【どうぶつの森】さくら珈琲
45.小春日和(とまとside)
それから何日か過ぎて。
「ただいまー!」
あたしは元気にヘアーサロン・スピーディから帰った。
新しくなった髪型を、ヴィスくんやさくらさんもほめてくれた。
リクだけが、あたしが髪をばっさり切ったことに文句を垂れてきたけど。
いいの、前からドライヤーとかうっとうしかったし。
ヘアゴム集めはやめて、次はヘアピンでも探そうかな、なんて。
リクはそうやってドレッサーの前に座るあたしを、いつも何か言いたげに見ていた。
ヴィスくんともさくらさんともあれから何事もなかったかのように仲良くやってる。
なのにリクだけが違う態度だ。
変なの、ちゃんとバレンタインの日チョコあげたじゃん。
いつもはつっかかってくるのに、最近は何か言いたそうで言わない。じれったい奴。
もうすぐ春が近づいてくる。
また新しい毎日の始まりだ。
きっといろんなことが良くなるはず。
変わりない日々がやってくるはず。
あたしたちは、家族なんだから。
そう心の中で自分に言い聞かせながら、あたしは前よりずっと短くなった髪をといた。
作品名:【どうぶつの森】さくら珈琲 作家名:夕暮本舗