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それいけ天魁星

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それいけ天魁星 2



ラズロがまんじゅうを手にしたまま、こちらの方を見ている学生に振り向きざまに言った。

「なんだ、まんじゅうが欲しいのか?どうしても欲しいならやってもいいが・・・代わりに蟹愛好研きゅ・・・」
「あ、ごめんねー、ほんとこの人の言ってる事は気にしないでね?でももし良かったら君も釣り、してみない?えっとうん、まぁ楽しいと思うよ・・・多分?色々アレだけど・・・うん、あまり・・・お勧めはしない、かな?」

え・・・?となっているその学生たちに、ティルは困ったように、だが一応ニッコリと話しかける。



「お前勧誘する気あるのか?そもそも俺達は勧誘は得意のはずなのに。」

後でラズロが無表情なまま、ティルに言った。するとティルが憤ったように返す。

「それはそのままアンタに返すよ。なんだよまんじゅうって!」

するとラズロは相変わらず表情を変えずに首だけ傾げた。

「まんじゅうは世界をも救うぞ?」
「聞いた事もない!だいたい釣り部のくせにろくすっぽ釣り、してないじゃないですか。この間もまたテッドとやりあって部室ボロボロにして、トーマスに派遣バイト勝手に登録されて結果いなくなるし!」
「仕方ないじゃないか。俺にそんな修理代を払うような余裕を求めるな。地道に働いて返すしかないだろう。テッドだってあいつ、お前に頼らずにバイトかなにか始めていたと思うが?」

何を言おうが淡々と返してくるラズロに、ティルはため息をついた。

「・・・そういう問題じゃない!珍しく釣りに行ったかと思えば訳のわからない家具やら服やら釣ってるし!王・・ゲホン!・・・部長に至っては小舟まで出してきて何やら骨董品まで釣りあげてたっ・・・。魚はどうした!?」

だんだん憤りが増し、思わず呼びたくもない呼び名を言いかけたところで咳をしてごまかし、ティルはさらに突っ込んだ。

「仕方ないだろ、設定だ。代わりにリオウがやたら海産物を釣ってたじゃないか。」
「ええ、ええ!海産物、を、ね!湖でな!どういう理屈なんだ!」
「いちいち色々気にしてたら禿げるぞ?そういうお前はまるで太公望のごとくなんも釣りあげてなかったようだが?そしてだんだん態度悪くなってきたなお前。最初のあの礼儀正しさは何処へ行った、このブルジョワが。」

傍からみれば、ティル1人が何やら勝手に怒っているようにしか見えないだろう。ラズロは相変わらず淡々と返してくる。
いちいちムカつく事を。

「・・・うるさい黙れ・・・あああああもう、なんでこの人が先輩なんだ!ていうかなんなんだこの釣り部は!くそ、僕は流されないぞ!というか、もう退部させてくれ!」
「そうやってすぐいなくなろうとするのは良くないぞ?」
「っくそ、そしてなんで今ここにキリル先輩かリオウはいないんだーーー!!」

するとラズロが首をまたかすかに傾げた。

「トーマスやテッドやファルではダメなのか?」
「トーマスは会計部分しか役にたたない、きっと普段は控えめなだけです、たまにあんなに黒いのに・・・。テッドはダメだ、ほんとはアンタら仲良いくせになんだっていつもああなんだ、ほんとにもう、結局悪い方向にしかならない・・・。ていうかあのろくでもない部長がいればもはや悪化への道しかないっっ・・・」
「関係ないが、憤りを感じている割にいちいち丁寧に答えるな。育ちのせいか?」
「あああああああもう!」

作品名:それいけ天魁星 作家名:かなみ