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Hope

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第2章 南の島




背中に感じるのは、砂の感触だ。
しかもそれはじんわりと熱を持ったように熱かった。

瞳をひらくと笑ってるハリーがいて、その向こうには満天の星空が輝き、そのすばらしさに目を見張る。
「……きれいだ……」
「本当に、そうだね」
うっとりと自分の顔を見てハリーは答えるので、その鼻先を引っ張ってやった。

「ちゃんと上を見ろ!」
「いやきれいだよ。ドラコの瞳にも星が映っているから」
自分ならば一生言わないような、気障なセリフをハリーはいつも恥ずかしげもなく、ぬけぬけと言って逆にドラコを困らせた。

本当は相手を押しのけてこの場所から逃げだしたいが、ポートキーで移動したここがどこか分からない。
熱い砂に、波音が近い。空気は熱を持っていた。

「―――ここは?」
「南の島なんだ。無人島だよ。ここには僕と君しかいない」

見回すと本当に小さな島だった。
やしの木が一本だけ生えているだけで何もなく、この島の全体は見回しただけで、端から端まで見えた。

「今は引き潮なんだ。日付がかわると、満ち潮になる。そして朝にはこの島は海の中に沈むよ」
こともなげに、ハリーは言った。

ドラコは立ち上がり、砂を払うと、辺りをじっと見つめる。
空に輝いている星は今まで見た中で一番近くて、落ちてきそうだ。
海にその星が映っているかと思ったが、波間がキラキラと光っているのは、夜光虫だった。
小さな輝きが漂い、神秘的な光の帯を描いている。
真っ暗な中で光のシャワーを浴びているようで、ひどく気持ちがよかった。

そっとハリーはドラコの背中に回りこみ抱きしめた。
いつもならばそれを振り払ってしまうが、今はそのまま腕の中でおとなしくその体を預ける。

「――プレゼントをあげても、いつかはなくなったり、壊れたりするでしょ。だから僕は君に、思い出をあげたかったんだ。思い出はどんなことがあっても壊れないからね」
「これがいい思い出になるのならな……」
憎まれ口をたたき、相手を見た。
自分より少しだけ背が高いハリーは、なんだか泣きたいような、笑っているような複雑な表情をする。

―――彼の瞳には自分はどう映っているのだろう?

なぜ突然ハリーがそんなことを言うのか、ドラコはその意味を分かりたくもなかった。

「……でも、大好きな君に何もあげないのは、やっぱりイヤだな……」
鼻先をこすって、ハリーは杖を取り出した。
夜空に向かってその先を振る。
軽やかな光が、その先から空に放たれた。

そして空から一つの流星が、ドラコの前に落ちてくる。
両手を差し出すと、キラキラと輝き小さな光はその中に納まる。
こんなのは子供だましの魔法だった。
簡単で、誰でも出来る魔法だ。
だけど、ドラコはその輝きをじっと見つめた。

青白くチカチカと瞬くその光は純粋で、引き込まれそうになる。
自分の手の中にあるこの星は幻でも、ドラコはよかった。
……何かを信じたかった。
やがてその星は、輝きが薄くなり、その手の中で消えた。


ハリーはドラコの手を取ると、やしの木の下にいざなう。
そこには、どこから持ってきたのか、大きくて座り心地がよさそうな、赤色のソファーが置かれてあった。

「僕はこのまま砂浜の上で寝っ転がるのもいいかなと思ったんだけど。相手が君だしね」
「いい心がけだ」
ドラコは当然だとばかり、ニヤッと笑う。
「僕は君と違って、育ちがいいからな」
「ホント、君はどこまでも、貴族の子弟そのものだよ」
ハリーは肩をすくめた。

抱きしめられて、そこに押し倒される。
「こらっ!」
照れ隠しなのか、ドラコは一応抵抗する素振りだけはする。
もちろんその握った拳には力はない。

相手のシャツのボタンを外しながら、ハリーは言った。
「ここには君と僕しかいないから、ずっと朝まで裸でいるっていうのは、どうかな?」
「案外、潮風は冷たいぞ。風邪引いたらどうするんだ」
「君の熱が下がらないように、努力するから」
「そんな努力はいらないっ!」
きっぱりと宣言する。

いろんなことを考えなければならないドラコはため息をつく。
「……僕はただ静かに、眠りたいだけだ……」

ハリーはやさしくドラコのこめかみにキスを繰り返しながらささやいた。
「いいよ。疲れたら、いつでも眠ってもいいよ。―――安心して、朝にはちゃんと君を部屋まで届けるから。だから、今夜はこのままずっと、いっしょにいよう」




ドラコはいつ自分が眠ったのか分からなかった。
波音が心地よかった。
見上げると星が落ちてきそうで、隣には笑っているハリーがいた。



──思い出すと切なくて、今でも苦しくなる──



作品名:Hope 作家名:sabure