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ルック・湊(ルク主)

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彫像



「久しぶりに見るけど・・・やっぱり最悪だよね、この守護神・・・。」
「えーなんでだよ。独特な感じでいいじゃん!」

久しぶりに湊のいるデュナンの城を訪れたルックは、自分がいつも立っていた場所の上を見上げて言った。
そこには湊が設計して、ジュドが作った守護神が鎮座している。
一見ドラゴン。だのになぜか手はうさぎ、尻尾は白馬、という謎の物体であった。

当時これが完成した時、皆が集まりその姿を楽しみにしていた。そして被せられていた布をとりのぞいている最中までは“おおーっ!!”だった歓声が、最後までとりのぞかれると、“おおー・・・?”になったのを思い出す。
ルックは思わず「最悪・・・」ともらして湊にふくれっ面をされていた。

「それにこれ作ったから、守護神様は僕にくれたんだもん、封印球ー。」

そう、皆がなんとも言えない声をもらしていると、守護神が光り出し、そして湊の手元になにかが落ちてきたのだった。

「おかげで敵への攻撃力が倍になったんだもん、守護神様様だったよー。」

その代わりやられるときの打撃も倍だろうが、とルックは内心で突っ込んだ。

湊の手元に落ちてきたのは“倍返しの封印球”であった。もともと湊はすばやい行動により、敵の攻撃を避けるのもうまかった為、かなりありがたく活用したようであった。
見た目に反してほんと力、ものすごいからね、この子・・・とルックは賞賛ともあきれ、ともとれる思いでそれを眺めていたものだった。

「まあ、悪霊退散にはなりそうだね。いまだに。」
「ルック、相変わらず何気にひどいよね。」
「そう?とりあえずはアレだね、天魁星ってのはろくでもないものを飾りたがるものだって当時自覚したね、僕は。」
「?」

詩遠の時もそうだった。
最初あの塔とも基地とも呼べる城に来たときに、“悪趣味なものを飾っている”とは思ってはいた。でかいドラゴンのグロテスクな彫刻。
後で聞くと、どうもそれはもともとあの場所を根城にしていたドラゴンのミイラらしい。
詩遠らがその場所を本拠地にするために勝手にやってきて退治し、そしてそれによりミイラ化したドラゴンをそのまま放置して飾っていたとの事であった。
それを聞いた時はドン引きするとともに、なぜか妙に感心してしまった。さすが詩遠、と。まぁ主にマイナス的な意味で。

そういえば詩遠も湊も“のろい人形”なるものを集めて風呂場に飾ったりもしていたっけ・・・、天魁星というものはどんなタイプでも基本は悪趣味なんだな、と妙に納得したものだった。

「それにしても納得がいかないのが銅像だよね、いまだに切り裂いてやろうかと思う。」
「えーなんでー!かっこいいのに!!やっぱり詩遠さんて銅像になってもかっこいいよね!!」
「・・・。なんで詩遠の銅像なんか建てるわけ?関係ないだろ?あいつは!」

なんとなくムッとした様子のルックに首をかしげつつ、湊が言った。

「だってある日突然建ってたんだもん。僕だって知らないもん。でもその前にね、誰かが言ってたんだよね。もっとも活躍した人物の銅像が建つ予定があるかもしれないって。確かに詩遠さんて、簡単にどんどん敵倒してたもんなー。その噂聞いた時は僕だってすっごい努力したのになー。」
「そんな噂あったっけ・・・?て、努力って、自分の銅像が建って欲しかったってコト?」

すると湊はブンブンと首を横に振った。

「違うよ!そんなどこぞの英雄部屋みたいな状態、僕いやだよ。」

うっわー・・・、ここに詩遠いたら面白かったのに、とルックはふと思った。しかしほんとたまにいい性格してるよね、この子。

「そうじゃなくてね、ルックのが建って欲しかったの!」
「・・・は?」
「覚えてないー?敵を寸止めで殴ってさー、最後の締めをルックにさせたがってた事!」

そう言われてルックは当時の事を思い出した。
なぜかあともう少しで倒れるのにっていうところで攻撃をやめてにこやかに、前衛に無理やり配置させたルックに、その敵を攻撃させたがっていた。

「・・・ああ。そういえば一時やたらそういう事あったね・・・。普段後衛だってのになぜか防具つけまくられてやたら前衛にもってこうとしてたよね、君・・・。」
「エヘ?」
「・・・エヘ、じゃないんだよこのおバカ!ほんとに君といい詩遠といい、戦時中だってのに普段はろくな事しなかったよね!まったく!」
「えー?だってールックってばボス戦の時とか強い敵の時はあのものっそい風とかでいとも簡単に倒してくれるのに、普段は何もしてくれないんだもんー。ほんとだったらものすごく倒した敵の数多くなりそうなのに、結局全然敵倒す数、増えないんだもんー。ルックの銅像が建てば、こうやってルックがここにいなくなってもいつでも見られるじゃんー。」

むぅ、と口を軽くとがらせながら湊が言った言葉の最後に、ルックはつい赤くなってしまう。
よくよく考えなくとも、自分の銅像が建つとイヤなくせに、ルックの銅像を建てようと目論まれていたというのに。

「ば、バカだな君は!」
「またバカって言った!ほんとにバカだけど!だけどバカバカ言われたらやっぱり軽く傷つくんだからね!」
「だってバカだろ。・・・そんな銅像、僕じゃないだろ。ここにはもうそりゃいないけど・・・ちゃんとこうして来てるじゃないか。こうやって会いに。」
「・・・うん。」

ぼそぼそとあらぬところを見ながら言うルックに、湊は嬉しそうに満面の笑みを浮かべて頷いた。

「でまあ、こうやって僕の相手をしてくれてるのは嬉しいけどね、今日の仕事はもう終わったの?」
「う・・・。だ、だって。あ、えっとねー、あれだ!休憩だよ!」
「・・・シュウも大変だね。」
「なんだよー!だってやる事たくさんありすぎて。疲れちゃった。・・・・・・。・・・ねえ、ルック。」
「何。」

ルックが湊を見ると、相変わらず笑みを浮かべている表情なのに、どこはかとなくドキッとさせられた。

「・・・あのね?きっとね、エネルギー注入してくれないと、力、出ないの。・・・僕さ、エネルギーが足りないんだと思うんだ?」
「は?何の?」
「・・・ルックの。」

あの時手にした封印球は、“倍返しの封印球”じゃなくて、“フェロの封印球”だったんじゃないかな。
ルックはふと何気にそう思った。
(フェロはうさぎと白馬でないと手に入りません、ルックさん。)

無自覚も、たち悪いけど、意図されるともっと悪い。
何がってこっちの心臓と色々な限界に。
ルックは魅せられたようにそんな湊を見、そして無言のまま手を伸ばしてそのまま湊の部屋に瞬間移動した。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ