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kisses.【栄口総受】

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08 思考が焼き切れるほど(水谷×栄口)



 キスなんて、何度となく繰り返してきた。
 もうお互いの好きなトコロが的確に分かってしまうほど。
 簡単に、キスだけでお互いを高めあえるほど。
 なのに、今日のキスがいつもと違うのは──

 発端は、1組の教室だった。
 部活に行こうと、栄口を迎えに行って、そこで見てしまったのは、いわゆる告白シーンってヤツ。
 野球部でそこそこ勝ち上がってたりすると、試合の時だけ見てカッコイイ、とか、一生懸命部活やってる子の彼女、みたい位置が欲しくてとかで、告白(こく)ってくる子は結構いる。
 オレも、夏大が終わってから何人か、いかにもオレのことを知らなそうな女子に告白(コク)られたしなぁ。
 ただ、今問題なのは、告白られてるのが、オレのコイビトの栄口ってことなんだよ。
 栄口は優しい。そんでもって人当たりがいいから勘違いしちゃう子が多い。
 実は栄口のことを密かに想ってる子が何人もいるの、オレは知ってる。
 栄口に言っても『オレなんか』っつって信じてくれないけどさ。それは栄口のこと好きな子が、栄口の性格に合わせて大人しめの子が多いからだ。
 だから、栄口が告白されてるとこ自体を見るのは、オレは初めてだった。
 見つからないよう、そっとドアの影から様子を伺う。
 知らない顔、だ。自慢じゃないけど、オレ、1年の子だったら顔くらいは全部分かる。…ってことは、2年か3年だ。
 栄口、かわいいからな。母性本能の強いオネーサマに目ぇつけられちゃった、ってそんな感じ。
 どうも、栄口は遠回しに断ってるんだけど、なかなか相手の子が退かないらしい。
 窓際の席で話をしているもんだから、栄口は窓に追い込まれて。

 え……っ、

 多分先輩だと思うその子は、強引に栄口に“キス”をした。
 栄口はオレの、だ。カッと頭に血が上って。
 ガタンと大きな音を立てて、オレは1組の教室へと足を踏み入れた。
「──ちょっと。先輩だからってしてイイことと悪いことあんじゃないの。」
 自分から、女の子相手にこんな冷たい声が出るなんて知らなかった。
 大きな音と思いもしない声に、栄口とその女の子はハッとした顔でドアの方を振り返る。
「…水谷…っ!!」
 栄口は顔を真っ赤にして、でもちょっとほっとした顔をした。
 一緒にいた女の子は何やら栄口に早口で告げると、さっとオレの横を通りすぎようとする。
 ──ふざけんなよ。
 オレはその子の腕を掴むと、思いきりその目を睨みつけた。
「あの子、オレんだから。今度手ぇ出したら、いくら先輩でも女の子でも許さないからね……!!」
 低い声で凄みをきかせて言ってやる。
 そしたらその女の子は顔面蒼白になって、怯えた表情でパタパタと廊下を駆けていった。



「助かった……水谷、サンキュ。」
 苦笑して言うと、水谷は机の隙間を縫ってオレに駆け寄ってくる。
「さかえぐち…っ、」
 切羽詰まった表情でオレの名前を呼ぶと、水谷はは、オレの唇を親指でそっと撫ぜた。
「……キス、された…?」
 怖いくらい、真剣な顔。水谷、怒ってる…?
「あれ、はっ…いきなり──」
 だって、不可抗力だ。そりゃ、オレにも隙はあったのかもしれないけれど、女の子相手に手をあげるわけにもいかない、し。
「分かってる。見てたし。でも──っ」
 そこで言葉を切ると、水谷はは逃がさないとばかりにオレを強く抱きしめた。
「それでも、ヤだよ。栄口はオレの、なのに……ッ」
「ちょっ、と! 水谷ッ、ココ学校────」
 こんなとこで、誰か来たらどうすんだよ!
 抗議の言葉は最後まで言わせてもらえずに、唇を塞がれる。
 水谷の熱い舌がオレの唇を辿って。
 薄く開いていた唇の隙間から、そのまま舌が入り込む。
「んぅッ、…ふ、あ…っ」
 ここは、自分の教室で、いつ、誰が来るとも知れないのに。外からだって、誰が見てるか分からない。
 だけど。
 いつもより、少し乱暴なキスに意識を全部浚われる。
「あ…ッ、や…み…たに…ッ、」
 呼吸の合間に抵抗を試みても、すぐに水谷に捕まってしまう。
 喉の奥で絡まる舌に何も考えらんなくなって、思考が灼き切れそうになる。
 ぞわぞわと腰の辺りからせり上がってくる快感。
 このままじゃ、収まりがつかなくなる。最後まで、水谷が欲しくなる。
「ぁ、あ…ッ、んん、…っ、」
 だんだん手の先が痺れてきて、ぎゅっと水谷のシャツを掴む。
 崩れ落ちないように、水谷がオレを腰から抱き寄せる。
 硬くなった熱が布越しにぶつかって、新たな快楽を生む。
 飲み込めない唾液が口の端を伝って顎から首筋へと流れる。
 も、ダメ、かも。
 そう思った瞬間に、いきなり水谷の唇が離れた。
「…は…っ、ぁ…、」
 酸欠でクラクラして、足に力が入らない。
 オレは水谷のシャツももう掴みきんなくて、ずるずると床に崩れ落ちた。
「……っ、栄口、ダイジョーブ…?」
 我に返った水谷が、心配そうにオレの顔を覗き込んだ。
 もう、さっきまでの怖い顔じゃなくって、いつもの、ちょっとやわらかい表情。
「だい、じょうぶじゃ、ない……っ、」
 弾む息の合間に、どうにか抗議の意味も込めて言うと、水谷の眉が情けなく下がる。
「ごめんねぇ…、」
「まったく、誰も来なかったから良かったけどさ、誰か来てたらどーすんの。」
「うう……、」
 ぐうの音も出なくなってしまった水谷を見て、オレは笑みを漏らした。
 水谷が不思議そうにオレを見つめる。
「でも、さ。……オレのこと、そんだけ好きだってことだろ? ヤキモチ妬いてくれて、ちょっとウレシかった。イヤな思いさせて、ごめんな?」
「さかえぐちぃ~、」
 甘ったれた声で抱きついてくる水谷を、オレは笑って受け止める。
 先輩に啖呵切った水谷がカッコ良かった、なんていうのはオレだけの秘密。



作品名:kisses.【栄口総受】 作家名:りひと