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ルック・湊(ルク主)

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幼子



「ねえ。ルックって・・・いつの間に子供産んでたの?」
「・・・表に出ろ・・・。」
「やだ、物騒ねー。久しぶりだっていうのに酷いわー?」
「うるさい、気持ち悪い!!だいたい僕が産める訳ないだろ、このおバカ!」

しばらく音沙汰がなかったものの、呼んでもないのにまた勝手にフラリ、と塔にやってきた英雄に、ルックは吐き捨てるように言った。

「ふふ。で?何ー?あの子。」
「・・・連れてきた。」
「?どこから?ってまさか誘拐!?」
「ほんと君は・・・。でもあながち反論出来ない・・・。」

だって放っておけなかった。
真の紋章の継承者に匹敵するほどの魔力を秘めた魔女と言われ、ハルモニアで忌み嫌われていた幼子。

あんな部屋に隔離するようにして。
表情も何もない、無、の幼子。
放っておける訳が・・・ない。

「・・・ていうか、別にどこからでもいいだろ・・・。」
「ルックさ、ま。」

その時少女がルックに気づいてやって来た。だが詩遠を見て、ルックの服をギュっと握り、後ろに隠れる。
最初はルックやレックナートにもおびえた様子を見せていたこの少女だが、最近少しずつなついてきていた。それと同時にやはり少しずつではあるが、なんらかの表情も見せるようになってきていた。

「やあ、こんにちは、初めまして。俺は詩遠って言うんだよ?よろしくね?君の名前はなんていうのかな?」

そんな少女に、詩遠は誰もが魅せられるような笑顔を向けて言った。少女はおどおどとルックを見上げる。それに気づいたルックはコクリ、とうなずいてみせた。

「・・・セラ。」
「セラかー、良い名前だね?よろしく、セラ。おいでー?セラにお兄ちゃんの大好きな子の絵、見せてあげるー。」
「・・・絵。」

前からの知り合いかのような自然な態度でニッコリという詩遠に、セラは警戒心をといたようだ。ルックの背後からソッと出てくると詩遠の前まで来て見上げてきた。

「て、大好きな子の絵ってなんなのさ?」
「ふふ?分かってるくせに?この間イワノフがグレッグミンスターに来ていてさー?だからあの子、描いてもらった。」
「は?なんでわざわざ!」
「えー?だってほら、あの子もまだまだ忙しいでしょ?だからいつでも見られるように、ね?うらやましいだろ?」
「べ、別に。」
「ふふ?ほら、この子だよー?」

詩遠はルックにニヤリ、とした後でセラの前で屈み、袋から絵を出して広げた。

「・・・笑って、る。」
「そうだよー?この人はね、いっつも笑顔なんだよー?素敵だろう?お兄ちゃんの大好きな人だよー?でもルックもこの人の事、大好きなんだよねー?いわゆる三角関け・・・」
「セラ、君も絵、描いてみてごらん。それで僕に見せておくれ?」
「は、い。」

詩遠をさえぎるようにルックがセラに言う。セラはじっとその絵を見ていた視線をルックに移してから頷き、向こうへ行ってしまった。

(さんかくかんけ。わらってるひとは、ルックさまとしおんてひとがとりあってるひとなのね!ステキ!)

内心ではルックが思いもよらない事を思いながら。所詮は女の子。ルックが思っている以上にませていた。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ