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【どうぶつの森】さくら珈琲

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24.幸せな時間


 カーテンの隙間から入る眩しい光に、目が覚めた。
 日差しが強い。もうお昼頃だろうか。

 夢だったんだ。

 わたしは、小さく呟いた。
 みしらぬネコさんがいきなり泊まりに来て、話をして、好きだって伝えて……。
 そんなの、ありえるはずがない。やっぱり、全部夢だったんだ。
 きっと部屋の向こうにはからっぽの空間があるだけだ。
 しばらくしたら寝坊気味のとまとを起こしに行って、ごはんを作って、洗濯をして……。
 ああ、切なくて悲しくて、あたたかくて、幸せな夢だった。

 現実だったらよかったのに。
 でも、本当に現実だったら? まさか、そんなことあるわけ――
 隣に、見慣れないベッドがあった。 彼が、まるで子どものように安らかな顔で眠っていた。
 夢じゃなかったんだ。
 その事実だけで、涙が出そうだった。
 このままベッドに飛び乗って抱きしめたいような、あるいはずーっと見つめていたいような、不思議な衝動にかられる。
 結局どっちも出来ずに、小さな声で名前を呼んだ。

―――……みしらぬネコさん。

 まだ、わたしが知ってる彼の名前は「みしらぬネコ」さんだ。
 でも、それでいい。
 今はまだ、それでいいんだ。
 彼はゆっくりと目を開くと、眠たそうに何度もまばたきしていた。

「さくら!?」
―――ど、どうしたの?

 飛び起きたみしらぬネコさんはしばらくきょろきょろと部屋を見回した後、軽く自分の顔を叩いた。
 そして、照れくさそうに笑いながら、こう言った。

「良かった。全部夢かと思っちゃったよ」

 わたしも。と、小さく呟く自分がいた。