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レイ・イチ ~けったいなお人は好きですか~

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結末



「ナナミが亡くなってからは何だかあっという間だったよな。」
「・・・ああ。イチはそれまで以上にどんどん突き進んでいったしな。」
「・・・そしてレイがさらに協力的に力を貸してくれてた。」
「・・・そうだな。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「お前、何考えてる?」
「・・・いや。・・・まあ多分お前と同じだろう・・・。」
「・・・そう、か。・・・いや、俺は責めねえ、いや責められねえ。レイには切実な事だったと、思うからな。」
「・・・そうだ、な。ただ・・・俺はイチが・・・。いや、止そう。これで、良かったんだろうよ。」
「・・・今頃は・・・もう・・・。」
「・・・ああ・・・。そして・・・もう、帰っては、こないだろう、な。」
「ああ。・・・もうやめようぜ。はは、俺たちは兎に角も勝ったんだ。ここはあいつらの為にも、ジョウイの為にも、盛大に祝おうじゃねえか。」

祝賀会なんだから、とビクトールはまたフリックと杯を交わした。



「ジョウイ・・・ジョウイ・・・ごめんな・・・ごめんな・・・。」

イチはその場でずっと泣き崩れていた。

どうしようもなかった。

自分がどんどん紋章に命を削られていたようにジョウイもと・・・いや、予想以上だった。
ジョウイは更に弱っていた。
危険だと知りつつも獣の紋章を抑える為に力を使い続けていたからだ。

2人が対峙した時すでにジョウイは助からない状態だった。

せめて最期はイチの手で、と頼むジョウイの希望を最初は叶えたくなかった。
だがもうどうしようもないと分かると、イチは泣きながらジョウイを倒した。

ジョウイはありがとう、と微笑みながら動かなくなった。

そしてイチの紋章は完全なる真の紋章、始まりの紋章となった。

切なくなるくらい、怒りに燃えるくらい、吐きたくなるくらい、力が漲ってきたのが分かった。

そしてただ泣き続けた。
ナナミが亡くなった時は泣かなかったイチは、今は堰が切れたように泣き続けていた。


レイはその場所まで一緒について行った。
そして何も言わずギュッとイチを抱きしめた後、離れた場所で1人待った。

レイには分かっていた。

片割れの命が残り少ないという事が。
やはり奇跡は起きないだろう。
だが自分の恐れる事にもならないだろう。

日が暮れる頃レイは2人が対峙していたであろう場所に近づいた。

そしてそこにレイの望む結果が見て取れた。

ずっと泣いていたのであろう、ジョウイを抱きしめるイチ。
薄かった生命の気配が濃くなっている。

レイはそっと安堵の息をはく。

・・・ごめんね・・・イチ。
でも生きていてくれてありがとう。そして願わくばずっと一緒に・・・。

イチはレイにそっと抱きしめられた。

ああ・・・レイ。
どうしても助けたかった2人は死んじゃったよ。
何の為に俺は戦ってきたんだろう。
昔のように3人で・・・とずっと願っていたのに。
何の為に・・・。

紋章は1つになって俺だけ助かった。
・・・こんな永久の若さなど求めていなかったのに。

ああでも、レイ。
あなたは俺のそばにいてくれる。そう、この先ずっと。願わくば永遠に・・・。

多分レイはこの結果を望んでいたのかもしれない。
だからこそ、あれほど協力的になってくれていたのだろう。
でも、今となってはそんな事はもう、どうでもいい。
もう、いいんだ・・・。

こうなった以上、俺はナナミとジョウイに貰った命だと思って、これからも前へ進んでいくから・・・。

後ろは・・・けっして・・・振り返らない。


そろそろ桜がちらほらと咲きだしていた。