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踊る、風紀委員戦線

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【 踊る、風紀委員戦線 】






スイス。彼はこの学園における風紀委員長であり、また
唯一その活動を遂行する、『たったひとりの』人員でもある―


「まぁ・・・・・・この子たち とっても可愛らしいですね、お兄さま」

ヤギの飼育委員に就いたスイスは、当日の放課後からその世話をするため妹と共に農場へ赴いたところだった。
周囲を広大な畑に囲まれた動物達の運動場は、その牧歌的な景色になんとも不釣合いな蛍光ピンクの柵に囲まれ存在しており、スイスから見れば外観を損ねているようにしか見えない・・・・・・おそらくポニーの世話係の仕業なのだろうが、彼は自分たちより先にやってきて既に仕事を終えた後のようだ。
それは感心な事なので、スイスはこの件に関しては口を出さないことにする。

柵の隅に群れていた仔ヤギたちは、彼らを見つけるや否や、次々に歩み寄ってきた。まだまだ幼いが、飼育に手馴れている者の気配が分かるらしい。
5匹のヤギたちは人懐っこく、愛らしく鳴きながら兄妹に甘えてくる。

「兄さま・・・・・・? 」

「・・・・・・む、すまぬ。 ちょっと考え事をしていてな」

兄が自分の発言を聞き逃すことなどそうそうある事ではなく、リヒテンシュタインは心配そうな眼差しを向けた。
ばつが悪そうなスイスは、柵の外に積んである新しい飼い葉を取りに向かう― その横顔には、妹である自分だけが微かに分かる程度の憔悴の色が見受けられた。

委員会のお仕事、あまり無理はなさらないでくださいまし と言葉にするも、帰ってくるのはつれない生返事。
流石に日頃から己の身体を鍛えることに余念がない兄でも、そろそろ限界なのではないかと妹は感じていた。


作品名:踊る、風紀委員戦線 作家名:イヒ