二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ルック・湊(ルク主)

INDEX|144ページ/174ページ|

次のページ前のページ
 

観念



「さー、もう後がないからね!いい加減、観念してもらう。」

ルックは、気づけば湊の大きなベッドに押し倒されていた。目の前にはあの可愛らしい笑顔の湊。

「・・・どういうつもりさ・・・?」
「え?前にも言ったでしょ?ルックばっかずるい、って。もう忘れちゃった?」
「・・・だったら君も忘れてると思うけど、僕は君が僕の背を追い抜いたら考えてもいい、と言ったよね?」
「あれ、無効!だって僕、もう背、伸びないじゃんか!・・・て、ルックも最近あまり成長してなくない?なんか前だと、久しぶりに会ったら統一戦争の頃よりまた更にかっこいくなってるっ!とか思ってたんだけど、最近て、久しぶりに会っても変わらないような気がする。」
「習得して、もう封じる必要なくなったからね・・・」
「え?」
「あ、いや、こっちの話。ていうか約束事を無効にするなんて、王ともあろう者がそれでいい訳?」
「ごまかされないよ!はなから無理な約束なんて実行出来る訳ないだろ?」

ごまかされない湊なんて・・・と思いつつ、とりあえず諦める様子もなさげなので転移魔法を使おうとして固まった。しっかり腕をつかまれていて出来ない。ならば少し動くくらいなら呪文だけで大丈夫だろう、と唱えかけるといきなりキスされた。

「だめだよ!ルックの考えてる事なんてお見通しなんだから!これでも6年ずっと王やって来てるんだよ?甘いよ!」
「ああ、あの可愛い湊はどこに行ったんだ・・・。」

半分冗談、半分本気でルックが言うと、上にのしかかっていた湊が真っ赤になった。
それを見て、相変わらずだ、愛おしいと思いつつ、ホッとした。成長し(外見は変わらないけれども)変わっていく湊を見たいような見たくないような、なんとなく切ない気分になったからかもしれない。

「そ、そんな風に言うの、反則なんだからね!と、とりあえず、観念、してね?」
「ていうかさ、君、もしかして、お酒、飲んだ・・・?」

話をそらす目的でもあったが、気にもなった。気のせいかとも思ったが、先ほどされたキスで確信した。キスはお酒の味がした。

「んー?うん、ちょこっと、ね?付き合いで。」

王、それも成人した王(見た目は相変わらず小さな少年だが)ともなるとどうしても酒の席に付き合わねばならない事もあるらしい。そしてそういった事に対する危惧をルックや詩遠、ついでにシーナも失念していた為、一度宰相であるシュウはとんでもなく慌てる場面に出くわしてしまったようである。(慌てるような状況については「接吻」参照)
その話を聞いた時は、見当違いな事にまず、シュウ許すまじ、と思ってしまったが。
とりあえずその場をなんとか繕ったシュウはその後、例え酔っ払っても間違いがない状態で面倒をみさせるために、年配の女性を湊のお付きにして、少しずつお酒を慣らさせていたようである。
そのおかげもあってか、相変わらず強くはない、むしろ弱いままではあるが、少しなら飲めるようになったらしい。
成長していく湊は少し切ないけれども、その面に関してのみ、シュウにも感謝しなければならないだろう。

そして今。
いくらなんでも少し様子が変だな、とは思ったが納得した。
湊は酔ってる。
また久しぶりにここにやってきたら、湊は他国との商談中であり、この部屋で待つことにしたのであったが。付き合いで酒まで飲んでいたとは。
どうりでここにルックがいるとシュウに聞いたのか、嬉しそうにこの部屋に入ってきた湊のテンパリ具合がいつも以上だった。
そして油断していたらこうやってベッドに押し倒された訳だが。

「大丈夫!お酒飲んでてもちゃんとたつから!」
「何がだよ!湊がそういう事、言わないで!ちょ、ほんともう、離して。」
「だめ。どうせルックだってするつもりは多少でもあったでしょ?でもおかしいじゃん。僕だって男なのに、なんでいつも当然のように下になるの?僕だって・・・ちゃんと男なのに!」

ルックは少し雷に打たれたような気持ちになった。
昔から、見た目が女の子のようでいて、しかも間違われたりされても頓着している様子は全くないと思っていたが・・・やはり気にしていた、のか?

「・・・湊・・・ちゃんと僕は君が男性だと分かっているよ。」
「じゃあなんで当然のように下なの?僕だって男だよ?入れたいって思う事だってあると思わない?」
「湊・・・。」
「それでもダメならいいよ、女の子と浮気するもん。」
「ちょ!それはダメ!」
「じゃあ、覚悟きめて。」

そう言って湊はにっこりと笑ってキスをしてきた。
もしいつも当然のようにこちらがする側だった事に少しでも傷ついているのなら・・・仕方、ない、か・・・。
実際ルックは受けるほうも経験はある。あのハルモニアでの、名前すらなかったような時代・・・。

ルックはそっとため息をついて、抵抗を諦めた。別に相手が湊なら・・・うん、受け入れても・・いい、か・・・。
湊はぎこちなさが少しあるながらも酔っているからかそれなりで、一瞬既に浮気でもしたのかと疑いかけたくらいだった。
ただ。

「・・・・・・・・・?湊・・・?」

途中で湊の手が、動きが止まる。
いったいどうしたのであろうかと思っていると、そのまま覆いかぶさってき、そしてものすごく体重がかかってきた。

「・・・え?ちょ、湊?え、ほんとに?ちょ、こんな状態でやめるとか、え?ほんとに・・・!?」

着衣が乱れまくったルックの上に言葉通りのしかかっている湊は、さも幸せそうに・・・眠っていた。
やっぱり相変わらず飲んだ後少し経つと眠くなるんだね・・・。
そんな湊が懐かしく、そして可愛いと思いつつも、この状態は少しアレなので起こさないようにそっと湊を横たえらせてから、ルックはベッドから降りて服の乱れを直した。
そしてそっと湊の額にキスをしてから、自分の熱を冷ます為にも、ここにいる時よく好んで行っていた場所、屋上に転移した。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ