二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

認識したのはどっちが先か

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
「コレうまいで?ほれ」
 スプーンに一掬い。
 差し出されて、硬直する。
「………え、いや、あの…えぅ………」
 わたわたしつつ、しかしキッパリ拒めもせずに。
 顔は知らず赤くなり、どうしたものやらと困りまくって動けない。
 そんな様子を目の前にしても、天然なお相手は解ってくれなくて、ん?といつもの朗らかな笑みを浮かべたまま首を傾げる。
「え、えうぅ………」
 照れと恥ずかしさに思わず目線が泳ぐ。
 うろうろ彷徨わせていた目が、美神のものと合った。
「(たっ、助けて下さいよぅ美神さーん!!)」
「(そんな事言われてもっ…が、頑張って!!)」
「(何を頑張れと言うのですかぁぁっ!!そして何故サムズアップーーー!!!)」
 目で会話する横島と美神。
 顔を赤くしたまま困り顔で、しかしお相手への愛想笑いは消さないままと言う、変に器用な真似をしながら助けを求める横島と。
 そんな横島に向けて、こちらも顔は赤くはないものの、こめかみに一筋の汗を垂らしつつ愛想笑いの困り顔。果ては逃げる気満々、関わりたくないというのが丸見えの美神。それでも一応エールのつもりか親指立ててのサムズアップ。
「?」
 そんな二人の姿を前に、それでも今の状態やら横島達の心情やらを解っていない天然さんは、やはり首を傾げるばかり。
 ── 因みに、此処は六道邸。
 冥子にお茶に誘われた美神。
 しかし、最近何かと言うと事務所にやって来ては夜まで帰ろうとしなかったり、泊まると言ってきかなかったり、一緒に寝ると言って寄って来て抱きついたまま寝たり、と。
 何やら訳も解らない危機感を感じた為に、都合のつかなかった他の女性陣達の代わり、横島を巻き込んで連れて来たはいいものの。
 何故か横島も来るなら、と冥子が鬼道を呼んで。
 …こんな状況に陥っていたりする。
 即ち──
「…喰わんのか?うまいで?このゼリー」
「あ、あぅ~…」
 恋人同士のお約束、『はい、あ~んv』状態である。
 出された菓子は二種類。
 ゼリーと、プリン。
 横島に出されたのはプリンで、もうとっくに腹の中。
 後はお茶を啜るしかなくなった横島に、お裾分けしようとしている鬼道。
 勿論他意は全く無い。
 そして、だからこそ現状をサッパリ理解していない。
 呻く横島と首を傾げる鬼道と汗ジトで見守る美神。
 動きの無いまま、しかし終わりは訪れる。
「ごめんね~令子ちゃ~ん。横島クンと、マーくんも~。お母様に捕まっちゃったの~」
 六道当主にお小言でも言われていたのか、誘った張本人でありながら遅れて来た冥子がご到着。
「あ、冥子ちゃん…」
「もう、本当に遅いわよ、冥子~」
「あうう~ごめんなさい~」
 あからさまにホッとする横島と美神だが、冥子の行動は予測不可能だった。
「あ~、マーくん、何食べてるの~?」
「ん?ああ、出されたゼリーや」
「おいしい~?」
「ん、うまいでー?」
 スプーンに一掬いしてそのままでいた鬼道のそれを見て、そちらへひょこひょこ近付いて、会話を交わして。
「じゃあ、冥子も食べる~v」
 そう言って、無邪気にそれを口に含もうとして──

   ぱくっ

「………あれ~?横島クン~?」
 それは、寸前で横島の口の中へと消えていた。
「冥子っ、それは横島クンのなのっ!!冥子にはこっちのあげるから、こっち来なさい!!」
「わ~いv令子ちゃん好き~v」
 慌てて冥子を呼ぶ美神の手には、まだ口をつけていなかったゼリーと、その一欠片を乗せたスプーンが。
 そして、残るは真っ赤な顔して未だむぐむぐ口を動かす横島と、首を傾げて不思議そうにそれを見ている鬼道の姿。
 そうして美神は冥子にゼリーを手ずから食べさせるハメに。
 しかし、そんな中で。
(………何て事っ!!天然二人っ!!危険極まり無いわっ!!)
(………冥子ちゃん…美神さんの事好きって言ってる癖に何だかんだと鬼道とばっかり~………)
 以前感じた危機感とは別の危機感を募らせる美神と、何故か拗ね気味の横島。
(………大体何よ、好きとか言ってくる割に別に何もしてこないし…。本当は鬼道の方が良いんじゃないの?…何よ、もぉ…)
 心の中で愚痴り始める美神。面白くないらしい。
(…別に鬼道、何も意識してねーもんなー…。誰にでもすんだ、きっと。…俺、恥ずかしかったのに…)
 やっぱり拗ね気味な横島。こちらも面白くないらしい。
((………………………………ん?))
 …ふと、二人揃って漸く気付く。
 そして、急激に顔を朱に染め上げる美神と横島。
 今のは、まるで。
 いや、間違え様も無く。
 ── 嫉妬から出た、言葉。
((………そういうことかぁーーーっっ!!?))
 心の中で思わず絶叫。
 自覚し、認識したらしい。
 己の想いを。
(嘘っ!?何でっ!?いつの間にっ!?)
(おっ、落ち着け俺!!何考えてんだ俺はっ!?そんな…そんな馬鹿なぁぁっっ!!?)
 表には出てはいないが、内心大変な事になっている二人。
 そんな二人に。
「………どうしたの~?令子ちゃん~?」
「………どないしたん?横島?」
 なんとも呑気な声が掛けられて。
「「………………はあぁぁぁぁぁぁぁ………………」」
 やっぱり解っていない天然二人に、同時に吐き出される美神と横島の溜息。
 自覚、認識、その後は?
((………どーしろってんだか………))
 …途方に暮れるしかない二人であった。



 お茶会終わって帰る準備の真っ最中。
「えへへ~、楽しかった~♪令子ちゃ~ん、来てくれて有難う~v」
「え…ええ、まぁ…私もその…楽しかったわ…」
 無邪気にはしゃぐ冥子と、頬を染めつつ言葉を返すも、目を合わせられない美神。
「ほなら帰ろか。送ってくで?」
「え、いや、いーって、別に…」
 相変わらずの保護者っぷりを発揮する鬼道に、わたわたと遠慮する横島。
 しかし──

「むぅ~…えいっ!!」
「ふやぁ!?」
 目を合わせない美神に膨れて、両頬に手を掛け、多少強引に自分と向き合わせる冥子。
「なっ、何よ、冥子!?」
「令子ちゃん~…冥子の事嫌い~?」
「ほえっ!!…ななな、何言ってんのよ冥子!?」
「じゃあ好き~?」
「なななななっ…!!?」
 顔が近い。いや、段々と近付いてくる。
「めっ、冥子っ!?」
 パニック状態の美神の耳に。
「………令子ちゃん~………」
 声が、届く。
「冥子は~、令子ちゃんの事、好き~」
 ゆっくりと、心まで染み込む様に。
「………愛してる、よ?」
 耳元で、囁く様に、吐息と共に、吹き込まれた。

 そしてこちらも同時進行。
「…ボクに送られんの、嫌か?」
「え、いや、そーでなくっ…お、俺、男だしっ!!」
「…未成年やないか」
「むがぁ!!またそーいう事を!!そんなに俺を子供扱いしてーのかお前はー!!」
 地団太踏みそうな感じでぷりぷり怒る横島に苦笑して。
「………ボクが送りたいんやけど…駄目か?」
「………へ」
 困った様な笑みと共に告げられた言葉に、呆けて間抜けな声を漏らす。
「え…ええっ!?いや、えっと…ななな、何言ってますかこの教職者さんは!?それは女の子に言うべき台詞でアリマスヨ!?」
 動揺出まくりである。