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ルック・湊(ルク主)

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邂逅



「ルック、出かけよー。」
「ん?ああ、いいけど・・・ナナミは?」

昨日あれほど嬉しそうに出かけよう、と言っていたはずのナナミがいない。

「んー・・・。なんかね、メグとかと『おふ会』?てゆうの、するんだって。昨日の夜、決まったらしいよ。」
「おふ・・・?て、何。」
「よく分からないけど、最近ナナミ、あの子らから変な影響受けてるから・・・。この間もえっと・・・フチサスモエーとかなんか言ってた。」
「?意味が分からないんだけど・・・。」
「うん、言ってる僕自身が意味分かってないからね。」
「あーそれ、あれだ、フッチとサスケをカップルにしたてあげて熱をあげてんだよ。」

シーナがいきなり湊の頭の上に腕と顎を乗せてきて言った。

「わ、なんだよシーナ、重いー。」
「シーナ、湊が重いって。」

ルックのセリフはおだやかなのに明らかにうそくさい笑顔が怖い。シーナは飛ばされないうちにやめよう、とうすら笑いを浮かべながら手をあげて湊からどく。その湊が振り向いて言った。

「って、シーナって変な事知ってるね。なんで?だいたい別にフッチとサスケは付き合ってないよ。」
「あー、女の子絡みの事はな。けっこういるんだよね、最近、そういうの。で、つい俺もそういう系、知るようになってさ。あれだよ、現実に付き合ってんじゃなくて、頭ん中で勝手にくっつけて妄想してるってヤツ。」
「へえ・・・ナナミ、大丈夫かな・・・。」

湊がどう反応していいか分からない、といった風に呟いていた。
それから思い出したように、“どうせならトランまで行くし、ビクトールさんとフリックさんも誘ってくる”と言って酒場に向かっていった。

「お前らなんて、絶対に格好の餌食だよな。」

シーナが楽しそうにルックに言った。

「餌食?よく分からないけど、あんたが笑ってるって事はろくでもないって事だろうね。」
「相変わらずひでぇな。」

結局ナナミは明日に行くと言ってきたらしいので、湊とルック、シーナに腐れ縁でバナーに向かった。

「別に俺はいいのに・・・」

どうもトランへ向かう山道がかなり飽きている様子のフリックがボソリと呟いていた。確かに飽きるだろう。ルカ戦の数日前に、嫌というほど往復させられた場所である。

「まあ、いいじゃねぇか、どうせ暇だったしな。」

ビクトールがわはは、と笑いながら言っていた。こちらは飲むか騒ぐか、身体を動かすかしていればいいらしい。

「て、なんでバナーなんだ?」

シーナが聞いた。

「え、別に。なんとなく?コウくん元気にしてるかなーとか、そんなん。あと、あの英雄秘蔵部屋もまた見たいし。」

湊がニッコリと言った。シーナは“秘蔵部屋じゃねぇし”とつぶやいている。
一同はそんなたわいもない事をしゃべりながらラダトから川を下り、バナーに着いた。

「久しぶりな気がするー。」

湊がニコニコと歩き出した。そして前に出会った、湊のファンでいて、湊を誰か分かっていないコウという小さな少年を見つけて、ちょっと話しかけてくる、と走っていった。

「おい!まったく・・・」

フリックがため息をついた。シーナは何気にルックを見て、首を傾げる。

「ルック?どしたんだ?何か妙な顔して。」
「・・・いや・・・。・・・まさか、ね。」
「?」

その時湊が戻ってきた。

「ねえ、僕がいるんだって。」
「「「「は?」」」」

まあ湊だしな・・・いや、いくら湊といってもちょっと・・・だいたい本人は意味分かって・・・やっぱり疲れが・・・

「ちょっと、全部聞こえてるよ!ひどいよ、僕はまともだからね!なんかね、コウくんって、同盟軍のリーダーのファンらしいんだけど、僕がそうだとは分かってないんだよ。でね、この数日、宿に泊まってる人がそのリーダーなんじゃないかって。見てみたいなって言ったら、向こうの茂みの奥で釣りしてるんじゃないかって。でも行こうとしたらなんか金髪のお兄さんに止められるらしいよ。だからコウくんが協力してくれるんだってー。」

湊がそう言って歩き出した。仕方なく、他の皆も別にどうでもいいけど、と思いつつも後に続く。
細い道を進むと、確かに池らしきものと、人影が見えてきた。

「あ、すみません、この奥はちょっと・・・って、あれ?」

コウが言ったように金髪の男性が行く手を阻んできたが、ルックらを見て唖然としている。

「おま・・・」
「わー助けてーさらわれるー特にそこの金髪のお兄さんーっ助けてー!」

明らかに不審な棒読みセリフが聞こえてきた。皆が“うっわー”と思っている中を一人、その金髪のお兄さんだけが慌てたように反応して、“コウくん!?”と声のした方に走っていってしまった。

「て、今の、グレミオじゃね・・・?」
「ああ、グレミオだな。」
「見た目も中身も、まんま、グレミオだったな。」
「・・・てことは・・・。・・・さっきの気配はやっぱり・・・」

シーナ、フリック、ビクトール、ルックがそれぞれ、どうやら今の男性を知っているかのようにしゃべっている。湊がびっくりしたように言った。

「え、じゃあ知り合いなの?」
「まあ、な。多分、この先にいるヤツも、きっと・・・。」

ビクトールが言った。他の皆もうんうん、と頷いている。

「じゃあ、ますます行かないと!」

湊が先に進んだ。“あ、待てよ”と皆も後に続く。
果たしてその先には確かに釣りをしている人がいた。湊とは全然違うが、同じように赤い道着を着ており、頭にあるバンダナが風にゆれていた。

「懐かしい気配がすると思えば。」

その少年がそう言いながら振り向いた。とても整った顔立ちのその少年を、湊はどこかで見たような気がした。

「・・・久しぶり。」
「おお、ほんと久しぶりだよな、元気だったか!」

ルックやビクトール達が声をかける。

「・・・あ!!銅像の人だっ!!」

とても懐かしい感動の出会いだったのかもしれない、もしかしたら。湊のすっとんきょうな声とセリフさえなければ。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ