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比翼連理 〜 緋天滄溟 〜

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2. 盲目



 本能的に知っている。
 どうすれば、憎しみが増すのか。
 
 どうすれば、争いが起こるのか。

 ターゲットが盲目的に
 何かに捉われていればなおのこと―――。





「―――アイデネウス……盲目なる者よ。再び、その瞳に悲哀を宿らせるがいい」
 誰よりも美しく、清らかな永久凍土のように冷たい眼差しで誰をも魅了しながら決して心の内に近づけさせぬ冥界の主。
「あなたは……誰かのものであってはならない」
 白い森を覆う薄靄の中で湿った笑いがべったりと纏わりつく。
 意思を封じられる前に託された望み。それこそが、彼にとって神聖なるもの。
 それを握り潰せばどうなるか―――判りきったことだった。

 赤く、血塗れたハーデス。

 茨で雁字搦めに自由を奪われ、鋭い棘は薄い皮膚を破っていた。滴り落ちる滴が大地を赤く染め、さながら真紅の絨毯ともいうべきか。
「もうすぐ、あなたは自由になれる。何者にも捉われず、自由にはばたくことができる。そして俺はあなたをも……父をも凌ぐ力を手に入れ、今度こそ名実ともに覇者となる」
 ぷつりと紅い朱珠が張力を失くし、滴り落ちようとするそれを指で拭い、紅い唇へと含んで見せると、口内に広がる芳醇な薫り高き血の味を堪能するように低く喉を鳴らしながら漏れ出る笑みを解放する。
 何物にも囚われず心の馳せるままに黒き翼を広げ、自由に舞う姿は誰よりも強く、美しき存在。

 ―――その姿をもう一度、目にするために。

 ―――今度は我が腕に止まらせるために。

 美しく佇む神像のようなハーデスに見惚れながら、もう一度笑いを浮かべると赤銅色に輝く鎧を煌めかせながら、男は静かに霧の彼方へと姿を消した。