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WJネタバレ黒バス感想集

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試合後のありえないかもしれない紫赤を妄想してみた



ウィンターカップ準決勝、その第一試合を勝利したあと洛山の選手たちは会場を去らずに第二試合を観戦した。
そして、決勝で対戦する相手が決まるのを見届け、宿泊先のホテルにもどることになったとき、赤司征十郎が別行動を監督に申し入れ許可を得た。
赤司は洛山の他の選手たちとは別れて、会場から帰る人々に逆らうように歩き、やがて会場の敷地内の人気の少ないところへと進んだ。
そこに、いた。
遠目からでもいることがわかる、待ち合わせ場所に指定されるぐらい目立つ大きな身体の持ち主。
紫原敦がいた。
男性にしては少し長めの髪が冬の冷たい風に揺れて顔を少し隠している。
顔に表情は浮かんでいない。
ただ、その眼はじっと赤司を捕らえている。
「……敦」
赤司は紫原の近くまで行くと、立ち止まった。
「なんの用だ?」
そう冷静な声で紫原に問いかけた。
準決勝第二試合が終わったあとに紫原から携帯電話にメールで呼びだされたのである。
断る内容のメールを返信しても良かったが、応じることにした。
紫原は眼を細めた。
黙っている。返事をしない。
その口が少ししてようやく開かれる。
「特に用はないよ」
想定外の返事ではなかった。
だから、呼びだしのメールに対して断ろうかとも考えたのだ。
「そうか」
ほんの一瞬も冷静な表情を崩さず、赤司は言う。
「それなら、僕は帰る」
「赤ちん」
赤司が踵を返すのを阻止するように紫原が呼びかけてきた。
「勝ってあたりまえなんて、つらくない?」
「……なにを言い出すのかと思えば」
くだらない質問。
けれども、捨て置けなかった。
踵を返して去っていくこともできたのに。
「僕にとって勝利することは息をするのと同じことだ。つらいわけがない」
「赤ちん。オレは赤ちんとは言い争いたくないんだよね」
言い争い、だけではなくて、紫原は赤司と戦うことを拒んでいる。その理由を、赤司は察してはいるが本人に確認したことはない。
「オレは赤ちんの言うことなら聞くし」
紫原は無表情のままでいる。
「だから、陽泉に行くことにしたし、赤ちんから呼びだされなければ会わないことにした」
秋田の陽泉高校に進学するように命じたのは赤司で、自分が呼びだしたとき以外は会わないと決めたのも赤司だ。
紫原はそれに対して、多少の文句を言うこともあったが、従ってきた。
「でも、会わないのは別に会いたくないからじゃないし」
少し紫原の声に熱が帯びた。
「ホントは用がなくても会いたいよ、オレは、赤ちんに」
「帰る」
短く告げて、赤司は踵を返そうとした。
だが。
踵を返しかけた瞬間、肩をつかまれた。
紫原の腕は長い。
そして、その力は強い。
つかまってしまえば、逃れることができない。
紫原がこういう行動に出ることは予想できたはずなのに、油断してしまっていた。
これまでの紫原が従順だったから。
「赤ちん」
呼びかけられた。
同時に、その胸に抱き寄せられていた。
広い胸に触れ、長い腕がしっかりと身体にまわされて、包まれているような感覚。
「つらいなら言って。つらくなったら言って。オレは全部捨てても、赤ちんをさらうから」
そう告げられた瞬間、頭にその光景が浮かんだ。
きっと、紫原なら軽々と自分を持ちあげて、さらっていくだろう。
「……おもしろい冗談だ」
赤司は自分の胸に湧いた感情を押し殺し、素っ気ない声で言い返した。

オレは赤ちんが望むなら敵だと思われてもいいし、言う通り敵になるよ。
でも、敵になっても、それでもオレは。

好きだから。










作品名:WJネタバレ黒バス感想集 作家名:hujio