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【どうぶつの森】さくら珈琲

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27.初雪


 11月もまだ終わってないと言うのに、もう初雪が降ってきた。
 どうりで朝がいつも以上に寒かったはずだ。
 外を見ると、なんと半袖のリクが外ではしゃぎまわっている。

「さくらー! この村の雪はめっちゃ白くて冷たいぞー!!」

 というか、雪はどこも大抵白くて冷たいと思うのだけれど……。
 ほとんど積もってないのにはしゃぐから泥だらけだ。まるごと洗濯機に突っ込んでやろうかとさえ思った。
 後から起きてきたとまとが、窓の外を見て仰天していた。

「ううぅ、寒っ……って、あんた何してんのぉ!?」
「おーちんちくりーん! お前も一緒に遊ぶかー!?」

 するととまとは、バスタオルを持ち出したかと思うと外にパジャマのまま走り出て、それをリクに投げつけた。その行動は、少し意外だと思った。

「風邪引いたらどうするのよぉ馬鹿!」
「大丈夫だー! オレっちの故郷はどこもかしこも雪だらけだったかんな!」
「そういう問題じゃないの! さくらさんに迷惑かかるでしょぉ!」

 なんだか、とまとはリクが来てからすっかりお姉さんらしくなった気がする。
 そして、遅れてヴィスが起き出す。

―――ヴィス、おはよう。雪だよ! きれいだね。

 ヴィスはうなずいた。「懐かしいなぁ。」と一言呟いた。


 リクがお風呂から上がったあと、わたしたち四人はリビングで紅茶を飲んでまったりと過ごした。
 そしてそれぞれが思い出話をすることになった。
 リクの故郷は雪国で、辺りが真っ白しか見えないくらいたくさん雪が積もったらしい。たくさんの弟や妹たちと誰が一番大きなゆきだるまを作れるか競争したとか。
 そして、ヴィスは故郷ではこの間呟いた「師匠」と二人で暮らしていたらしい。
 その師匠は、なんと歳の離れたお姉さんなんだとか。100匹連続でワカサギを釣らないと家に入れてくれなかったとか。
 そんな厳しいお姉さんを、懐かしそうな顔で淡々と語るヴィス。
 驚いたのは、そのお姉さんがわたしに似ていると言ったことだ。わたしってそんなにスパルタに見える?
 だけれど、それ以上に一番びっくりしたのはとまとの話。今までお屋敷からほとんど出たことがなくて、人工雪しか見たことないって言うんだもの。
 わたしは目を閉じて、故郷を思い浮かべた。きっと、真っ白な雪が降っていることだろう。
 次はいつ帰ろうかな、ふるさとの町を思うと、心が少し温かくなる。
 そういえば、いい加減こたつも出さなきゃ。なんだか今年はめまぐるしく時間が経っていった。あと一ヶ月ちょっとで一年が終わってしまうなんて。
 でも、今年も悪くない一年だったな。うん、とっても良い年だった。

―――積もったら、かまくらつくろうね。
「オレっち雪合戦したーい!」
「あんたとなんて、体力もたないわよぉ!」

 小さい頃、何もかもが宝石に見えた。白い雪が、ダイヤモンドのように。
 そして、この村に来て、またいろんなものがきらきらと光っている。
 わたしは目を閉じて、紅茶を味わった。