【Livly】誰も知らない物語
そのとき、たくさんの足音が聞こえて咄嗟に振り返る。
最初に目に入ったのは、先頭に立つ黒いプリミティブトビネだった。
「リーダー・・・」
掠れた声で、その名を呼んだ。
だがリーダーは少しも懐かしむ仕草は見せず、冷たい瞳でルチルと、狂ったジョロウグモを見据えて言った。
「サル、お前が絡んでいたとはな」
ルチルは口を開いた。
違うと言おうとした。違う、サファイアは友達だ。モンスターじゃない。友達だ。
だが何か言葉を発する前に、リーダーの後ろに並ぶ『モノクロ』の連中たちはサファイアに攻撃技を放った。
いくら巨大なジョロウグモでも、これだけ多数のリヴリーに攻撃されたらひとたまりもない。
ルチルは叫んだ。
「やめてよお!!」
リーダーにしがみつく。
「お願い、やめてよお、サファイアを殺さないで!!やめてよお!!!」
リーダーも大声で叫び返す。
「お前、自分のしたことがわかってんのか!?」
目の前のジョロウグモを指して言った。
「こいつはリヴリーアイランド中の生き物を喰らい尽くそうとしてるモンスターだ!!殺されなかっただけでも感謝するんだな!!」
リーダーはルチルをなぎ倒した。
すると、ジョロウグモの鋭い爪がリーダーに向かう。
リーダーも不意をつかれ、攻撃の準備が遅れた。
生まれて初めて、戦慄を覚えた。
作品名:【Livly】誰も知らない物語 作家名:夕暮本舗