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雨の季節に

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爆音だ、とシカマルが気づくよりも早く、衝撃はシカマルの体を吹き飛ばす。
ナルトから預かった巻物を紐解き、さてやってやるかと自室で開いた瞬間にこのざまなのだから、ナルトから受け取った巻物であるからと言って油断しすぎだろうとシカマルは三十秒前の自分を罵った。吹き飛ばされていながら意識ははっきりしていたのでそこだけは救いだと思いたい。固い何かに打ちつけられて、げほっとひどくむせ、ぶつけた背骨がきしんだ。うるさいぐらいに耳鳴りがする。背中とともにぶつけたらしい後頭部が鈍く痛み始めたので、そこに手を伸ばそうとしてはたと手が濡れているのに気がついた。確かに自室にいたはずなのに、と思いあたりを見回すとそこはどこか見覚えのある森の中だった。聴覚が一時的にだろう麻痺しているせいで音が聞こえなかったが、しとしとと弱い雨が降り木々の葉を揺らしている。うっすらと肌寒い風がなで、雲の切れ間から薄明かりがこぼれてきた。早朝のようだった。巻物を開いた時は仕事と雑事を片づけた後だったのでもう随分と薄暗かったはずだ。(なら、ここはいったい。)まさか里外へ飛ばされたかと、内心冷やりとしたものを感じながら、シカマルは体を確認した。骨が折れている様子はない、ここが木の葉でないのなら早く戻らなければと軋む体を叱咤して立ち上がったところで、澄んだ声が響いてきた。

「   」

大分回復したものの、未だ耳鳴りはひどく音を拾えない。眉をしかめて気配を探るが、腹のあたりにわいた痛みに集中力を削られる。もし、他里に無断で入り込んだと知れたら。一週間後には火影補佐と成る身であるのだ、下手なことはできない。がさっと音を立てて近くの木が揺れた。黒っぽい影が落ちたと思えば、そこには白く笑う狐の面をかぶった暗部の姿があった。あれは木の葉の暗部だ。しかし、シカマルは警戒を緩めることができなかった。見覚えのない面だ、そして、異様に幼い。せいぜいアカデミーに入りたてぐらいの年だろう。
笑う狐の面の暗部はじっとシカマルを見ている。敵かどうか判断しているのか、それともシカマルの隙を探っているのか、ふと見た暗部の手にはクナイが握られ、いつ臨戦態勢に入ってもおかしくはない状態だった。シカマルも忍具を探るが悲しいことにあるのはクナイ一本のみ。まともに戦えばこちらが圧倒的に不利なのは火を見るより明らかだった。警戒を緩めずシカマルもその暗部を見つめながら策を巡らしていたのだが、不意に後頭部に強い痛みが走り、ぐらりと重心が落ちそうになる。そのすきに動いたのは暗部の方だった。飛び出すように跳躍し、ぐらりと傾いたシカマルに手刀を叩きこもうとする。体を倒し転がるようにしてよけるが、随分と俊敏なその暗部は、木をけりすぐに間合いを詰めてきた。一発、二発と攻撃が叩きこまれるのを何とか防ぎながら上体を起こし、間合いを取ろうとシカマルは後ろへ飛ぶ。が、投げつけられたクナイの起爆札に気を取られた瞬間に間合いを詰められ、よけきれずわき腹に膝をもろに食らった。ぐらつく足でなんとか倒れこむのを防ぎ跳躍する。印を組む時間を与えないつもりなのか、接近戦に自信があるのかわからないが、この暗部はやけに間合いを詰め攻撃してくる。どうにか逃げれる隙を探すが、この暗部はそんなに生易しい性格をしていなかった。忍具をほとんど持っていなかったのが悔やまれる。いや、悔やむならあの巻物をしっかりと確認せずに開いた自身の行為だが、シカマルは溜息を吐きたくなりながら、弾き飛ばされた苦無を目で追った。(あれが最初で最後の武器だってのに。)めまいがひどくなり、視界がゆがむ。まずい、と思ったころには暗部の面がすぐそばにあり、逃げる間もなく鳩尾にけりが叩きこまれた。
鈍痛が一瞬ひどくなり、目の前が真っ暗になる。どさっと音を立てて倒れる自分の音を、シカマルはどこか遠くで聞いていた。


作品名:雨の季節に 作家名:poco