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みっふー♪
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かぐたん&ぱっつんのやみなべ★よろず帳

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マ夕゛オのおっちゃんを思う存分シバきまくってたっぷり運動したぱっつんは、無事ダイエットに成功した。
一方、あまりに負荷の高い運動を連続して与えられたために、結果おっちゃんは見た目ヨレヨレのおじいちゃんになった。
しかし外身なぞもはや一切関係無い。ガワがおっちゃんだろうがおじいちゃんだろうが、そんなことでぱっつんの愛は微塵も揺らがない。
ぱっつんがおっちゃんと出かけるとき、以前ならば思春期の息子と父親のぎくしゃくした関係性を装って微妙な距離を保ちつつじりじり歩いていたものだったが、いまや二人のパッと見は、面倒見のいい孝行孫とおじいちゃん、街中で白昼堂々手を繋いでいても、微笑ましく思われこそすれ、好奇の目に晒されるようなことはない。
「……だからってあいつ、最近ちょっと浮かれ過ぎじゃねーか?」
じむしょの机で呆れ顔に銀ちゃんが言った。ソファでぽりぽりすこんぶスティックかじりながら私は返した。
「ぱっつん、自分がふぁざこんだってずっと気にしてたね。でもマ夕゛オのおっちゃんがおじいちゃんになっちゃったから、ボクはもうふぁざこんじゃない、ただのガチ枯れセンなだけだからって、ものっそ生き生きのびのびしてるアル、」
「……テンション上げるポイントがぜんっぜんわかんないんですけど、」
銀ちゃんは溜め息混じりに天パを掻き、粗大ゴミステーションで拾ってきたりくらいにんぐちぇあーに凭れて天を仰いだ。
「……ま、俺の知り合いにも一人いたけどな、どんだけオッサン好きなんだってヤツ、」
「――呼びましたか?」
そのときはっきり部屋の中に、私と銀ちゃん以外の声がした。すこんぶスティックをくわえて私は振り向いた。
「!!!」
銀ちゃんは青い顔して椅子からずっこけている。事務机の窓際に三人ばかし、まとまって人影が立っていた。
「……ちょ、マジすか先生! すごいな、本当に帰って来れたぞやったなベッキー!」
団体の中からロンゲのマッパがにゅっと一歩を踏み出した。
「きゃあ!」
私はわざとらしく両手に顔を覆った。
(……、)
由緒正しく、恥じらう乙女の作法にのっとって、指の隙間からちょこーっとチラチラ……、着ぐるみオバケの手を取って、ぴょんこぴょんこ、ズニアと一緒に跳ねているのは、――うえぇ、よく見なくてもアレやっぱ女装子のヒトじゃーんっ、チックショー見るんじゃなかったーーーーっっっ!!! 私はろーてぃーん時代にありがちな興味本位の己の軽はずみな行為を心の底から悔悟した。
「……。」
床から立ち上がった銀ちゃんが、――ガスッ! ハードカバーのファイルのカドで容赦なくロンゲをぶった。
「……どーもKYじゃすまねぇ失礼ぶっこいちゃってんなオマエはよ、」
――どーゆーナリだセンセの前だぞ! 銀ちゃんは確かにそう言った、……オイオイ、ないーぶなお年頃のワタシのことはムシあるか、私は少々ムッとしたが、……先生? そーいやロンゲもさっき先生って呼んでたような、私はそろりと指の間の視線をずらした。
「待てっ、このマッパにはれっきとした事情があってだな、」
ファイルを避けつつ必死こいて弁解するロンゲの傍らには、ロンゲの相棒の白い着ぐるみと、もう一人、白い着物を着た髪の長い誰かが立っている。するとあの人が“先生”だろうか。
「まぁまぁ、本当に仕方がなかったんですよ、元いた世界に戻るには、迷い込んだときと同じ条件でないといけませんから」
“先生”と思しき白い着物の人が言った。年はたぶん、銀ちゃんたちと同じくらい、ただし連中と明らかに空気を違えているのはその落ち着き払った物腰と立ってるだけで周囲を醸す磨き抜かれた知性と品格、我が敬愛するさんでる教授と、あれは同種のオーラである。
「……はあ、」
銀ちゃんがにこにこ笑っているその人の顔を見て、わかったよーなわからないよーな顔をした。それからまた、思い出したようにロンゲをドツキ始める。
「っとにオマエは、どーゆーカッコでドコに何しに行ってんだっ!」
「だから不可抗力だって!」
ファイルを真剣白羽取りしたロンゲが、一つゴホンと咳払いした、
「……話せばけっこー込み入って長くなるんだがな、要点だけ掻い摘むとつまりこういうことだ、――諸々あってマッパで運河で溺れた俺が海を渡って流れ着いた知らない国の知らない町で街頭演説していたところとっ捕まって閉じ込められた地下牢で妙な実拾い食いして意識朦朧としてたらいつの間にやら時空の狭間に落ちて分岐点で迷って出られなくなってそしたらたまたま観察してた先生が俺を見つけてくれて……」
「デムパが妄想タレ流してんじゃねぇっ!」
――あーゆー日本語でおk? 眉間に縦皺ガン刻みで銀ちゃんが言った、
「ウソじゃないってホントに本当なんだって!」
理解しろよ俺がこんだけ説明してやってんのにっ! ロンゲも逆ギレ気味である、二人の攻防をそれまで止めるでなくにこにこ眺めていた先生がおっとり口を開いた。
「本当ですよ」
「!」
銀ちゃんは恐る恐る先生の方を見た。先生はやっぱり穏やかに笑っている。
「……11次元から降冪にバグを修正していたら、次元の蔓に捕らわれている木圭くんを偶然見つけたんです。アセンションルートのハブ構築と最適化に少々手間取りましたが、パルス処理のアブソリューションレンジはクロックオフの干渉を加味しても十分仮想理論値内で推移してましたし、うまいこと救出できて良かったです」
――あとは木圭くんの悪運でしょうね、にっこり、先生はとどめにスマイルした。
「……。」
話の内容が脳容量を超えていたからか、あるいは先生の笑顔があまりに邪気なく眩しかったせいか、銀ちゃんはくらぁっと意識を失いかける手前の顔をしていた。
「ほらなー、俺の言うとおりだったろ!」
暑苦しく勝ち誇ってロンゲが言った、
「……」
銀ちゃんは振り上げていたファイルをそろーっと机に戻した。
(……。)
――なるほど、銀ちゃんを籠絡するにはあの手なわけですな、後学とさせて頂くとしよう、スティックひとかじり私は思った。