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ルック・湊(ルク主)

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所見



「やはり紋章の力には抗えないのか・・・。」

仮面の男が言った。それを遠目にみつつ湊がバッと顔を覆う。

「ああああやっぱりルックだ・・・なんていうか凄い嬉しいのにいたたまれないっ!妙に切ないっ!」
「ふふふ、湊、何気に酷い子だよね?まあつっこみどころ満載なあの仮面はまたいずれ突っ込むネタにおいておくとして・・・横にいる女性は・・・セラちゃんだな。綺麗になって。」

詩遠がにっこりと言った。

「あ、ほんとだ!てルックずるい!僕はおいてったのにセラは連れてくんだ!ムー。」
「・・・2人とも・・・あんまり喋ってると気づかれるよ?手前のチンドン屋さんみたいな子達はともかく、あの怪しげな集団はほぼ皆、かなりの手だれのようだし。」

キリルが呆れたように、でもにっこりと言った。その笑顔を見て何気に湊は、同じ笑顔でも裏がないとこうも優しさが増してみえるんだなぁとしみじみ思った。

「ふふ、湊?考えは口の中で、ね?」
「え?あ、詩遠さん、僕、口に出してました?おかしーなー・・・?」

2人をまた呆れたようにキリルは見てから前に視線を戻す。

「古代シンダルの残した技術・・・いえ、呪いと言っていいのでしょう。驚嘆します・・・。」

仮面の・・・いやルックの横でセラが静かに言った。

「ならば封印を砕くまでだ。」

するとその後ろに立っていた黒い姿の男が言った。黒の帽子に全身黒い服。ゆるくあんだ三つ編みが金髪なので目立っていた。

「・・・なんかあの男、会った事あるような気、しかしません。」
「そうなんだ、実は俺もなんだよねー、後ろ姿だし帽子に隠れて顔が見えないんだけどね?」
「あの男、何やら異世界のモノのような気がする。」

首を傾げている詩遠と湊に、キリルが言った。異世界か・・・と2人がつぶやいていると、前方で同じく隠れている団体もなにやら喋っていた。

「あいつら・・・なんだろう。」

ダッククランの者が呟くと、横に隠れていた金髪で色の黒い少年が“多分・・・”と言いかけた。だがそれを遮ってハデな帽子の少女が若干声を絞ったほうがいいのでは、とこちらが心配になる勢いで言った。

「そんなの、悪い奴に決まってるでしょ!!あんな仮面してるなんて何か後ろめたい事があるのよ。それにあっちの黒ずくめの男。明らかに悪人顔じゃない!」

周りでは、もっと声を押さえて、と何やら焦っているようである。

「うわぁ。言っちゃったー。僕でもはっきり言ってないのに、あんな仮面とか後ろめたいとか、言っちゃったー。黒い姿のヤツなんてもう、ダメ出ししかされてないですよね?」
「なかなかやるね、あの女の子。なんだかあの子も見た事あるような気がするんだけどなぁ。」

そうこうしている内に、ルック達の側では、赤い髪の男が口を開いていた。

「慌てる事はないでしょう。今はまだ準備の時。それよりも、やっておかなければならない事は、まだまだあります。」
「気の長い事だ。必要なものを奪い取る。それだけでよかろう。」

黒い姿の男が言うと、また落ち着いた様子で答えた。

「それでは混沌をうむだけだ。それは、我々の望みではない。」
「ふん、俺の望みはまさにそれなんだがな。」

黒と赤がそんな会話をしている間に、セラがチラリ、と後ろをうかがった。だがルックに“どうした、セラ?”と聞かれて、“いえ。”と首を振った。

「今の危なかったんじゃないの?」

派手な帽子の少女が言い、ダックに“あんたがギャーギャー騒ぐからだろ!!”と突っ込まれている。
そして付き添いのような風に見える男に、“そんな事はもういいから、どうするか決めましょう、ずっとこうしている訳にもいかないし”と扱く真っ当な事を言われていた。
すると少年が、“とにかく話をしてみよう、相手が何者か確かめた方がいいと思う。”と言いだし、団体は立ちあがり、ルックらの傍に歩き出した。そちらでは赤毛が引き上げよう、と言っているところだった。

「そろそろ引きあげましょう。ここにいても、これ以上の成果は望めそうもありません。」
「思ったよりも手間がかかる・・・そういうことだな・・・。」

ルックが呟く。
そこに少年らが近づき、聞いた。

「あんたら、何者だい?」
「見た限りじゃあ、ただの旅人ってわけでもないし、グラスランドの人間でもなかろう?」

少年とダックが聞くと、驚いた様子も見せずに赤毛が答えた。

「それは、そちらも同じ事であろう。それよりも、あなたみたいな方がこんなところをウロついているのが、不思議ですがね。・・・ティント共和国大統領令嬢、リリィ・ペンドラゴン嬢。」
「・・・良く分かったわね。」
「って、えええええええ??あれ、リリィ!?ずっと会ってなかったから分からなかった!!うそー!」

逆に湊がびっくりしている。

「ほんと、あの子が、ねぇ。ていうか湊ってデュナンで王様やってたでしょ?なんで独立したからって、ティントの大統領娘知らないかなー?」
「う・・・。だってー、リリィっていっつもフラフラどっか行ってて、最近全然会う事なかったんだもん。」
「しー。ほんと気づかれてもいいならいいけどね?」

キリルに言われ、2人ともまた黙って前をうかがう。

「お褒めにあずかり光栄です。しかし、残念ながら歓談をしている時間はありません。では、行きましょう。」

リリィに言った後、赤毛はセラを促した。セラはロッドを両手で持ち、目を閉じている。
すると辺りの地面が光り出した。そして黄色い光がルック達を包む。その時黒い姿の男が言った。

「すぐにさよならというのも無粋だろう。少々遊んでやろう。」
「時間には遅れないようにな。」

赤毛が言い、そして光は黒い姿の男以外を包み、あっという間に地面に沈むように消えてしまった。

「あ!ルックが行っちゃった・・・。」
「どうする?このまま追う?」

キリルが聞くと、湊は首を傾げた後で横に振った。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ