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【どうぶつの森】さくら珈琲

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28.まいごちゃん


「おかあさ〜ん……」

 散歩をしていると、小さな黄色いネコの女の子が顔をくしゃくしゃにして泣いていた。この村では見かけない子だった。いかにも、まいごってかんじだ。
 その隣で、1ごうまで泣きそうに顔を歪めている。

「あ、5ごうじゃーん! なあ助けてくれよー!」
―――いつの間に子どもが……。
「冗談言ってる場合じゃないって! なんかついてくるんだよこいつー!」
「ふえぇ、おかあさ〜ん、おかあさんどこ……」

 わたしはしゃがみこんだ。確か小さい子と話すとき、こうするといいと本で読んだような気がしたからだ。

―――どうしたの? お母さんとはぐれちゃった?
「ひっく……おかあさ〜ん、おかあさん……」

 まいごちゃんはしゃくりあげているので、何をいっているかわからない。困ったな、このままひとりにしておくわけにはいかないし。

「3ごうだけで手一杯だよおいら……もう帰っていい?」
―――正義の味方でしょ! お母さんを探してあげなさい!



 わたしたちは根気強く話しかけたけれど、ほとんどまともな会話にならなかった。
 漏れた言葉をつなぎあわせていくと、この村にはお母さんと遊びに来たということ。お母さんは自分と同じ黄色いネコらしい。
 わたしは一人っ子なのでこんな小さい子の扱い方なんてわからない。ちょっと油断すると歩幅の狭いまいごちゃんはすぐに置いていかれる。
 手をつないで歩くと「歩くのはやいよぉ、つかれたよぉ」とぐずりはじめる。うーん、難しいな。
 しょうがないので1ごうがおんぶすることになった。

―――あはは、ほんとの親子みたいだね。
「やめてくれよー!」

 それにしても、お母さんはなかなか見つからない。

「もしかしてオマエの母ちゃん帰っちゃったんじゃないか〜?」

 それを聞くと、まいごちゃんは今までで一番大きな声をあげて泣き出した。

―――なんてひどいこと言うの! だいじょうぶだよ、そんなことないよ。

 1ごうも失言と気づいたのか、焦り始めた。慌ててそばにあった木に登ると、実っているナシをもぎとってまいごちゃんに手渡した。

「すまん! お兄ちゃんが悪かった! これで機嫌直してくれー!」

 まいごちゃんは自分の顔くらいあるナシをめそめそ泣きながらかじり始める。
 食べ終わるなり、泣き疲れたのか眠ってしまった。泣いたり食べたり眠ったり、忙しい子だ。

「こうしてみると、かわいい気がしてきたぞ」
―――そうだね。
「おいらなんだか持って帰りたくなっちゃったな〜」

 それを聞くと、またまいごちゃんは寝ながら泣きそうになる。1ごうは「なんだよー! おいらじゃだめなのかよー!」と文句を垂れるので、わたしは思わず笑ってしまった。