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ナターリヤさんが家出してきました。

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第4話



■前回までのあらすじ■
家出してきたナターリヤさんとごはんを食べました。
ナターリヤさんの言葉にドキドキとか・・・してませんよ。してませんったら。
あ、ナターリヤさん。お風呂の準備ができましたよ。


本田の家に来たのは偶然だった。エリザベータ・ヘーデルヴァーリに勧められたのも理由の一つだが、要はどこでもよかったのだ。私を住まわせてくれるなら。バルトや姉さんのところだとすぐに兄さんにばれてしまうし、ヨーロッパは遠すぎる。他に知ってる奴もいないし、話したこともない奴のところには行きたくなかった。本田とは少しだが交流もあったし、ごはんもおいしいと言われたし。ただそれだけ。それだけの理由。だけど、ここにしてよかったと思う。あいつは干渉してこない。それが心地いい。交わらず、だが平行線でもない、ねじれの関係。そんな距離感。エリザベータ・ヘーデルヴァーリの読み通り、特に問題なく居つくこともできそうだし。この家は暖かくて好きだ。家出してきたことも忘れるくらい。


風呂をわかしてくると席を外した本田は、ナターリヤが食器を片づけたあとに戻ってきた。
「お風呂の準備ができましたよ。お先にどうぞ。」
「ああ。・・・・・・・覗くなよ。」
「なっ!!!!の、覗きませんよ!!!」
耳まで赤くなって否定する本田を尻目に、ナターリヤはすたすたと浴場に向かって行った。
(覗くわけないじゃないですか・・・・!!!!!)
本田は今のうちに、と自分の部屋とその隣の部屋にそれぞれ一つずつ布団を敷いた。
(来客用の部屋と布団があって助かりました・・・。でも、これからここに暮らすなら、ナターリヤさんの必要なものを買わなくてはいけませんね。明日は買い物でしょうか・・・。)
そのとき、本田はハッと思い出す。
「ナターリヤさんの洋服、洗濯し終わったんでした!!!」
汚れていたナターリヤの服を洗ったのは昼間のこと。もう乾いているだろうそれを、脱衣所に用意するのを忘れていたのだ。しかも今度は昼間とは違い着物も用意していない。昼間のように下着姿で歩き回られるのは、とても心臓に悪かった。
(脱衣所に置きに行くしかないようですね・・・。)
自分の失敗にため息をつきながら、ナターリヤの服を持って浴場に向かう。
コンコンと、扉を鳴らした。
「ナターリヤさん。本田です。服を用意するのを忘れていました。」
中から返答はなかった。シャワーの音が聞こえる。
(まだ入浴中みたいですね・・・。お風呂からあがる前に置いていきましょう。)
「失礼します。」
脱衣所に服を置き、出ようとしたと同時に、浴場の扉が開いた。
「あ。」
「っ!!!!!!!!!!!!ナターリヤさん!!!!!!!!!!!ごめんなさい失礼しました!!!!!!!!」
本田はいきおいよく脱衣所からでて、逃げるように茶の間に戻った。



ナターリヤが着替え終わって茶の間に戻ると、本田は正座をしていた。
目の前の日本刀に手をかけて待っている。
「・・・なにをしてるんだ・・・。」
「わざとではないとはいえ、女性の入浴中に脱衣所に入り、しかも貴女のは、はだ、裸を、見てしまうとは・・・日本男児として、申し訳がたちません!!せめてもの償いとして、腹を切ってお詫びをと・・・・・!!!!!」
「何言ってるんだお前馬鹿か!?」
「見てないんですほんとにちらっとしか見てませんから!!!意外と着やせするタイプなんですねとか思ってませんから!!!!・・・・はっ!!私は一体何を!!!」
慌てて余計なことを口走る本田は、言ってはいけないことを言った、と口元に手をあてた。
「・・・・つまり、見たんだな。」
ナターリヤの冷たい言葉を聞いて、本田は鞘から刀を抜いた。キラリと刀身が光る。
「・・・腹を切ります。」
「それはやめろ!私にお前の死体の始末をさせる気なのか!?お前が服を用意してくれたことくらいわかってる。・・・お前に死なれると、私の計画がうまくいかないだろう。ここに住むことにしたのにお前がいなければ・・・・」
「ナターリヤさん・・・!」
「だが、それとこれとは話が別だ。・・・お詫びに私の願いを聞いてくれ。」
「・・・・私でよければ、喜んで。」
「・・・せっかく用意してくれたのに悪いが、この服は寝づらい。なにか他に着れるものはないか?寝巻のような・・・。」
「・・・着物も寝づらいですし・・・浴衣を用意しましょうか。確か、女性用のものがあったと思いますから。」
「あと・・・昼間みたいに、着付けてくれないか・・・まだ一人では、着れないんだ。」
「わ、わかりました・・・。」
風呂からあがったばかりのナターリヤからはとてもいいにおいがした。
髪の毛もまだ乾ききってはおらず、色っぽかった。
(・・・いいにおいがしますね・・・・ハッ!!無心、無心になるのです私!!!)
浴衣の着方を教えながら着付けると、ナターリヤは満足そうだった。
「少し動きにくいが、まあましだろう。」
「今度は私がお風呂に行ってきますね。疲れてるならもう布団敷いておきましたから寝ててもいいですよ。」
「・・・わかった。」
ナターリヤはぽちくんと遊びつつ、本田を待つことにした。
急須に入っていたお茶を見つけ、湯のみに注ぐ。
「そういえば兄さんにも見られたことはなかったかもしれないな・・・。」
ぼんやりとつぶやきながらぽちくんの頭をなでた。

一方本田は湯につかってから、ナターリヤが同じ湯につかっていたかもしれないということを思い出して赤面した。
(でも外国の方ってシャワーだけで済ませる場合も・・・でもナターリヤさんが多数派であるとは言い切れませんし、ああでも!!あぁあああああああああああああああああああ)

本田が茶の間に戻ってくると、ナターリヤはこくりこくりと首を動かしていた。
(寝ていてもよかったのに・・・待っていてくれたんですね・・・。)
「ナターリヤさん、そんなところで寝たら風邪ひきますよ。ちゃんとお布団で寝てください。」
「寝て・・・ない・・・。」
「・・・お茶、飲みますか?」
ナターリヤはこくりと首を動かした。
「明日はナターリヤさんに必要なものを買いに行きましょう。服もないですし。」
「・・・ああ・・・」
「ナターリヤさん・・・寝ぼけてます?」
「寝ぼけて・・・ない・・・」
うとうととしていたナターリヤは、とうとう机に突っ伏して寝てしまった。
「寝ちゃいましたね・・・・。起こすのもかわいそうですし・・・」
本田はナターリヤを抱きかかえて客間に運んだ。
(お姫様だっこなんて聞こえはいいですが、腰に響くんですよね、これ・・・。)
布団に寝かせるとナターリヤは本田の袖を掴んで寝言を言った。
「おやすみ・・・本田・・・・」
本田はくすりと笑ってナターリヤの頭を撫でた。
「おやすみなさい。ナターリヤさん。」