【どうぶつの森】さくら珈琲
44.バレンタイン(とまとside)
あれから、あたしはまた悩み続けたままだった。だけどリクのおかげで、いくらか前向きになれた。
さくらさんとみしらぬネコさんが、どうして終わってしまったかはわからない。
多分、詳細は村中の誰も知らない。あの情報通なレベッカ姉さんに聞いたけれど「わからないし、とても今のさくらちゃんには聞けない」と言っていたし。そのくらい、さくらさんは落ち込んでいた。
あたしは、二人がとってもお似合いだって思ってた。いずれさくらさんは結婚してこの家を出ちゃうのかなって思うと、ちょっぴり寂しくなったりもした。そんなあの頃が懐かしくなった。
けれど、どんな理由であれさくらさんを支えたいと思ったし、いずれさくらさんの口から話してくれる日を待とうと決めていた。だって、さくらさんは家族で、先輩で、大切な友だちだから。
それから、ヴィスくんのこと。最初に会ったときから……ううん、そのときより今の方が、ずっとずっと大好き。その気持ちは、変わらない。
クールで、優しくて、かっこよくて。
そして今だって、避け続けるあたしに変わらない態度を続けてくれている。
二人とも大事なんだ。
そこにややこしい理屈なんか、ない。
そして、あたしは最後に自分にも優しくしてあげようと思ったんだ。
ずっとずっと、大事に育ててきたこの気持ち。
作品名:【どうぶつの森】さくら珈琲 作家名:夕暮本舗