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炎組エア・ギアログ(腐向け)

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レイニー・レイニー(スピカズの予定だった)



 ぽつ、と冷たい何かが鼻先に当たった。空はどんよりと曇っていたし、何より今朝の天気予報では降水確率は60パーセント。
 鼻先に当たったものが何であるか考える必要もなかった。雨が降り出すのだろう。先程鼻先に当たった一粒は、先陣を切って雨雲から抜け出して来た奴に違いない。
 今は鼻先や頬に間隔を置いて当たる程度だが、本格的に降り出すのも時間の問題だ。
 葛馬はポケットに仕舞っていた携帯電話を取り出した。最新機種の割に傷だらけなのは、A.Tの練習中にポケットから落ちてしまうことがままあるからだ。
 それだけ体勢が崩れているのだと、他人に指摘されるまでもなく分かっている。
 所々色が剥げてしまった部分にそっと指をかけ、まだ無事なボタンを操作する。辛うじて傷らしい傷もない画面がぱっと明るくなり現在の時刻が表示された。
 常ならばまだ練習に取り組んでいる時間帯。
 ぽつ、と画面に水滴が落ちてきた。
 ぷっくりと膨れたその部分だけ三色の光を発する。ちょっと顔を顰めて、葛馬は袖口で画面を拭いた。
 水滴は小さくなったが画面に散らばってしまった。小さな水玉の中にはやはり、赤と青と緑がみっしりと詰まっている。
 ぽっかりと開いた歪みは雨脚が強くなるにつれどんどん多くなっていく。結局は文字を読み取れる部分の方が少なくなった。
 もうこれは練習を切り上げるしかない。常に絶好のコンディションで走れる訳ではないのだから、こういった雨の日の練習もやっておくに越したことはない。

(そんなこと言って、練習中に怪我したらどうするの?)

 胸に湧き上がった低く心地良い声。すぐに誰の声であるのか分かって、思わず舌打ち。
 空を見上げれば雨粒が目に入ってしまいそうだった。地面には既に浅い水溜まりが出来始めている。
 ――どうにも練習を続ける気にはなれない。
 じっとりと湿っていく衣類の不快感は増すばかりだ。早く乾いた服に着替えたい。
 それほどなかった手荷物を手早く纏め、葛馬は練習を切り上げた。


 勢いよく地面を蹴れば、シャッ、と地面とホイール、加えて今日は浅い水溜まりも相俟って音がよく聞こえた。
 地面でもパイプでも、ATにしてみれば何処も路面だ。走る道によっては、空気すらも。
 雨で濡れた路面はよく滑る。いつも以上に注意しながら道を見極めて、いつもよりもスピードを抑えて葛馬は走る。
 カンッと軽く欄干を蹴り出し隣のビルへ。雨の日はやはりいつもとは違う。バランスを崩しそうになり、上体を捻って立て直す。
 自宅に帰るまで直線距離で行っても十分は掛かる。思ったよりも早く雨脚が強くなった。もう濡れてしまっているので、これより濡れようが濡れまいが大差ないような気もしてきた。
 しかし十分走り続けて濡れるのも嫌だ。濡れたニット帽は気持ち悪くて、走り出してすぐ脱いでしまった。露になった金髪から雨粒が伝って落ちて、首筋が冷たい。
 ここから家まで十分。それよりももっと近くて、雨宿りを歓迎してくれそうなところがない訳ではない。
 そう思った時点で、葛馬の内心にはその場に立ち寄って雨宿りをするという選択が大きな力を以って彼を引っ張っていた。