二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ルック・湊(ルク主)

INDEX|167ページ/174ページ|

次のページ前のページ
 

目標



「なるほどねー。それでここを商売の共有地に、ねー。なかなか面白いよ。で、ゼクセンが目をつけてきた訳、か。あそこはなかなか食えないからなぁ。」

商売に絡むと、がぜん普段よりしっかりする湊がトーマスと色々話をしている間に、詩遠はそこいら一帯を一人で見てきたようである。戻ってきたのに気付いた湊がニッコリと詩遠に言った。

「お帰りなさい、詩遠さん。お散歩楽しかった?」
「ふふ、お散歩、ね?うんまあぼちぼち、かな。ねえトーマス。イクセの村って知ってる?」
「え?あ、はい。て、まさかお一人でそんなとこまで?」
「え?そんなに遠くなかったよ?」
「・・・。にしても道中いのししとか・・・」
「あー、なんか出会ったりしたけど逃げてった。残念。牡丹鍋とか出来るのにねぇ。」
「・・・。」
「牡丹鍋!うん、残念!で、詩遠さん、そのイクセって村、どうかしたの?」

トーマスがポカンとしている横で、湊が詩遠に聞いた。

「ああうん。なんか村、焼け落ちてた。」
「はあ。・・・・・・・・って、えええええ?ほ、ほんとですか?な、なんでまた・・・。」

トーマスがびっくりして詩遠に聞く。

「んー。あそこはゼクセン領なんでしょ?違う?シックスクランのカラヤとリザードの戦士達がどうやら、豊穣祭の時を狙ってかどうかは知らないけど奇襲しかけたみたい。」
「え・・・。」
「そうなんだ。・・・どうも争いを作られたのに上手く乗せられてるみたいですね・・・。んー・・・。」

湊が何やら考え込む。トーマスがそんな湊に聞いた。

「・・・?どうかしたんですか?」
「ん?ああ、うん、別に。そういえばここはこれからはゼクセン領ていうわけじゃなく、共有地としてやってくんだよねぇ。すごいすごい。」
「はあ。」
「あ、そうそう、ヒューゴくんて丁度僕らと入れ替わりでここ、出たんだよね?どこ行くとか言ってた?」

ついでのように湊が聞いてきた。

「えーと。多分リザードクランに。」
「ああ、そか。あそこに皆いるものね。て、もしかしてルシアとかって、そのイクセの奇襲にヒューゴくん巻き込みたくなくてお使いに出したんじゃ・・・・。」
「あーそうかもね?ここ、全然炎の英雄臭しないし。」

詩遠の言い方にトーマスが“エイユウシュウ?”と首を傾げる。
ヒューゴは、ここに炎の英雄が隠れているという噂の為に派遣されてきたはずである。だがそんな話、ここではまったくもってあり得なかった。

「うは、あのルシアがねー。やっぱ子供は可愛いんだ。て関係ないけどトーマスってゼクセンの人なの?グラスランドの人じゃないんだよね?」
「あ、えっと・・・父はゼクセンにいます・・・いましたが、僕は無名諸国の生まれなんです。母と一緒に、無名諸国に住んでました。」

トーマスが言い直したところはあえて触れないでおこう、と湊はニッコリと口を開いた。

「そうなんだ!無名諸国!行ってみたいなぁとは思ってたんだよねー。・・・ナナミとかジョウイが生きてたらきっと一緒に行ってたろうなぁ。」

詩遠がそんな湊に言った。

「そか。じゃあ、俺でよければいつか一緒に行こうね?」
「はい!嬉しいです!あ、無名諸国ってそういえばアニタ姐さんやハンナさんの出身地なんですよね。」
「へえ?・・・なんか強そうだね?・・・女性が。」

詩遠が同盟軍にいたその2人の女性を思い出し、そしてトーマスを見てから言った。

「あ、はい、僕の母も色んな意味で強い人でした。・・・ここ、グラスランドで命を落としましたが。」
「そうなんだ!辛かったねトーマス。」
「大変だったねトーマス。」
「え、あ、いえ、えっと・・・ありがとうございます・・・?」

なんとなく2人のノリについていけず、トーマスは首をコテンと傾げる。

「ねえトーマス。グラスランドの人でもゼクセンの人でもない君に聞くけど。最近ここいらで頻繁に起き出してる争い、知ってる?」

湊がふいにトーマスに聞いた。

「え?ああ、いえ、あまり・・・。僕も最近この地に来たので・・・。でも確か休戦するとかいう話だったような。僕はどちらかといえば無名諸国でしたので、ハルモニアの事の方がよく話に入ってきました。」
「あ、そうか。北の方にあるものね?」

詩遠が相槌を打つ。

「はい。ハルモニアとグラスランドもずっと休戦状態ではありましたが、ここ最近何やらハルモニアで動きがあるような噂は聞いてはいたんですが。」
「動き?」
「えっと、はい。あくまでも流れてくる噂なんで本当のところは知りませんが、数年前からたまに真の紋章というものに対して工作員などを派遣に出してはいたそうなんですが、ここ最近はなぜかその動きがあからさまになって来だした、とか、そういった類のホントかどうか分からない話です。」
「そっかぁ。へえ、なるほどー。」

湊がふんふん、と頷いている。

「・・・あの、それが、何か?」
「あ、ううん!特には!気にしないでー。」
「はぁ。」

ニッコリと言った湊に、トーマスはまた首を傾げる。そして湊と詩遠はチラリ、と視線を合わせた。湊がまた口を開く。

「とりあえず僕達は観光を続けるよー。でもまた遊びに来てもいい?」
「ええ、それはもちろん!いつでも歓迎します。」
「ありがとー。」

ニッコリ嬉しそうにお礼を言ってきた湊を見て、トーマスがつい頬を赤らめる。
あらあら、こんな青年まで、と詩遠は苦笑してから立ちあがった。

「じゃあ、そろそろ行こうか?湊。またね、トーマス。」
「はい!またねートーマス!」
「はい、あの、いつでもどうぞ。」

トーマスは丁寧に頭を下げた。

「ルックってば本気で争いを起こしにかかってますよねぇ。」

城を出てからしばらくして、湊が言った。

「だねぇ。・・・争いには真の紋章がつきものだしねぇ。」
「はい、ただ・・・真であれば何でもいい訳でもなさそうですよね?僕らはスルーされてるし。」
「ん。・・・五行、かな。」
「ですねー。じゃあとりあえず炎の英雄臭を求めてとりあえずヒューゴくん追ってみます?五行で所在不明って僕らが知ってる限り炎と・・・後は土、かな?」
「ふふ、そうだ、ね?雷はこの間の男だったねぇ。水がちょっと微妙だけど、例の男だろうしねぇ。土は・・・うーん。」
「?にしても、トーマスって中々味のある人でしたねー。一見地味そうですけど。」
「んー、まあ、ね?」

そうして2人が大空洞を目指している時。


「おい、そろそろ行くぞ。なぜずっとそんな紙切れなぞ見ている。」
「黙りなさい、ルック様のお風でぼろ切れにされた分際で。ルック様は今、詩遠さまのお手紙から愛しい湊様を想い感傷に浸っておられるのです。そのような心の機微も分からない分際で偉そうな口を利くのではありません。」
「ふん。そんなもの、分かってたまるか。それこそ俺は人外だぞ?・・・くだらん。」
「2人ともやめないかうっとおしい。とりあえずルック様、そろそろこちらに意識を戻していただかないと時間がありません。今日明日あたりにでもアルマ・キナンで儀式が行われそうですので。」
「う・・・ん・・・。・・・ていうか、色んな意味で戻りたくないな・・・、なんて言うか・・・。」

御一行様は今日もにぎやかであった。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ