナタを部屋に通し、ご丁寧にもお茶まで淹れながらルックが聞いた。

「いやーまぁ、たいした用じゃないんだけどねー。なんかさー僕の紋章が最近安定悪いというか、落ち着かなくてー。」
「・・・」
「いや、ほら、ルック、紋章の研究するって言ってたじゃんー。で、何か分かんないかなってさ。」

ヒナタがへらっとしつつ言ってる間に、ルックはヒナタの真の紋章がある手を取って眺めていた。

「なんだよールック、照れるじゃんー。」
「うるさい、バカ。・・・まあ、これといって何があるって訳じゃなさそうだけど・・・。」
「だけど?」
「いや・・・。多分まあ、疲れかなんかじゃないかと思う。」
「・・・は?えっと、紋章が・・・?」
「何?そのバカにしたような目は?君が、だよ。これは紋章の親ともいうべき真の紋章だからね、さすがに力も膨大なはず。これに慣れるにも相当な経験や時間、力がいるはずだよ。いくら君が普通じゃないといってもね、疲れぐらいくるだろうね。むしろ疲れ程度で終わってるほうがおかしい。」
「えっと、何かところどころ納得いきがたい事を言われたような気がするんだけどー?とりあえず殴ってもいい?」
「・・・バカな事言ってないでちょっとそこに横になりなよ。」
「え?何?貞操の危機!?」
「切り裂くよ?」

ルックにジロリと睨まれつつ、ヒナタは笑いながらルックが示したベッドに向かった。
ルックはため息をつきながら後に続く。

「横になったよー?」
「ちょっと会わないうちに、君、あれに似てきたんじゃない?」

横になったヒナタのそばに椅子を持ってきて座りながらルックはあきれたように言った。

「あれ?ってヒオウの事?」
「他に誰がいるのさ?」
「えー、僕はあそこまでひねてないしスケベでもないよー?で?僕は何をしたらいいの?」
「・・・。目をつむって楽にしてて。」

ヒナタが言われた通り目をつむると、ルックは紋章のある手をとり、何やら呪文を唱えだした。
ヒナタの紋章がポウと光りだす。

ヒナタはなんだかとても楽な気分になり、いつの間にやら眠りについていた。

「・・・どうやら眠ったようだね・・・。まぁ、そこで朝まで眠ってるといいよ。」

呪文を唱え終わったルックはヒナタの手をそっとおき、そうつぶやくと部屋から出ていった・・・はずだった。


そうして朝、ヒナタはいつもよりすっきりした気分で目が覚めた。

なんだか違う自分にさえなった気がする。
これもルックが何かしてくれたおかげかなと伸びをしつつ思い、ふと横を見ると・・・自分が寝ていた。

「・・・え・・・?」

ぽかんとしてその自分を見ていると、その自分が目覚めたのか、目を開けだした。

自分の唖然とした間抜け顔を客観的に見ることが出来る日がくるとは。
そしてその自分が言った。

「ぼ・・・僕がいる・・・?」
「・・・はい・・・?」

少々の混乱の後、どうやら中身が入れ替わっているということが判明した。
そして冒頭にもどる。