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ルック・湊(ルク主)

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弁当



ティントの協力も得られ、同盟軍は初めてこちらから撃って出られる状態となった。次はグリンヒルの解放を目指しつつ、今は王国軍の情勢を調べているところだとシュウは述べた。

「グリンヒル、早く解放出来たらいいよね。」

湊がニッコリとルックに言った。

「・・・ああ、・・・そうだね。」
「?ああ、そう言えばジェスさんが泣いてたよー。何したのか知らないけど、ほどほどにね、ルック。」
「っちょ。それ、僕じゃないからっ。今君を抱えるようにして座って僕を心底イラつかせているエセ英雄の仕業だからね!そしていい加減離してくれない?バカ詩遠!それ、僕のだからね!!」
「えー。ルックが湊をモノ扱いしてる、最低。」
「それはそれだけどお前もいい加減やめてやれよ、俺こんな場所でまで切り裂きとか飛び交うの、嫌だからな。」

ルックと湊、詩遠にシーナは城の裏手の湖のほとりでピクニックをしていた。
湊が大量にお弁当を作ってルックを誘いに来たら、たまたま詩遠とシーナもそこにいてたのでついてこられたわけだが。

「湊は僕を誘いに来たんだよ、あんた達はこなくていいよ。」
「あ、でもお弁当凄くいっぱいあるから、それに人たくさんいるほうが楽しいし、いいじゃない、ルック。」
「そうだそうだ、2人きりにすぐなりたがろうとしてホントルッくんたらー。まぁ俺は女の子居ないのは楽しくねぇけど、湊の弁当はうまいからな!」
「そうだよ、それにルックこれだけの量、一人で食べる気なの?ルック、恐ろしい子。どんな胃袋してる訳?」

2人、特に詩遠にたいがいな事を言われムッとしつつも、楽しそうに詩遠やシーナにも行こう、と言っている湊を無下に出来ず、ルックは渋々一緒に来たという状態であった。
そこに詩遠が心底ムカツク事にさりげなく湊を抱えるように座らせ、湊も別にそれを嫌がる事もなく、という状態が発生し、ルックの機嫌の下降は留まる事を知らないという状況だったわけである。

「どうしたのルック?大丈夫?なんか気に入らない事でもあった?」

湊が心配そうに聞いてきた。
ああ、もちろん気に入らない事だらけだとも!ていうか湊もその状態に違和感、感じなよ!!と思いつつも、楽しそうだった湊の顔が心配げに歪むのが嫌で、ルックはつい、“別に”と答えてしまう。
多分湊にしてみれば、詩遠の事は大好きなお兄さん的な目で見ており、そうやってくっつくのもむしろ嬉しい勢いなんだろうけれども。
どうせなら僕にくっつきなよ、とか内心思いつつ、そうは言える訳もなく。

「おお、ルックも大人になったな!速攻切り裂きくるかと俺は思ったぜ。」
「・・・余計な事言うならアンタにくらわせてもいいんだけど?シーナ。」
「それは止めてくれ。ほんとお前ら物騒だよな。あっ。ていうか詩遠。お前なー。たいがいにしろよな。」

思いだしたかのようにシーナが詩遠を見て言った。詩遠は、ニッコリしたまま、ん?と首を傾げる。

「もう何度目だよ!いい加減オヤジ泣いてるぜ。」
「何の話?」
「とぼけんなよ、分かってんだろ?部屋だよ部屋!」
「あ、もしかして英雄秘蔵部屋!?」

湊がわくわくしたように聞いた。詩遠はそれを聞いて、“あー”と言いつつニッコリした。

「なんなのさ。あの部屋がどうかしたわけ?」

ルックがシーナに聞いた。

「いや、さ。こいつさー何度も夜中だろうけど忍び込んで、あの展示部屋めちゃめちゃに破壊してくわけよ。で、オヤジはショックを受けつつも、また作り直すんだよな。その繰り返し。」
「・・・ああ。」

聞かなきゃよかった、といった感じにルックは呟いた。詩遠はニッコリしたまま口を開いた。

「お前のオヤジが作らなきゃいいだけの話じゃないの?あんなつまらないもの、わざわざお金かけてまで、ほんとバカだよね?」
「言いきった!ったく、お前もさー、どうせオヤジが諦める訳ないって分かってるだろ?だからさー頼むよもう諦めてくれよ。次やられたら、もしかしたら今度は税金集めてでも作りかねないんだよ、ホント。」
「ふざけ・・・」
「詩遠さん、諦めましょうよ。僕はアレはアレで結構かっこいいと思いますよ?」
「だよねー?」

言いかけた詩遠は、ニッコリと笑いかけてきた湊に、同じようにニッコリとして同意した。
うっわ、痛々しい、と思いつつ、シーナは内心湊に感謝した。

大統領として本当に今まで息子としても鼻が高いほどの治め方をしてきたレパント。それに未だにほとんどの者から人望厚い英雄、詩遠。多分あの部屋を税金で賄うと宣言したとしても国のほとんどの人間は反対しないであろうが、シーナとしては激しくそれだけは止めてほしいと思っていた。
ホッとしていると、横でルックがボソリと、だが聞こえるように“バカじゃないの?”と言っていた。
途端ルックと詩遠の間の空気がとんでもなく淀む。

ルックのあの、心底人をバカにしたような表情と、詩遠のとてつもなく見惚れるようでいて凍りつきそうな笑顔に挟まれているのに、なんで湊はああも平気そうなんだろうな。
シーナはある意味感心しながら、美味しそうに自分の作った弁当を頬張るこの城の軍主を見ていた。はたから見ればお前も同類だよ、と誰かいればつっこんでいたであろうが。
現に、たまたま通りかかったフリックは、絶対何が何でも参加したくないピクニックを初めて見た、と青くなりつつ思いながらそそくさと去って行った。
だがそのつわものどもも、城に戻った時にナナミが満面の笑みで出してきたお弁当を前にして平然とはしていられなかった。

「湊が作ってるの見て、あたしも作りたくなったのー。良かったら皆で食べてね。」

そう邪気なくニッコリと言われ受け取らない男は男じゃないだろ、とはシーナの説。
そうして湊以外は真っ青になりながら目の前の毒ぶ・・・いや、ナナミ弁当を眺めていた。
いくら姉弟で慣れてるとはいえ、この兵器・・・いや、弁当を見ても平然としている湊はやっぱりすげぇな・・・シーナは再度、湊を感心したように、だが頼むどうにかしてくれ、と救いを求める目で見つめていた。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ