二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

金色の双璧 【連続モノ】

INDEX|16ページ/18ページ|

次のページ前のページ
 

Scene9 03.約束


-1-

「ばーか」
 ―――わかってますよ、充分。

「・・・・リアのバカ」
 ―――だから・・・ごめんなさいって。

「張り切りすぎだってーの。誰がおまえ一人で片付けろなんて言ったよ?俺にも出番回せって。ほんと、無茶ばっかりしてからに。まったく」
 ―――そんな、呆れたように言わなくても。

「ボロボロで。みっともないったらありゃしない」
 ―――返す言葉もございせん、そのとおりです。ハイ。

「立てるか?」
 ―――ちょっと・・・無理かも。

「何年ぶりだろうな?おまえ担ぐの。懐かしいや」
 ―――そうですね・・・兄さん。

「・・・!おまえ、重いっ!!」
 ―――そりゃ、あの当時より、成長しましたからね。

「13年の重みかなぁ・・・・」
 ―――そんな風に、噛み締めていわれると・・・涙腺緩みそうですよ、兄さん。

「ああ、でも。シャカはもっと軽かったよなぁ」
「はぁ?――――どういうことです?」

「そういうとこだけはしっかり反応するんだな、おまえ。―――おろすぞ?」
「いやだ」
 がっしりと兄アイオロスの背中にへばりつく。変わることのない大きな背中だった。
 降って湧いたような今回の冥界騒動。敵陣は多勢ではなく少数。だが、選り抜きの精鋭で聖域に乗り込んできたようだった。決死の覚悟で臨んで来る敵はやはり手強かったが、辛くも打ち負かすことに成功した。
 前もって授けられた策は各々がひとりずつ力を削いでいくという案であったのだが、それにも関わらず、アイオリアはどうしても敵を獅子宮までで封じ込めようとした。アイオリア自身も無謀で無茶なことをしているとわかっていながら、力を揮った。その結果、代償は己の負傷ということになったのだ。
「子供か、おまえは?ま、いいけど」
 負傷したアイオリアを背中に担いだまま愉快そうに笑い声を立てながら、アイオロスは十二宮の階段をゆっくりとした風情で進んでいく。実際では光速の動きなのだろうけれども、あまり揺れを感じることもなく、アイオリアの傷ついた身体でも負担は感じられなかったのだ。
「それで、それから!シャカは軽いって・・・」
「あーもう、耳元で騒ぐなよ。煩い。事実シャカは軽いんだろ?それでいいじゃないか」
「よくないです!!なんで、兄さんが・・・もしや、シャカと・・・!?」
「ばーか。叩き落すぞ?マジで」
 呆れたように返しながらも、楽しんでいるようなアイオロスにぶすっと頬を膨らませるアイオリア。顔が見えているわけでもないだろうに、見透かしたようにアイオロスは大きく口を開けて笑う。
「ま、深く考え込むな。俺は誰とでも仲良しなんだから。さて、と。教皇宮に到着した」
「また説教されそうですね・・・」
「覚悟しとけよ。その前におまえは治療室行きだ」
「はい」
 しおらしく返事をしたのち、アイオリアは辿りついた治療室で今度こそ意識を手放した。



作品名:金色の双璧 【連続モノ】 作家名:千珠