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この笑顔を忘れない

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あの笑顔を思い出して




それからクルー達はサンジが「居ない」という現実を何度も思い知らされた。

朝起きてダイニングに行けばいつも当然のように漂っていた良い匂いはしない。
盗み食いをすると繰り出される強烈な蹴りが無い。
おやつに出てくる飲んだことのない美味しいジュースや見た目も完璧なデザートも無い。
いつの間にか綺麗になっていた船がだんだんと汚れていく。
今まで綺麗にたたまれていた洗濯物はぐちゃぐちゃだ。
毎日のように起きていたゾロとの喧嘩も見れない。
ただでさえ強度が増した船では喧嘩も無いので修理もすることがあまり無い。

どこか心にポッカリと穴が開いたようなクルー達だったが、
皆が皆なりに必死で前を向き、その穴をうめようとしていた。
なんとなくサンジの話を避けるようになっていた。


食事作りが女の仕事になって随分経った頃、
いつものように食卓に全員が座り、食事が全部並び号令がかかる。

「さぁ食べて。」

「「「「「いただきます!!!」」」」」

サンジの料理に比べれば美味しさは雲泥の差だったが、比べることはしなかった。
確かにその差を感じてしまうことはある。
サンジは一人一人にあった料理を出していた。
それと比べてしまうのはナミやロビンに荷が重い。
ナミやロビンも必死で頑張っていることは承知している。
だが、食事の時にはどうしても思い出してしまう…サンジのことを。
そのためか以前は毎回宴のように騒々しかった食事が暗くなっていた。

そんな食事に全員が参りはじめていた。
そしてとうとう限界がきた。


「俺は飯いらねぇ。」

「ちょっとゾロ、食べないと承知しないわよ。」

「後で食うから取っといてくれ。」

「ゾロ・・・」

ガタンと音をたてながらゾロが立ち上がる。
そんなゾロの腕をルフィが掴む。


「おいゾロ。」

「なんだ。」

「座れ。」

「・・・・・」

「いーから座れ。」

ゾロは大人しく従いもう一度席に着く。
他のクルー達は食事の手を休め、見守っていた。

「なんだ。」

「食事は全員でするもんだ。」

「分かってる。」

「そうサンジから教わっただろうが。」

「っ・・・腹が減ってねぇんだ仕方ねぇだろ!!!」

「出されたものは全部食え!!!!失礼だろうがっっ!!!!!」

「・・・ぐぁっ・・!!!」


座っていたゾロをルフィは思い切り蹴り飛ばした。
その蹴りはまるでサンジのような蹴りだった。


作品名:この笑顔を忘れない 作家名:おこた