それいけ天魁星
ていうか、正論じゃないし、それ、今のあの2人にあてはまらないし。
ティルはまたもや心の中で突っ込みをいれた。
「て、マクドールさん、さっきからため込みはあまり良くないですよ?そういう時は思いっきり吐き出していいと思います。」
「え、なんで分かったの!?リオウ。」
びっくりしているティルに、リオウはにっこりと可愛らしく笑って言った。
「そりゃあ僕はいつだってマクドールさんを見てますから。」
「す・・・ストーカー!?」
「て、マクドールさん、それはないですよー僕に対してはえらくストレートですね・・・。」
「あ、ごめん・・・。」
「いえ、きっと僕とマクドールさんの仲だからですよねっ。」
残念そうな顔から一転、即座にまたニッコリとしてリオウは言った。
「・・・相変わらずうらやましいほどのポジティブシンキングだね。」
「そりゃあね、そうでもないと、やってられませんよーあはは。」
僕より下だというのにけっこう人生苦労しているらしい・・・ティルは思った。
「さて、ほらほら、皆聞いてくれるかい?そこの議論中のお二人も、ちょっと一旦休憩して。」
キラキラの笑顔で手をポンポン、と叩きながらファルーシュが言った。
は?と険悪状態な2人も思わずファルーシュを見る。
・・・わお、一応空気読んでないまでも喧嘩止めたし・・・ティルはあらぬところを見ながら苦笑いした。
「最後の一人を紹介するよ?さあ、入ってきたまえ。」
え、いつそんな状況になってましたけ?
3年以外は誰もがふとそう思ったに違いないがあえてスルーさせる事にしたようであった。
「あのー・・・よろしくお願いします・・・。」
そっと入ってきたのは(ていうか紹介されるまでドアの前でずっと待ってたんかぃ!?)、おかっぱのような、だがラズロとは少し違う髪型の気弱そうな少年であった。
「あ、君は隣のクラスのトーマス君じゃん。君も今日勧誘されたの?」
リオウが言った。
「あ、リオウ君。よろしく・・・。ああ、僕は今日じゃなくて割と新学期始まってすぐに強制的に入部させられたんですよ。」
ニッコリとトーマスが言ったが、えっとそこ、ニッコリと言うところ・・・?
「まあ俺達は金勘定は苦手だからな、俺は貧乏で縁がないし、ファルはいっそありすぎて感覚がヤバい。」
ラズロがさらりと言った。
どうやらトーマスは一年にして、会計担当を担っているようであった。
「このトーマスはなかなかのやりくり上手みたいだからな、是非に、と言う事で。」
「へーそれで強制入部ですか。」
ニコニコとリオウがラズロに言った。
ただラズロにはそんなジャブはまったくもって効かなかったようで、だから何、的な表情をしていたのかも、しれない。
表情がまったく変わらない為分からなかったが。
ティルはこれから先の部活動を思い、入部を思いとどまりたいと切に思ったがすでに入部届けはラズロの手の元にある。
そっと溜息をつくくらいしか出来なかった。
「ちなみに机壊したのはお2人ですか、あまりむちゃな事はなさらないで下さいね・・・。黒字にならない事は困ります、とりあえず壊した分は働いてでも返して下さいね。」
何気にトーマスがにっこりとラズロとテッドに向かって言っていたのが印象的であった。