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【Livly】誰も知らない物語

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リヴリーとモンスター


その一言が全てを壊した。
頭の悪いルチルだが、その言葉だけで理解してしまったのだ。
モンスターだ。リヴリーを食べる、恐ろしいモンスター。みんなに嫌われるモンスター。
一緒にいられるわけがない。
胸が張り裂けてしまいそうだった。息が上手く出来ない。

「サファイア、どうして?どうして、どうして!!!」

もう問いかけることしか出来ない。
サファイアはこの何日かの間に追い詰められていた。
体が勝手に血を求める。
モンスターとしての本能がこの生温い日常を拒む。
今も、気を緩めば意志とは別に、体が勝手にルチルを襲ってしまいそうだった。
サファイアはモンスターの暗黙の掟を破ったようなものだった。
獲物と生活すること、本能を抑えること。その制裁をくらっている。

「何か言ってよ、サファイア!!」

モンスターは弁解などしない。言葉などいらない。
愛されなくてもかまわない。喜びも悲しみもいらない。
憎しみから生まれた。それだけの存在。
そこに何の目的もない。
サファイアはやがて、彼女ではなくなっていく。
その瞬間をルチルは目の当たりにすることになった。
獲物と認識された。