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学級戦争

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鍋会編


「門田君、お昼もう食べた? 今から鍋やろうってことになったんだけど」
「……ここ、学校だよな?」
「うん、だから調理室で」
 2-Aは問題学級である、在籍者ですらそう思うのだから間違いない。教師達は職務放棄して授業の9割方が自習となるこの学級の生徒に実習室という武器庫を使う許可が下りたとは思えなかったが、冬真っ只中のこの時期に鍋とは心惹かれるものがある。
「行く」
「じゃあ先に行ってて。僕は一応、交渉しに行くから」
無許可で使う気満々の、しかし妙なところで真面目な委員長は職員室の方へと歩いていった。先に行っても鍵が開いていないだろうと思うのだが、実習室前に来てみれば、女子の保健委員が鍵穴をツールで弄っている。もしや、と声をかければ
「え、だって待つだけ無駄かなって」
所詮、彼女も2-A在籍者でしかなかった。そして結果は分かっていたことだが教員から許可は下りなかったらしい。なら勝手に使います、と無茶苦茶なことを言ってきたらしい委員長は顔を見せるなり
「張間さん、開いた?」
と問うてきた。許可を貰う気がないなら始めから職員室など行かなければ良いと思うのだが、言っておけば覚悟くらいしておいて貰えるから、と苦笑される。止めるという選択がないのはどうなのか、錠破りを見ておきながら未だこの場を去らない門田の口からその言葉が出ることはなかった。





 普段から仲の良い正臣、沙樹、杏里と、誠二が買出しから戻ってきた。それぞれが膨れ上がったビニール袋を抱えていて、材料の多さが窺い知れる。
「お? 門田だけ? 俺等買い過ぎた?」
「岸谷君にも声かけたから」
「あんま食わなそうだけどな」
「門田君、狩沢さんや遊馬崎君も呼ぶ?」
寒い寒い、と買出し班の4人は暖房の前で丸くなり、対照的に美香と帝人は上着を脱いで軽く腕を捲くり、袋の中身を漁る。
「良いのか? 煩いぞ、確実に」
「賑やかな方が楽しいよ。ついでに岸谷君にも誰か連れてきてって言っておいてくれると嬉しいな」
言いながら野菜を軽く洗いザクザクと大きめに切っていく帝人の横で、美香はタレを作っていた。
「誠二はどの味が好き? 頑張って作るよ」
「張間さん、他のタレも頑張ってよ」
「誠二に食べて貰わないと意味ないよ!」
「矢霧君、悪いけど全部味見して」
「……分かった」
「気合入れて作るね!」
手際良く作業している2人を見て、暖房の前にいる4人を見て、電話で後輩を呼び出した門田はふと呟く。
「何で女子が買出しで委員長が料理なんだ?」
 答えは帝人が非力で、杏里は料理が出来ず、沙樹は正臣が悪ふざけしないためのお守りだからである。





「おっじゃましまーす!」
 スターン、と小気味良い音を立てて実習室の扉が開く。しかし現れたのは呼んでいない筈の折原姉妹だった。
「途中で拾っちゃった、って、みかプーが料理男子!? 何でエプロン着けないの!?」
その後ろから説明を入れる筈だった狩沢の注意が別のものにそれてしまったので遊馬崎が代わりに説明する。
「B組に渡草さん呼びに行ったら眼鏡っ娘に話を聞かれて、C組のおねーさんも誘った結果がこれっす」
「謝」
「いや、俺に頭下げられてもな」
謝罪なのか礼なのか分からない九瑠璃の会釈への対応に困っていると、開けっ放しの扉から新羅が顔を覗かせた。
「おや、ひょっとして僕達が最後かな?」
その後ろには静雄もいたが、何故か顔色は優れない。
「いやぁ、鍋が爆発するって聞かなくてね。連れて来るの大変だったよ」
「はあ?」
「委員長がトラウマメーカーってことさ」
「失礼なこと言ってないで、寒いからドア閉めてよ」
調理代から帝人の声が飛んでくる。絡んでいた狩沢はいつの間にか手伝わされていた。何か余計なことを言ったのかも知れない、進んで手伝っているようには見えなかった。その様子を笑いながら新羅は室内へと入るが、静雄は入り口付近から動かない。
「お前は食わないのか?」
「………………」
「早く決めろよ」
腹が減れば入ってくるだろう、とその場を離れたが結局、静雄は絡んできた双子によって強引に引き入れられることになり、鍋が始まれば自棄になったのか肉争奪戦へと参加していた。
 あれだけあった食材が残らなかったのは言うまでもない。





 余談だが鍋の席が如何に楽しかったか実妹にこれでもかと語られた臨也が凹んでいたとかそうでないとか。
作品名:学級戦争 作家名:NiLi