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Weird sisters story

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Atropos 5




機体が固定されたのを確認してヘルメットを取った。
新鮮な空気が流れ込んでくる。
コックピットのハッチを開けると、ヨウランとヴィーノの顔が見えた。
「お疲れ」
「お疲れさん」
ルナマリアは少しだけ笑うと、リフトを使って下に降下する。
「あたしは何もしてないわ。後ろの方だったしね」
「だよなぁ。あれだけ出てったのに、撃墜されたのは5機だけだって」
「ま、流石はエースパイロットといった所か」
「………負けちゃったけどね」
ルナマリアの呟きは、その場に小さな沈黙をつくる。
実際、ルナマリアが居た後方支援部隊にはあまり詳しい戦況が流れてこなかった。
ただ前方に居た挟撃部隊が急に攻撃されたのだ。
あの機体――ガイアに。
「シンは?」
「あぁ…アイツは先に部屋に戻ったよ」
「騒いでたんじゃない?かなりの戦果だったって聞いてるけど」
「いや……」
ヨウランは言葉を濁す。
ヴィーノも少しだけ、俯いた。
「アイツ…一言も喋らないで出てったんだ」
「え?」
「何か最近、元気ないよな、シン」
ルナマリアは短く、そう、と呟いた。
いつからだろう。
シンが、乾いた笑顔しか見せなくなったのは。






場所は議長室。
深く頭を下げたフェイスを、静かに琥珀色の瞳が見つめている。
アスランはそっと、口を開いた。
「今回の敗因は、全て私にあります」
そう、この作戦を立案、実行したのは自分だ。
何もかも、己に起因する。
「申し訳ありませんでした」
軍罰は覚悟していた。
フェイスの権限を剥奪、もしくは階級降格。
いずれにしろ、全て受け入れるつもりだ。
しかしギルバートは、緩く微笑む。
「気にする事はない。敗戦の事実は否めないが、それでも大多数の兵がほぼ無傷で帰還している。私はその事こそ大きく評価するべき作戦だったと思っているよ」
「しかし…」
「実際、今回の戦闘で得た情報も多い。カオス、ガイア、アビスの3機がオーブに配備されていたという事だけでも、充分な話だ」
確かに、それは大きい。
あの強奪の後行方がわからなくなっていたあの3機が、地球軍にあったのだ。
それさえわかれば、様々な対策も打てる。
「完璧な人間などいない。誰もが失敗の上に立ち初めて輝けると言うもの。アスラン、今回の事を省みて…次の作戦もまた、よろしく頼むよ」
一瞬、アスランは驚いた。
ギルバートの言葉はつまり、剥奪や降格などの処罰は一切無しだと言う事だ。
少しだけ瞳を伏せ、そして思い切り顔を上げる。
「了解致しました」
敬礼を取り、静かに踵を返す。
足音がドアの向こうに消えると、ギルバートはゆっくりと息をついた。
目の前にはアスランが持ってきた報告書がある。
今回の作戦、途中までは順調に進んだらしい。
だがある瞬間から大きく戦局が崩れた。
戦闘経過の報告のページを捲り、次のページに目を落とす。
最多撃墜数を弾きだしていたのは、アスランではない。
インパルス―――シンだった。
ギルバートは指を組み、その上に顎を預ける。
何処となく、微笑した。
「元気に…しているようだね、レイ」
その言葉は誰にも聞かれず、部屋の奥へと消えて行った。







議長室のドアを閉めると、アスランは一人自室へと向かう。
敗因は自分にある。その事は否定しない。
だがどうしても、引っ掛かっていた事がある。
カードロックを外し、服を寛げるとどっと疲れが押し寄せた。
この基地に帰還してからずっと報告書に追われていて、ろくに休んでいなかった。
そのままベッドの端に腰掛けると、後ろに倒れこむ。
スプリングの効いたベッドは、心地よい弾力で押し返してきた。
「カオス…ガイア…アビス…」
あの3機が地球軍に在る事を、予測し得なかったわけではない。
指揮官という者は、常にあらゆる事態を想定し、的確に指示する必要があるからだ。
しかし。
アスランは眉を寄せた。
時間が経てば経つ程、押し殺していた予感が確信へと変わっていく。
あの時、地球軍は明らかに、インパルスのエネルギー切れを知っていた・・・・・。
そしてその後、どういう行動に出るのかも。
インパルスのパワーダウン、それが起きれば隠れていた母艦へと補給に向かわなければならない。
そして陽動部隊に逆に奇襲を仕掛け、そちらに目が向いている間にカオス、アビスの2機で空と海から母艦を襲撃。
普通、母艦から動力を直接受信するなどと、誰が考えつくだろうか。
仮に思いついたとしても、余程の確証がなければこのような大胆な作戦は不可能だ。
そして主力部隊が囮だと気付いた洞察力と思考力、地球軍が知るはずのないインパルスの特殊な性能とその弱点をついた的確な迎撃作戦。
そう、アスランは、これらを可能にする人物が居る事を知っている。
「お前…なのか………?」
だったら何故、このような事をする。
脱走した理由さえ判らないままなのに、その答えが出てくる筈も無い。
「答えてくれ…レイ」

お前は今、何処で、何をしようとしているんだ。


作品名:Weird sisters story 作家名:ハゼロ