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Happy Life

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第1章 ある日──



朝、会社に出社すると、バックを置き、いつものように自分のパソコンの電源を入れた。
低い振動音とともに、画面が立ち上がり、ハリーはコーヒーカップを手にゆったりと椅子に腰を下ろす。
「―――えっ!何だこれは!?」
思わず大きな声が出た。

前のデスクにいたデビットが、その声に顔を向ける。
「どうかしたのか、ハリー?」
彼がかなり驚いた表情で画面を指さしているを見て、いっしょにそれを覗き込み、デビットは笑った。
「おいおい、ハリー。君はデスクトップに猫飼い始めたのか?男のくせにロマンチストだな」
ニヤニヤとした顔でからかう。
「えっ?猫?ちがうだろ……これは、やっぱり……なんていうか―――」
ハリーはそれを指差して、口ごもる。

「そうよ、それ、猫じゃないわよ。デービット。あなた、本当に何も知らないのね!まっ、いつものことだけど……。これはフェレットよ。きれいな毛並みの白のいたちだわ」
後ろから二人のやり取りを見ていたアンジェリーナが口を挟む。
さすがは気の強さでは社内一の彼女だ。
言葉使いに容赦がない。

彼女はハリーの画面を見て目を細めた。
「あら、かわいい。椅子の上に上がったり降りたりして、じゃれているのかしら?フフフ……」
チョンと画面をつついた。
それに気づいたように、その動物はこちらにやってくるとおもむろに小さな口をあけ、指を噛もうとする仕草をする。
「あらあら、おてんばさんね。それともまだ慣れていないのかしら?」
肩をすくめ、「よく出来ているソフトね」と褒めながら、彼女は席に戻っていった。

ハリーは眼鏡を外すと、目をごしごしとこすってみる。
「寝ぼけているのかな?」
とつぶやき大きく伸びをして、眼鏡を掛けなおして、そしてその画面を再び見た。


……やはりいる。


そこには少年がふてくされたように椅子に座っていた。
彼はこちらを向くと口を動かした。
(今日は何をするんだ?)
ディスプレイに文字が浮かぶ。

「なにって、君はいったい……」
としゃべりかけて、相手が不思議そうな顔をするので、慌ててキーボードをたたいた。
(君は誰なんだ?)
(僕の名前はドラコ。決まっているだろ)
なんでそんな当たり前なことを聞くんだと、相手は不機嫌になる。
かなり気が短いらしい。

(なぜ、ここにいるの?)
(はじめから、ここにいたじゃないか?それとも不満なのか?それならば消えることにするが……)
彼が後ろを向けて去ろうとする。
(……まっ、待ってくれ!)
慌てて呼び戻した。

彼は仕方なく振り返ると、腕を組んでイライラした表情を浮かべる。
(それならば、今日は何をするんだ。どの仕事からやっつけるんだ?おまえ、かなり仕事溜まっているぞ。本当に要領が悪い!)
まったくひどい言われようだが、確かに仕事が山のように溜まっているのは事実だ。

(……えっとまず、このクライアントから依頼の見積書の計算を、しようかなと思うんだけど)
などと予定を打ち込んでみると、相手は即座に怒った顔のまま反応した。
(違うだろっ!まず、この昨日のやりかけの売上表を完成させろ!お前、それ先月分のだぞ。仕事が遅すぎる!)
きっぱりとドラコは宣言をする。

(それを仕上げたのを見て、収支計算の結果を点検しろ。それから見積もりの記入だ。そうしなきゃ、見積もりを出した先方からの、値引き交渉をどうするんだ?また前の交渉みたいに、無理な値引きを受けて、原価割れの赤字になったら、あとの尻拭いが大変だぞ)
彼の言うことは、全くの正解だった。

(―――ほら、これだろ!)
彼の前に突然キャビネットが出現し、その引き出しから書類の束を取り出すと、ハリーに向かって投げた。
パッとそれは広がり昨日のやりかけで保存しておいた表が、デスクトップに展開された。

ハリーは頭を傾げながら、納得がいかない顔でデーター入力をしていく。
(……自分は変な夢を見ているのだろうか?)
次々と疑問が頭に浮かんできたが、まったくその答えが浮かばなかった。


作品名:Happy Life 作家名:sabure