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ドライバーとメカニック

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意見の一致



「ついでに言っときますけど、開幕と2戦目は今までと同じタイヤっすから。3戦目からニュータイヤになるそうです」
「ふぅん、随分先だねえ?一社体制になってどんなの来るか楽しみにしてたのに」
大げさに天を仰いてから肩を落とす仕草はかなり芝居掛かっているが、それが様になるのがジーノのジーノたる所以だ。
「何言ってるんスか、散々嫌って使った事も無いじゃないですか!データが無いからこっちは戦々恐々としてるのに…」
こちらはしかめっ面を崩さぬまま、すかさず突っ込みを入れる。
傍から見ている分には漫才をやっているように見えるが本人達は大真面目だ。
「一社になったんなら使わない訳には行かないだろう?かなり気合入れてるみたいだから楽しみにしたってイイじゃない?」
ヘルメットをラックにひょいと置きながら、しかめっ面を溶かそうと言わんばかりの笑顔を赤崎に向ける。
しかししかめっ面の眉間に皺がさらに寄ってしまい、返って逆効果となってしまっているが気にしていないようだ。
言いたい事を言って満足したのか、ジーノは話は終わったとばかりにピットから裏手のモーターホームへ向かってしまう。
「あ、ちょっと。何処行くんスか!まだ終わりじゃないっスよ!!」
普段物静かな赤崎にしては珍しく声を荒げジーノを呼び止めようとするが、背中越しにひらりと手を振られて逃げられてしまう。
ふと気が付いて腕時計を見ると、デジタルの文字盤が12:16と表示されていた。
「しょうがない…昼にするか」