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みかど☆ぱらだいす@11/27UP

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交際報告in某ファーストフード店




池袋の某ファーストフード店が揺れた。



「「ぅえええええええええええええ!!!」」



震源地は来良高校の制服を身に纏った、男子1人と女子3名というある意味ハーレムな4人組だ。
といっても彼らに間で結ばれているのは甘い糸でもなく強固な信頼と友愛の紐だが、まあそれは置いておくとして、そんな4人組の内、金髪の少年とボブカットの眼鏡の少女がしきりにぱくぱく口を開けたり閉じたりしてるところを見ると絶叫は彼らのものだろう。
一方その2人と対面するように座る少女2人は、全く同じ顔を――そうこの2人は双子だ――1人は「あはは」と困ったように笑って、もう1人は不機嫌そうにずこーっとシェーキーを音を立てて吸いこんでいた。
「ちょ、おま、待て待て待て落ちつけらぶりーがーる!」
「正臣が落ちつきなよ」
「みみみみ帝人さん!ほほほほほほほほんとの話ですか!!?」
「杏里ちゃんも落ちつこうね」
ほらほらジュース飲んで深呼吸して。
双子にそれぞれ言われ、正臣と杏里はとりあえず言われた通りにした。
「落ちついた?」
サイドを長めに後ろを短く切った少女、帝人が首を傾げる。
「驚く気持ちもわかるけどね」
背中まで届く長い髪を流した少女、ミカドが唇を尖らせた。
「ミカドまでそんな事言うの」
高校生にしてはあどけない愛らしい顔を少しだけ寂しそうにさせる片割れに、ミカドは慌てて首を振った。
「帝人が選んだ人なら反対しないよ!・・・・・・・・・うん、しないよ」
「そこで言い切れないあたり本音すけすけだな、ミカ」
「うっさいバカ臣」
何をー!バカって言った方がクレイジーなんだぞ!うっさいバカ臣はバカだからバカ臣なんだよ。3回も言った!などと小学生のようなやり取りをする2人をしり目に、杏里は帝人にそそっと顔を寄せた。
「帝人さん、ほんとにほんとの話なんですか?」
杏里の言葉に帝人は苦笑して、「うん」と頷いた。
「そう、ですか」
杏里ははんなりと眉を下げた。
正臣と杏里を驚愕の渦へと落とし、ミカドを不機嫌にさせる理由。
それは帝人があの平和島静雄との交際を宣言したからに他ならなかった。
そうあの池袋最強で喧嘩人形こと平和島静雄とだ。
「どうしてそうなった!」
「何時の間に仲良くなってたんですか・・・・」
「知らない。僕が居ないとこでもう知り合いになってたんだもん」
「何というか、まあ偶然というか」
「正直に言ったら?平和島さんが暴れた現場に自ら足を運んでちゃっかり遭遇してたって」
「わっ駄目・・・!」
慌てて帝人が片割れの口を抑えるが時すでに遅し。
「自ら・・・・」
「足を運んだと・・・」
「あ、ははははいやちょっとその・・・・・・・つい」


そして二度目の揺れが某ファーストフード店を襲った。


「お前あれほど好奇心で行動するなって言っただろ!?」
「うええええだって間近で見たの初めてだったんだもん・・・・」
「初めてでも何でも平和島静雄と折原臨也を見たら即まわれ右して逃げるが原則!」
「で、でもその時の静雄さん別に怖くなかったし、むしろ危ないからって声掛けてくれたし」
「だからって・・・!」
「・・・・・・帝人さん」
「ぴゃっ!」
びくっと反応した帝人に、隣でミカドは「あちゃー」と呟いた。
正臣の怒りはまだ良い。一番怖いのは、
「ちょっとお話しましょうか」
静かに怒って静かにお説教する杏里なのだ。
ミカドはさり気なく片割れとの間を空けた。
自他共に認める片割れ贔屓のミカドだが、今回は別だ。
今のミカドは杏里達サイドの心境だからしようがない。
正臣は滔々と紡がれる杏里の説教に逐一「うんうん」と頷いている。
つまり帝人の味方は居ないわけで、それから小一時間は杏里+αの説教タイムとなった。



「暫くは一人で行動は無しです、帝人さん」
「・・・・・・・はぁい」
ぐったりとしつつもしょんぼりと肩を落とす帝人に、杏里はきりりとしていた眼鏡の奥の目を漸く緩めた。
「私はあまり平和島さんの人となりを知りませんから、ほんとは強く言える立場では無いんですけど。でも、帝人さんが選んだ人ですから、悪い人ではないんでしょうね」
「・・・うん、優しい人だよすごく。優しくて強くて格好良くて大人だけど可愛いとこもあって」
「はいはいストーップ!惚気なら別の機会で頼むぜ」
「なっ、惚気じゃないよ!」
「いや、どう見ても惚気だろ」
「惚気だよね」
「ミカドまで・・!」
じゃれ合う双子を微笑ましく杏里が眺めてると、正臣と目が合った。
正臣はまるで「しょうがねぇよなぁ」とでも言うように肩を竦め、杏里も「しょうがないですよね」と微笑む。
結局、正臣も杏里も帝人が幸せになってくれるのならそれでいいのだ。
「帝人」
「何?」
「今度、平和島さん連れてこいよ!俺直々に帝人に相応しいか見てやる!」
「・・・・・・・・頼りない」
「ちょ、ミカドさん!?ぼそりと厳しい事言っちゃ駄目!」
「ふふ、でも一度くらいは紹介してくださいね。帝人さんの交際相手として」
杏里が言うと、帝人はその真白な頬を薄紅に染め、そして鮮やかに笑った。
「うん」
幸せなのだとよくわかる笑みに、ミカドは少しだけ唇を尖らせ、しかしすぐに綻ばせる。
それを正臣がにやにや眺めていたので、テーブルの下で思いっきり靴の踵で足の甲を踏んでやった。
言葉に鳴らない悲鳴で悶絶する正臣を鼻で笑って、残りのシェーキーを一気に飲んだ。





その数日後、正臣と杏里に平和島静雄をあらためて紹介する帝人の姿があったそうだ。
余談だが、その紹介をしている席にひょっこりと折原臨也が現れ、ミカドとの関係を(出会いや静帝成立時にアパートで二人っきりで過ごしていたとか)暴露して再び池袋の某ファーストフード店に激震が走るのだが、それはまた別のお話。
作品名:みかど☆ぱらだいす@11/27UP 作家名:いの