ルック・湊(ルク主)
一方ビュッテヒュッケ城では、なぜか急に緩んだ包囲の間を、ヒューゴ達が出て行っていた。数日滞在していたヒューゴ達だが、以前ゼクセンで騎士団達とちょっとした出来事があったせいで指名手配されているらしく、今回ゼクセンの策略によって利用されてしまいとりあえず出て行く事にしたようである。
そして今回ヒューゴ達を逃がし、この戦いに関する策を指示した赤毛の青年とメガネの女性の2人組も一緒になって隙を狙って城から出ようとしていたらしい。思いがけず緩んだ包囲の中、この者達は存外簡単に抜け出す事が出来たようであった。
そんな協力をしていたとはつゆ知らず、湊と詩遠の2人は難なくゼクセンの兵士を撃退した。
その後無事城に到達し、どうやら難癖をつけられていた城主がその難癖をつけてきていたゼクセンとの戦いに勝った、と2人は知った。
「なんか知らないけど・・・良かったねえ。」
「はあ、ありがとうございます。えっと・・・店を出される方、ですか?」
城主らしい青年が、こんな時に訪問してきた2人に驚きつつ首を傾げて聞いた。
「店?いや、えっと僕らはただ単に旅行に来ててこの戦いにまきこまれただけだよー。」
「あ、そ、そうなんですね、本当に申し訳ありませんでした。あの、良かったらこちらでゆっくりして行って下さいね。僕はトーマスと言います。」
「よろしくートーマス。僕は湊。こっちでまだ不機嫌そうに笑ってる人が詩遠さんだよー。」
「え・・・ああ、あの・・・よろしくお願いします。」
トーマスはどう反応していいのか分からないまま、確かに笑顔なのにどこか威圧感のある詩遠と呼ばれた人にも挨拶をした。
一方翌日に戻ってきたルックは本当に2人がいない事に少し驚きつつ、詩遠のメモを見つけた。
“ルックが言うから目の届かないとこに行ってくるよ、湊と2人っきりでね。2人で超仲良く楽しんでくるから、よろしくねー。じゃあまた後日”
途端その一帯が暴風圏内に入り、たまたま近くにいたユーバーが訳も分からず満身創痍になっていた。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ