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ルック・湊(ルク主)

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暗殺



「やあ、ルック。」
「・・・何・・・何か用・・・?」
「うわ、今の言い方はいつもと同じセリフなのに心底うっとおしそうだったな。」
「・・・用がないなら出てって。」

ルックは冷めた目つきで詩遠を見ると、開けた部屋のドアを閉めようとした。すると詩遠はニッコリとしたまま、足をドアの間に挟む。

「おっと。用があるから来てんだけどね?用もないのにお前の部屋に夜、訪れる程、俺も暇じゃないよ?」

暇なくせにと呟きながら、それでもルックはそのまま詩遠に背を向けてテーブルまで歩いた。

「まぁまぁ。ちゃんと手土産にカナカン産の、お前には果実酒、持ってきてるよ?俺はワイン。」

詩遠がニッコリとボトルを出してテーブルに置いた。ルックは黙ってグラスを2つ用意する。

「あんたにしては、殊勝なことだね。で、何?」
「愛想ないなー。これでもビクトールにとっつかまらないように大切に持ってきたんだけどねー?まあ、いい。とりあえず、はい、乾杯。」
「・・・。ふん、悪くはないね。このチーズに合いそうだ。」

黙ってグラスを傾けてから一口飲むとルックが言い、出してきていた皿からピックで刺したチーズを口にする。

「なんでもまずい、らしいくせにグルメだねー?」
「・・・。で?」
「うん。めんどくさい前置き抜きで聞く。お前はなぜ成長している?」

いつもの笑みすらひっこめて、詩遠が聞いた。ルックはため息をつく。

「・・・まあ、いつか聞かれるだろうとは思ってたけどね。ほんと単刀直入、ていうか、何もかもすっとばしてそこ?まずは真の紋章を持っているのか、くらい聞いてくるのかと思ったら。」
「だってお前、特に隠してないじゃない。この間のネクロード戦でもおもいっきり真の風の紋章、出してたろ。それに一番最初、魔術師の島で出会った時だって使ってたろ。あと、前からちょこちょこ気になる言動していたってのもあるけど、まあ使ってる時点で、もう決定的だろうが。」
「まあ、ね。」
「で?」
「・・・普段は封印しているからだよ。」

ルックが少しうつろな目で言う。それに気づいてはいたが、あえて詩遠は突っ込んだ。

「封印?そう言えばお前、手に宿していないね?そんな事も出来るのか?」
「あんたや湊に関しては、まあ、多分無理だろうね。奪い取るくらいしか。僕は・・・ちょっと・・・違うから。」
「・・・違う?」
「ああ。それに未だに魔力が安定しない。だから、封印しておかないと暴走する恐れがある。で、封印している。封印しているから普段は宿していないのも同然。だから成長する。」
「・・・ふーん。まあ、お前がそこまで話してくれただけでも凄い、とびっくりするべきなんだろうけど、ね?まあ、いいよ。話したくないものを何が何でも無理に聞き出すほど鬼畜じゃない。」
「・・・どうだか・・・。」
「湊にも何も話してはいないの?」

詩遠が聞くと、ルックは一瞬だけ目の焦点がずれたような表情をした。ほんの一瞬ではあったが。

「・・・何も話してはいない。」
「そう。あの子はどうもお前が何かを話してくれるのをずっと待ってる感じがするのは、俺の気のせいかい?」

ルックは今までに何度かあった、湊の、何かを問いたげな、だけれどもすぐにニッコリと笑いかけてきていた表情を思いだす。

「気のせい・・・じゃ、ない。」
「・・・まあ、俺が口出しする事でもないけど、ね?・・・そういえば今日は湊は?」
「明日戦いだから寝付けない、とか言ってこの城を徘徊してるよ。色んなヤツらに声かけに行ってる。多分その後は自分の部屋に戻るんじゃない?」
「あらあらルッくんたら、ほったらかしにされたの?かわいそうねー。」
「・・・ザックリ切り裂いてやろうか?」
「ふふ、遠慮する。でもどうせなら、お休みの挨拶くらい、たまにはお前からしに行ってやれば?」

ニッコリと詩遠が言った。

「余計なお世話なんだけど。」
「まあいいじゃないー。それに俺は明日の戦いは大きなものだから参加しないし、顔、見とこうかな。お前は行かないの?いいの?俺は行くけど?湊の部屋。」
「・・・ヤな奴だね、アンタって。」

ジロリ、とルックは詩遠をにらんだ。詩遠は、“そうぉ?”とニッコリ笑いかける。

「どうせだからこのまま瞬間移動しない?なんか上がるのメンドクサイ。」
「はぁ?だったら行かなきゃいいだろ!?」
「まあまあ、いいじゃん。」
「ったく・・・。」
「あ。ルック。」
「・・・何。」
「・・・またいつか、教えてもらうから、ね?」

何とも言えない笑みを浮かべた後、詩遠は椅子から腰をあげた。

「・・・。」

ルックは無言のままロッドを振った。

「あーやっぱ楽だねー。あっという間に湊のへ・・・や?」

一瞬の内に湊の部屋に着き、詩遠がニッコリと言いかけたがそのまま固まる。
ルックは詩遠の影に隠れて見えなかった為、詩遠の様子に首を傾げた後、身体を乗り出して詩遠の視線の先を見た。

「!?」
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ