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璃琉@堕ちている途中
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【5/4 SCC】1+3-7+3【本文サンプル】

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ドアの向こう側(テーマ:背中合わせ)





 部屋のドアをノックするまえに、波江はなんとなく分かっていた。彼女は非常に理知的で、物事を数字で測ることを善しとしている節があるけれども、それでも、映画のスクリーンを思い浮かべる程度には、情感を持ち合わせていた。彼女も、彼が愛する一人の人間なのだ。
 波江は、臨也が数時間前から籠りっきりで、出てこない寝室の前で、少し右往左往してみせた。誰かが見ているわけでもないのに、彼女はタイツの先のスリッパを、フローリングのうえで揺らして、その素振りをみせた。それからちらりと、左手首にきらめく腕時計を確認した。時刻は夕方の6時を迎えようとしている。これは波江がいつも仕事を終えて退社する時間の平均であった。波江は今日も、いつものようにホテルへ帰りたかったのだが、雇い主の臨也が部屋から出てこないものだから、勝手に帰っていいものか、珍しく考えあぐねていた。何しろ彼は、彼の、特に秀でて大切そうにして見えていた、信者の女の子を、部屋に連れ込んでいるのだから。